爽やかな気候が続いていて、春好きの僕としては嬉しい日々であります。
春夏の商品で目立ちやすい高級原料といえば、シルクだと思います。春夏に限定するというのは、僕個人的にどの繊維に対してもあまり好きではありませんが、世間一般的にはそんなイメージなのではないかと思います。
シルクって、何か知ってますか?
え?バカにしてんの?って?
バカにしてないっす。でも世の中にはあまり知られていないんですけど、ビニール袋って実は石油からできています
シルクというのは、蚕という蛾が幼虫から蛹になるときに作る繭からできています。
ただ一言にシルクと言っても、品質表示にそう書かれていたとしても、シルクには様々な分類があります。
まず、シルクの元になる、繭が天然なら『野蚕(やさん)』、養殖なら『家蚕(かさん)』で分かれます。
僕らが目にしているシルクはわりかし家蚕が多いです。野生は結構レアですが、繊維の質でいくと(数字スペック的に)家蚕の方が繊細です。
天然物はいわゆる、ワイルドな感じです。
実は蚕が吐き出している繭は、最初から最後までつながった一本の繊維でできていてその長さは1,200m~1,500mほどの非常に長いものです。
故に、シルクは天然繊維の中で唯一の『長繊維』ということになります。
また、糸になっている種類も異なります。
お着物や高級メゾンのスカーフなどによく使用されているシルクは生糸(きいと) と言って、シルク長繊維をそのまま束ねて糸にしており、繊維の切れ目がないから非常に強い光沢とツルツルとした風合いになります。
衣料品に使われているほとんどはカットシルク(スパンシルク)で、上記長繊維状のものを切って短繊維にして使用されています。短繊維シルク100%のものを絹紡糸(けんぼうし)と言い、カットして他の繊維と混ぜて利用されるシルクもこれらの応用が多いです。
絹紡糸も繊維長は4-8cmと長めのものが多いので、その質感はツルツルとしたり、チラチラと光沢感を覗かせたりと、シルクっぽさは結構あります。
あまり知られていないシルクの利用方法として紬糸(ちゅうし)があり、真綿や屑繭から糸に紬あげるシルクもあります。こちらは生糸や絹紡糸の残り(屑繭)を利用することが多く、繊維の長さが短いので、ツルツルというよりは、しっとりねっとりとした風合いが特徴です。見た目も粗野っぽいです。
たまに、『シルク』と書いてあっても(これでシルク!?)ってなるようなものも見かけると思いますが、シルクにはこれらのように、様々な方法で繊維利用されていることがあるので、シルクの風合いというものを一概にひとくくりにできないのが、繊維の面白いところでもあります。