レジがセルフレジになり、次第にRFIDが全ての商品に添付され、無人店舗が主流になる世界は「誰に」都合が悪い?

こんにちは、ヨツモトです。

先日こんな記事を目にしました。

FaceBookに流れてきた記事なんでが、、、

 

マーケティングコンサルタントやってるらしい人の記事です。
業界ではそれなりに有名らしい。
僕もそれなりに業界長いんですが最近教えてもらった、、、まあそれはいいとして。

ちょっとタイトルで惹かれたんで読む気になったんですよ。

そのタイトルが「無人店舗ブームって怪しくね?」

で、とっさに、

「いや全然怪しくないやろ!!てか、どっちかってと主流になっていくやろ」

惹かれたってよりも、ツッコミ入れたくなったから読んだ!の方が正しいか。笑

 

人がしてる割には簡単な仕事は、別に人がしなくても良い時代になるのは当然。

この記事の中では一貫して店舗の無人化(一部も含む)での「新しい顧客価値の創出」を否定しています。

バーコードがRFIDになってスキャンしなくても精算ゲートが一括自動読み取りして決済するだけで、それがどうしたの?という感は否めない。

数百台のカメラと画像認識AI、RFIDと絶対単品認識スマートゲートという重装備を施して得るものは“無人運営”には程遠い“無人精算”でしかない。それも第二世代までは出口で人が監視する必要があり、最新スマートゲートの第三世代とて顧客の善意を前提としたものだ。

記事の中ではディスカウントスーパーでの例をだして話されているが、
まずディスカウントスーパーであるならば無人清算を取り入れ「人員コストの低下」「業務の自動化」を
進められる事は搬入・棚入れ陳列・補充整理で人員が必要になるとしても将来的にみても非常に大きな
取り組みです。

人員のコスト削減以前に、現状ですら多くの小売店は「店頭人員」の確保に苦しみ「雇用するコスト」に加え
「雇用者を探すコスト」に莫大な資金を投入しているんですからね。
この「雇用者を探すコスト」は、これから先に改善させる要素は少なく(人口減ってますからね)
今よりも大きな問題になるのは分かり切ってる話です。

それに加え、こんな事も書かれています。

顧客は四方八方から数百台のカメラに覗かれる心地悪さの一方、レジ待ちやセルフレジ作業から解放されるぐらいしかメリットがない。加えて、過渡期型では自分でスキャンしなければならないし、最新のスマートゲートとて自分で袋詰めしなければならない。

確かに四方八方カメラで見られているのは気分のいいものでは無いですが、
でもこれって今でもそんな変わらない状況です。
ある程度の店舗ではカメラ録画当たり前ですからね。
遅れていると言われる百貨店だって防犯カメラはあちこちついています。

あとレジが無人化する事によって確かに自分でのスキャンが必要になります。
ですが、一方で人員コストを抑えられる費用で無人レジ設置数は増えるでしょう。

考えて見てください、清算の待ち時間のストレスは「レジ1台に操作要員として1人割かれる状況」が原因です。
清算の効率を上げようとレジ設置数をあげれば、増加数分の人件費がもれなくついてくる訳です。
この記事を書いている人は年始のセールか何かで「レジの長蛇の列」に対して辛辣に文句を言ってたんですが、
その問題を解決するなら無人レジの導入は一番現実的に利にかなっているんですがね。

で、最後には「自分で袋詰めしないといけない」ときてます。
世の中の流れは「簡易包装」であるし、洋服だって別に自分で畳んで袋にいれればいいじゃないですか。
百貨店の過剰包装なんかは「長蛇の列」のひとつの原因でもありますしね。
ギフトでの購入なら別ですが、世の中のトレンドを考えると問題視するほどでもありません。

それにこの例え話でてくるのは「スーパー」です。
いや、もともとスーパーは自分で袋つめするでしょ。

そもそも「スーパー」での事例とアパレル店舗の実情をごっちゃ混ぜにして話す事自体がナンセンスですがね。

世の中の近い未来のトレンドを知る「目利き力」があれば、都合のいい人、悪い人、どちらに向けてもビジネスできます。

ここまで言っといてなんですが、僕は別にこの人を否定する訳では無いんです。
今後、アパレルのビジネスをする身として知っておかないといけないのは

「世の中のトレンドに乗りたく無い層が一定数いる」って事です。

つまり、この記事を書かれているような層に向けてビジネスを展開したいのであるのであれば、
今まで通り過剰なサービスでお出迎いしないといけない。
間違っても今後の世の中のトレンドに乗ってはいけないって事です。

この層の絶対公約数がどの程度のものかまでは調べていないので、なんともですが
社会的に見れば「ある程度のお金を使ってくれる層」であると思います。
一昔前でいう「良質な中間層」的なカテゴリーでしょう。

ですので、その層に向けてのビジネスを展開するのであれば、この記事は非常に参考になります。

一方で、世の中のトレンドは確実に今よりも日常にテクノロジーが組み込まれ、
人が請け負っていている割には「簡易的な仕事」はどんどん自動化で効率化されていきます。
このトプセラを読んでくれている読者さんで「電車に乗る時に改札で駅員さんに切符を渡して
スタンプ押して貰ってから乗ってたんだよ」って話ししても「は?なにそれ?」な年代の人も多いでしょう。

つい30年ほど前は自動改札の代わりに2、3人の駅員さんが立っていて「手動」だったんですよ。
自動化になり、今じゃ駅員さんの寒くて暑くても立ち続ける重労働もなくなり他の大切な仕事へ
手が回せています。

お客さんだって、ワンタッチで乗り降りできて快適です。

店舗だって同じです。
従業員は「レジ打ち」自体の仕事はなくなるかもしれませんが、一日中立ちっぱなしの労働から解放されます。
より「人にしかできないサービス」をお客さんに提供できる時間を確保できるでしょう。

無人化と同時にキャッシュレス化もより進み「買う事」へのストレスももっと減っていくはずです。

webという世界が日常の側面、いやすでにメインになってきている中で買い物がECに流れるのも必然。
そんな状況で、近い将来「リアル店舗」がEC以上の顧客価値を感じてもらえる存在になるには、
まずECと同じぐらいに買い物する際のストレスを無くす。

これをしないと相手にすらされなくなってきます。

この最低条件をクリアし、その上で「ECにはできない顧客価値」を作ることが
今後のリアル店舗での「勝ち組」になっていくでしょう。

時代のトレンドを抑えてそのトレンドを意識して未来のビジネスを考えるのか?
それとも、この記事を書いた層のようなトレンドに乗りたく無い層に向けてビジネスをするのか?

どちらにせよ、しっかりと近い未来を見れる「目利き力」は養っておかないといけないよ。

 

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四元亮平
About 四元亮平 183 Articles
PLAY inc 代表/リテールコンサルタント 全力でアパレル販売員を応援するメディア「TopSeller.Style」主宰 文化服装学院リテイルブランディング科 特別講師 アパレル企業のリテールマネジメントやBMW japanなどの他業界でもセールスコンサルティングを提供し、近年はリテール販売員のDX化を推進するデジタルセールス&マーケティングコンサルティングも実施。 アパレル業界全体のリテールロイヤリティ向上を目指しwebメディア「TopSeller.Style 」の運営や文化服装学院の特別講師も務める。 リアル.デジタル.経営.ベンダー全てを経験し四方向のナレッジをカバーできるスキルが強み。