VMDという職種。何に特化するかでタイプの違うVMDになる

こんにちは、kazです。

今回はちょっと趣向を変えて、ゆるく読める感じのVMDの職業紹介をしていこうと思いす。と、書くとVMDはVMDって職種でしょ?とツッコミが入りそうですが、その中でも何に特化するかでタイプの違うVMDになります。今後VMDを目指す方々に、漠然とVMDになる!から、こんなVMDになる!と方向性と言うか、選択肢と言うか、そんなモノを感じてもらえれば。具体的に何を学んで進んでいけば良いかの参考にしてもらえればと思います。

それでは、スタート!

VMDの業務フローって?

VMDをやっていると、閑散期と繁忙期がはっきりと分かれるし、一つの案件につき数週間~数ヶ月の時間がかかるのでプランニングから始まり実施までたどり着く頃には1年の1/4終わってました…。

なんてのがザラなので一息つく頃には季節変わってるなんて事もあります 笑

また、同じチャネルの案件だと全てが同タイミングで進むので中々に各案件への頭の切り替えやスキルのアジャストをするのが初めは難しいのです。

例えばロープライス、ローエイジとハイプライス、ハイエイジのPOPUPの二案件は考え方から全て違います。また、一つは出来上がったものに対するディスプレイのみ、もう一つはプランニングから発注、施工確認からディスプレイまでなどの案件毎の携わり方もマチマチなので同時進行のマルチタスクをこなす能力も求められます。

おそらく店頭の方が普段見る姿は店頭に来てレイアウト及びディスプレイをしてるだけの人みたいな感じではないでしょうか。

それ以外にも業務は多様にあり、さらに会社に属する所謂本部VMDとフリーランスで独立しているVMDでもその内容は変わりますので、次にその職務内容や範囲について説明していきます。

会社に属するVMD

まぁここは皆さんもある程度の内容は分かっていると思うので深掘りしませんが基本的には以下のような業務があります。

ただ、これも会社やブランドによりけりなので今後VMDを目指す人はこの中からどの業務に興味があり、それをするにはどのようなブランド、もしくは会社に行くのが良いのかの参考にしてくださいね。

  • 展示会(半期に一回の年二回)
  • 店頭巡回(都度)
  • シーズンマップ作成(半期に一回)
  • 月次戦略立案
  • 週次戦略立案
  • 出店、改装プランニング
  • POPUPプランニング

後は請求書の処理や店舗什器などの不良の際のメンテナンスなどなど…後半は地味です 笑。

先に書いた結構時間のかかる案件は展示会、出店、改装やPOPUPですね。

次にこのスキルを伸ばせばこんな事まで出来るようになるかも?を紹介していきます。

内装系

これは出店、改装時に店舗設計に深く関わる事が出来き、内装デザインや、家具の選定などを自分で行えるので設計は出来ないけど内装デザインに興味がある方はここのスキルを伸ばせばある程度の規模までなら自分でデザインも可能です。

建築家と違ってこのような内装系の設計は建築士の資格は必要ありません。なのでめっちゃ大雑把に言うと誰でもデザイン、設計が出来てしまいます。正確には館に図面提出の際には相手方は一級建築士などが出てきますのである程度の建築知識は必要ですが…。

現実的には以下の項目を勉強して店舗設計者とやりとりしながら作り上げるのがベストかと。

  1. 照明
  2. マテリアル
  3. 施工知識
  4. 図面の見方
  5. インテリア全般

 

照明

1の照明で学ぶべきは色温度とその違いによるその効果。演出照明とその効果、また器具の種類などです。

例えば色温度が高いと青っぽくみえ冷たい感じに、逆に低いと温かみのある柔らかい感じに見えます。ブランドのイメージなどに合わせての選定が必要となります。この色温度の単位はk(ケルビン)で、多くの店舗では3000kから3500kの所謂電球色、温白色と呼ばれるものが使われています。名前の通り電球の色、蛍光灯より少し赤みがある感じのイメージです。

