- ニーズの接客
- ウォンツの接客
TopSellerブログの読者のみなさんなら、一度くらいは聞いたことのあるワードかと思います。
あなたがアパレル販売員ならば
このふたつの違いを説明できますか?
具体的なシーンが思い浮かびますか?
接客中にこれを意識していますか?
詳しくはマーケティング関連の書物を読んで欲しいですが、ニーズとウォンツについては著者によって解釈や定義づけのニュアンスが多少異なるのと、アパレル販売員視点で書かれているものがなかったので、今日はこれについて書いてみようと思います。
数ある書物と私の視点を包括した内容ですので、その点はあしからず。
ニーズとウォンツのサイクルを回せば顧客満足度UP
まず、ニーズとウォンツの森野流定義を
- ニーズ⇒持っていないから欲しいもの
- ウォンツ⇒そうと知ったら(分かったら)欲しくなるもの
- ニーズの接客⇒お客様の頭のなかですでにイメージできているお買い物の接客
- ウォンツの接客⇒お客様の想像の範囲の上をいくお買い物の接客
とします。
そして誰も書いてないから今日書きたいのは、接客中このニーズとウォンツに成長の螺旋を描かせることで、顧客満足度はぐんぐん上がり、実質的な顧客にすることができるという考えです。
スタートは、お客様が自覚しているニーズ
お客様は、何かをきっかけで「持っていないもの」に気づき、そのイメージをニーズとして携えてご来店されています。
その「持っていないもの」が、ベージュのトレンチコートなどと具体的な場合もあれば、春に着られる羽織ものなどでぼんやりしている場合もあります。
接客についた際、お客様がどうしてそのニーズにたどり着いたのかを察し、その過程に突っ込みどころを発見することから、ウォンツの提案が始まります。
例えば「ベージュのトレンチコートを持っていないから欲しい」理由が『とりあえず春物の羽織がなくて、なんかみんな着てるから』だった場合、以下のような突っ込みポイントが浮かびます。
『お客様小柄で華奢ですからトレンチコートはうまく着ないと着られてる感出ちゃって難しいですよ。ステンカラーのAラインコートにしたら?』
『みんな着てる、のみんなはどこのみんなですか?学校?職場?確かに春になるとみんな見分けがつかないほどベージュのトレンチコート着てますよね?お客様ちょっとファッションにこだわりありそうだけど、そういうの平気?どうしてもトレンチがいいならネイビーもあるけど?』
もちろん、このまま口には出すわけではないですが。でもこのくらい、クレヨンしんちゃんとか綾小路きみまろさんくらいの刺しこみはあったほうが、かえってお客様が心を開いてくれたりします。
『やっぱそう?実はそんな気はしてたんだけど、じゃあどうすればいいのー?!教えて!本当は春物のコートが欲しいだけなの!』という感じで。
ここまでで、お客様のニーズの洗い直しができました。ニーズは、ベージュのトレンチコートではなく、春物のコートです。
お客様の自己完結に付き合うだけなら販売員はいらない
お客様は、潜在的なニーズや不安に気づいてもらえたことで販売員に対し安心感や信頼を寄せ始めていますから、お客様がベージュのトレンチコートにたどり着いてしまった理由を、ライフスタイルなどのお聞きだしにより共感しながら整理します。
そこからは、それならばという商品提案がアパレル販売員ならできるはずです。
そうすると、お客様は販売員によって新たに提案されたコートが欲しくなります。
これが、螺旋を一段上がったニーズです。
つまり
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ウォンツ①ベージュのトレンチコートではない、自分に似合うコート
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ニーズ①ベージュのトレンチコート
ここまででもアパレル販売員の役目は担えているとは思いますが、あなたが売れるアパレル販売員ならもう一歩いきましょう。
螺旋に終わりはない
そう、ウォンツ②の提案をします。
『聞いた感じだとお客様、ほぼ毎日このコート着そうじゃないですか?
冬のウールコートと違って春のコートは襟の内側の汚れが気になるものですよ。シャツとかそうでしょ?ああいう汚れが染み付いちゃうと、来年着るときテンション下がるし今シーズン中も着てて気持ち悪いですよね。
ストール買っておきます?寒いときも、これあると重宝しますよ。こうやってストールを首にかけてからコートを着れば、ほら大丈夫。素敵だし。
しかもこのストール洗えます。普段も使えそうですね。この色もかわいいけど、普段も使うならどっちが好み?』
こんな感じで、起承転結(キラリ)。
コートを実際に着るようになってから起こり得る、汚れや寒さという問題をあらかじめ提議し、より快適な着用と、せっかく買うなら来年も着たいという潜在的なコスパニーズに応える提案をしています。
ここまでくると、お客様のお買い物は
用意しなくちゃいけなかったベージュのトレンチコートから、春をおしゃれに過ごせる自分らしいコートとストールになっています。出費のイメージは経費から投資に変化し、お買い物が楽しくなっているはず。
こうして、螺旋を二段上がったニーズ③になりました。
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ウォンツ②販売員が提案したそのコートをより快適に長く着る方法
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ニーズ②販売員が提案したそのコート
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ウォンツ①ベージュのトレンチコートではない、自分に似合うコート
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ニーズ①ベージュのトレンチコート
エンドレスで螺旋を上がり続けてもいいですが、予算都合もあるでしょうから、もしここでお会計に移るなら、あとは夏の仕事着のイメージでもお話ししておくことです。初夏の頃に思い出して、きっとまた来てくださいます。
そのあとしっかり顧客化できるかどうかは、また別の機会に。
以上、アパレル販売員に必要なニーズとウォンツの考え方についてでした。
来週は、ギフト提案について書こうかな。