こんにちは、タニグチレイです。
先日このような記事がWWD JAPANにあったので見た方もおられると思います。
キム・ジョーンズがFENDIウィメンズのデザインも手掛けるというニュース。
オートクチュール、レディ・トゥ・ウェアにファーのアーティスティック・ディレクターを恊働するというもの。
今回はこの記事でデザイナー自身のことやブランドのことを掘り下げたいわけではなく興味を持ったのがファーの件です。
純粋にキム・ジョーンズが手がけるファーがどういったものになるか楽しみですがなにかとファーに関してはここ数年ビッグメゾンを中心に取り扱いをどうしていくか話題になっていました。
ファーフリー宣言が拡大していきGUCCI,Stella McCartney,Hugo Boss,Ralph Laurenなど他にも多くのブランドが名を連ねています。
フェイクファーやエコファーの方が気軽にファッションを楽しめたり動物愛護の観点からも良いと注目をされることも多いです。
今は養殖はあるとは言えもともと食肉の副産物である皮革は天然資源の有効活用であり産業が発達する以前より人は取り入れることで生き延びてきました。
遠い昔から今に至るまで人の暮らしの近いところにある毛皮を含む皮革。
主張はそれぞれの立場に正義があります。
この先も世の論調とともに変化しながら続いていくのでしょう。
そんな毛皮について今回は議論を投げかけるのではなく先週少し触れた家庭用品質表示と絡めた内容で書いてみたいと思います。
毛皮は家庭用品質表示法の規制は適用されていない
衣類は家庭用品質表示法で規制されていることは皆さまは毎日のように扱っている商品で馴染み深いはずです。
そして先週レザージャケットなどの革衣料でほんの少し例えに挙げました。
毛皮も革衣料と同様の製品にようにも思えますが毛皮は原則家庭用品質表示法の規制は適用されていません。
これに対して表示義務を消費者庁に求める声もあったようですが変更には至っていないようです。
かつて毛皮は高級品であった(今でもですよね)ことから家庭用品には含まれていないという理由がひとつありそうです。
しかし例外はあります。
それはダブルフェース加工を施した製品で表側が革面になる場合やリバーシブル仕様の場合は家庭用品品質表示法に則った表示が必要となることがある。
ここで出てきたダブルフェースとは主に羊や子羊の毛皮と肉面の両面を表として使えるようにしたものです。
ムートンを想像してもらえると一番分かりやすいでしょう。
原料となる毛皮は繊細な毛をしているシープスキンやラムスキン。
毛は刈り込み染色などを施し肉面はバフィングマシンで毛羽を揃えたスエードなどにすれば両面使える素材になります。
塗装やフィルムを貼って仕上げたり加工もするのでデザインによって色々ですね。
ムートンのコートなどは「羊革」と表示をされているのを目にしたことがありませんか?
その下に取り扱い状の注意が続いているはずです。
こういった製品などの場合が例外に該当しており表示されています。
では、エコファーはどうなのでしょう?
これは毛皮ではありませんから家庭用品品質表示法の規定通りに表示しないといけません。
エコファーはアクリルやポリエステルなどの化学繊維でできています。
天然の毛皮は刺し毛と綿毛の二種が密生しておりその構造に似せて作られています。
ちなみに刺し毛はガードヘアと呼ばれ動物の身体を水や刺激から守る毛で耐久性や耐水性が特徴です。
綿毛はアンダーファーと呼ばれ細く密生していることで空気の層を作り体温を逃さず保温性が特徴です。
自然の厳しい環境で生き抜く動物の身体を覆っていると想像すると優れた機能性もうなづけますね。
そしてエコファーもこの構造のように長短組み合わせてより自然な毛足になるようにされています。
話を戻しましてこのように繊維製品のものですから規定通りに表示されているというわけですね。
もしご家庭のクローゼットに毛皮のコートとエコファーのコートがあったら品質表示を見比べてみてください。
ムートンのコートもあればそれもご覧になってみてください。
その全てが揃っているクローゼットは品質表示よりも他にどんなものが並んでいるのかそっちの方が気になって仕方ないですね。