ちなみにこの色温度は明るさではありません。明るさは別途、lm(ルーメン)、lx(ルクス)で表し、lmが光源の明るさ、ルクスが照明を当てている面の面積の明るさを表しますがあまり気にしなくて良いです。VPは明るく!壁面は少し弱い光で!などと、どう演出したいかが伝われば問題ありません。
照明の色温度などについての勉強はネットで「照明 色温度」などの検索キーワードで出てきますのでより深く勉強したい方は検索検索ぅ〜。

 

マテリアル

マテリアルとは素材の事で、店舗をデザインした時の壁や什器などの素材の事を指します。

壁面であれば天然素材の木(モク)や石、それらが高いので類似のシートを使うのか…。など出したい空間の雰囲気を決めるのに大きく関わる要素がこのマテリアル。

決められた予算の中でどの素材をどう使うかで店舗の空間はかなり変わってきます。

同様に什器、ラックをとっても形状から色まで様々です。金物だけでも鉄、ニッケルサテン、ステンレスなどがあり、それに対して表面仕上げもメラ焼、ラッカー、素地、ヘアライン、鏡面と多岐に渡ります。

これらが組み合わさって一つの雰囲気を作り上げるのです。このマテリアルを深く、広く知る事で多様な空間演出に対応出来るようになります。

ラックなどの金物については照明同様にネットで検索ぐらいしかないのですが、壁面や床などの素材はショールームなどに行けば本物が見られます。床であればシンコールやサンゲツなどのショールームで見れ、予約無しでフリーに見れる所もあるので気になる方は一度行かれてみるのもいいかもです。

 

施工知識

実際に店舗や什器を作ってもらう業者さんに対して仕上げや作り方などで見た目の良さを上げたり、コストダウンしたりとこちらからの提案で色々と調整をかける事が必要です。相手はプロなので任せておけば大丈夫!と、思われがちですが現場での対応で見た目はかなり違ってきます。

例えばフィッテングルームの扉が引戸の場合、内側見た時に引戸が剥き出しなのか見えないように壁をもう一枚内側にも建てるのか、壁面から、床から立ち上げるラックは表から支えるプレートが見えないようにインローにするのか?などとても細かな部分で普通の人は気づきませんが全体の仕上がり感として何となく良く感じる。と、いった見えない部分の大切さがこの知識です。

見えない部分で何となく感じる心地よさを作り出すために必要となります。

ここは正直勉強の方法があまりないのですが・・・職人さんと話すぐらいしか・・・

すいません。

 

図面の見方

図面には簡単に言うと2種類あります。

一つ目は平面図。↓みたいなヤツ

以前の記事でも説明していると思いますが店舗を真上から見たようなモノです。

これの見方はまずは什器レイアウトで導線が繋がっているか?必要な数の什器が配置してあるか?

カウンターの位置は?フィッテングルームの位置と数は?通路幅は?など基本的な配置を確認します。上から見た図面で実際にそこに配置してあるモノの高さや大きさなどの質量も考えながら確認をする能力が必要となります。これができないと思ったより圧迫感がある…、とか、逆にスカスカ過ぎた…となってしまいます。

この2Dから3Dをイメージする能力を鍛えるにはまずは沢山の平面図と実物を見る事です。

この図面のこの配置で実際にそこに立つとこういう風に感じるんだー。と、言った具合に自分で体験して感覚として掴んで行くことが練習になります。店舗勤務や学生の方は中々できないと思いますが、身近な所ではインテリアの本に著名な建築物の平面図が良く乗っているのでそれを見て、実際に足を運んでみるのも勉強になりますよ。

もう一つは展開図と言われるモノで平面図を部分的に切り取って立ち上げたモノです。

ここでは立ち上げ時の壁面の意匠感や高さを確認します。例えば平面図に「シェルフ」と記載のある什器の場合はこの展開図が無いと棚の厚み、枚数などが分かりません。そのためにこの展開図で各什器の形状などを確認します。

