①共感アプローチのつもりがお客様を雑談に付き合わせてしまっているかも
ちょうど今のような季節の変わり目は、アパレル販売員のみなさんですら、着るものに悩む時期ですよね。
そこで急増するのが、いきなり
「この時期、何着たらいいか困っちゃいますよねー!」
というお客様への声かけです。
いきなりのやつです。
このフレーズ、共感を得られると思って口にする販売員さんが多いのですが、そのあとの話は思いのほか広がりません。
それもそのはず、「今日は寒いですねー!」と言われたのとほぼ同じだからです。
お客様の「そうですね〜」という返事はあっても、その先が続かず間が持たなくて
「私なんか昨日、◯☆△︎で…」など、天候に振り回された失敗談を自ら暴露して終わり、なんていうオチもないような会話をしていませんか?
これでは完全に雑談ですし、お客様を付き合わせるかたちになってしまいます。季節の変わり目トークは乱用に気をつけましょう。
②「これかわいい」と「これ欲しい」は違う
販売員は、店内でお客様の見たり触ったりしたものに着目していますが、この時期、それがイコール欲しいもの(買いたい方向で気になるもの)ではないケースが増えることを気に留めておきましょう。
まだ周りの人の春の服装をよく見られていないし(傾向が分からない)
今季自分がどんな感じにしたいのかまだ分からない(なりたい姿が決まっていない)、
このような状態でご来店の方が増えるタイミングだからです。
ご来店前にしっかりリサーチをして買いに来たのなら別ですが、春の雰囲気を見に来た方が大半です。買わないからこそ無邪気に言える「これかわいい」もあるわけで、そこに販売員が「色違いあります」「サイズあります」とすかさず言ってしまうのは、お客様にとって興ざめの原因になります。
人気のタレントさんを見て「かっこいい」「かわいい」と言ったからといって、付き合いたいかというとそういうわけではないのと同じです。
③とにかく滞在時間を長くできたもの勝ち
春と秋は、立ち上がりでアウターを購入もしくはコーディネートで複数購入されると、少なくともそのシーズンはリピートしていただける率が高くなるといわれます。
どちらも、比較検討にある程度の時間が必要で、その間にお客様の目や耳、肌がショップに慣れるからです。
明らかに他店よりも長い滞在時間を獲得できれば、それだけお客様は自店の商品をよく理解されますし、商品との距離が縮まっていきます。
そうすると、次に新しいお店でまた一からそれをやるより、知っているお店に行ってみようとなるわけです。
滞在時間を長くするには、欲しいものが定まらないうちに追い込んで皮肉にも追い出してしまうより、「ごゆっくりごらんくださいませ」を言葉だけでなく忠実に体現してみると良いと思います。
異素材感が強くてきっと買わないけどなんだか目に付くメッシュ素材とか、履かないけど広げてみたくなるプリーツスカートとか、つい気を取られて見てしまう柄ものとか、そういったものを見て触って楽しむ時間も、せっかくご来店くださったお客様には積極的に提供したいものです。いちいちコメントしすぎず見守ったり、あえてのトラップをしかけたりするのも、工夫のひとつですよ。