その他平面図には建築設備系を示したモノや天井照明をしめしたモノなどありますがそれはより専門知識が必要なので一先ずはスルーでいいかと。

 

インテリア全般

みんな大好きインテリア 笑。

自分の部屋をオシャレにするように店舗の家具類や照明をオシャレにする為なのでどのメーカーがどんな家具を扱っているか?ペンダントライトの種類や形状、敷物はラグ、カーペット、キリムなど出したい雰囲気にする為のモノを知っておく必要があります。

インテリアの本は多いのでそれを参考にするも良し、ACTUS,francfranc,cassinaなどの家具屋に行くも良し、ここは勉強しやすいと思います。

 

特にACTUSは登録すれば店頭での家具の無料セミナーなどにも参加出来るので積極的に活用するのもいいのではないでしょうか。

 

あと、インテリアで欠かせないのはグリーン!植栽や花ですね。これも雰囲気に合ったモノをセレクト出来るように普段から植物を見たり、すでに配置している店舗で見たりするのも良いですし、ネットで「グリーン レンタル」などでもレンタル屋さんの施工事例などで見る事が出来ます。

グリーンのセレクトは種類もさる事ながら大きさがかなり重要になりますのでそのあたりも気にしながら見ていくと良いと思います。

内装系に特化したVMDになると、出店改装はもちろん展示会、POPUPのプランニングなどにも役立ちます。

次に、現場寄りの内容としてディスプレイデザイナーや、デコレーター的な内容を紹介していきます。

 

ディスプレイデザイナーやデコレーターとは?

何度か書いていますが、今回はより細かく分けて紹介していきますね。

まず、ディスプレイデザイナーですが、こちらは飾る手前のプランニングを担当する人です。

場所としてはイメージしやすいのはWDや共通VPなどでしょうか。

どのようなイメージでどのようなモノを使いどのような演出をするか?を、考える人がディスプレイデザイナー、それに対してデコレーターはそのプランを受けて実際に飾り付けをする人です。

ディスプレイデザイナーとデコレーターとは別々の人がする場合もあれば一人でどちらの役割も担う場合もあります。

ちなみに会社に属する場合はどちらも一人でやるのが殆どです。

ラグジュアリーブランドなどではプランは本国から指示があり、それを日本の規格サイズにリサイズして発注するなどもあれば現地企画としてプランするところもあります。

 

ディスプレイデザイナーを目指すには

ここは内装系のインテリアにも近しい考え方が出来るのですが大きく2通りに分けることが出来ると思います。

一つは先程書いた内装系。この場合は家具やプロップスでウィンドウを飾り伝えたいイメージを構築して行くタイプです。

例えば冬のイメージを演出するのに北欧家具を使い、室内の温かなイメージの演出をするなどします。なのでここは前回のインテリアやグリーンの知識を身につけて行くと適切なプランニングがしやすくなるかと。

もう一つはアート系です。飾る商品にスポットを当て、そこから連想されるイメージを具現化して行く感じです。

例えば春先にフラワープリントを使った商品の演出であればマネキンにウィッグを用意して花結いのようにフラワーアレンジのヘッドアクセを付けるなど。

この辺りは発想力と表現力が重要になるのですが、まずは真似をしたり他ブランドのWDなどを見て引き出しを増やして行くことがおススメです。

身近で簡単なのはPinterestで探すと色々と参考になるモノが見つかると思います。

この2つに共通して必要なスキルは

  • 構成力
  • 空間把握

です。次はそれぞれの必要な理由と習得方法を紹介していきます。

 

構成力

WDのプランニングにおいては何も無い箱(空間)にどこに何を置けば良いのか?から始めます。

見せたいモノがしっかりと見え、かつバランス良く配置されなければいけません。片方に比重がより過ぎたり全体にバラけて纏まりが無くなっても良いWDとは言えないですからね。

以前このトプセラでも記事にしましたが商品配置の構成と什器やマネキンなどの構成も基本的な配置は同じ考え方ですのでまずは商品構成の勉強から始めるのが分かりやすく身につきやすいです。

その時に勉強方法として載せている「身近なモノでひたすら構成の練習」が構成力アップには向いているのでそちらも合わせて読んでみて下さい(宣伝)

【構成】を制するものが【ディスプレイ】を制す②

 

空間把握

これは読んでそのままですが意外と難しい能力です。WDのプランニングは画面上で作成していきますが、平面図、展開図を作ってみてもやっぱり実際の大きさなどの質量は図面とは感じ方は違っています。

このぐらいの大きさで良いかなぁ…と、思っていたらあらびっくり!ギリギリやん…もうちょいでウィンドウに入らへんトコやったやん…。なんて事も。限られた空間、しかも周りは壁で囲まれたウィンドウのような空間ではそこに配するモノの「質量」がかなり重要になってきます。

マネキンの高さは?プロップスの大きさは?などを正確に見極めたプランニングが必要です。

この能力を磨くのに僕が一番良いと思うのはストック整理などの収納です。

限られた空間に適切にモノを配置して効率よく収める。と、いうところが「空間把握」の能力に直結するからです。ちなみにこれはレイアウトにも関係するのでVMD担当者は積極的にストック整理しましょうね 笑。

 

デコレーターを目指すには

次にデコレーターですが、ここは皆さんが普段からやっていたり良く見ている所謂VMD的な感じに思われるかもしれませんが、それよりもよりディスプレイに特化した人達です。

例えばシワの入り方1つ、コート羽織り方、スカーフの巻き方などが全て緊張感のある美しさで表現できる人達です。

もうね、その美しさたるやホントヤバい。いや、もうヤヴァイ 笑笑。

現状の小売ではあまり求められる事のないスキルですが昔はホントこれに憧れてVMD目指してたなぁと、感慨深い…。

と、おじさんの思い出は置いといて、どうすればこのスキルを身につけてられるかは、もう反復しかありません。常に着せ付けに気を使い丁寧に着せていく。そしてシワの出し方なども何度も何度も練習する。これは1つの伝承スキルのようなもんなのでひたすらに練習してください。

一応練習方法としてはどうすれば自然な感じで綺麗に仕上がるか?を常に考えながらやってください。脳死はダメです。自分のストールを巻く時、ネクタイを締める時全てが練習です。

ちなみにその他の必要なスキルは「構成力」です。

構成力は先程のディスプレイデザイナーと同じ内容ですが実際の現場での調整力みたいなイメージですね。マネキンの配置はもちろんプランニングの時点で考えていますが実際に並べた時のバランスを見ての最終調整はどうしても現場で必要ですからね。

VMDではプランニングも大切ですが、最終的には現場でどう収めるか?が最も難しく臨機応変な対応が求められます。それこそ一朝一夕には出来ないものです。

こればっかりは鍛錬あるのみ・・・

なかなかに長い道のりではありますがその先には人を喜ばせる事ができる素敵な未来が待っています。

自分がディスプレイしたモノを見て感動などの心に影響を与える事ができるなんて素敵やん!

と、思い鍛錬に励んでくださいね。

もっともっと細かくすればラックのディスプレイが得意、テーブルディスプレイが得意など細かくはありますがそのあたりはまた別の機会に。

 

さてさてこんな感じでVMDという職種の紹介をしましたが如何でしたでしょうか?

それでは今年もよろしくお願い致します!

 

VMDに関する過去記事はこちら

↓↓↓

トプセラ過去VMD記事

 

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Kaz
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ドメスティックブランド、ラグジュアリーブランド(全てメンズ)で販売及びVMDアシスタントとして経験。販売歴10年。販売時代は店鋪VMD、CRM、スタッフ教育など全てをこなすオールラウンダーとして活躍。その後現会社にVMDとして入社。基本ミセスアッパーブランドを軸に、卸展示会、SC系レディースから百貨店の婦人服、雑貨のブランドを経験。販売経験を元に顧客目線、販売員目線でのVMDを得意とする。店作りのモットーは『買い易く、働きやすい 顧客にもスタッフにも優しい店作り』