最近また、ファッション業界を憂う内容が多いですが、アントワープで絶賛ファッションに溺れているわたしです。
しかし、ファッションを楽しむという感覚がすこし伝わりにくい時代が到来しました。
SNSによって生まれた個人の力によって、センスに関しても完全に多様化していますね。
最近は企画の仕事も相まってか、この「センス」について、質問されることが増えてきました。
わたし自身、熊が出て集団下校するような北海道からはるばる出てきた田舎者ですので、最初はやっぱり苦労しました。
それが天性のものではなくとも、やっていくためのセンスとの付き合い方について、個人的な考えをまとめてみたいと思います。
センスはある種の最適化
どんなアウトプットにも、バランスは最重要問題です。
これはわたしが行き着いた「センス」に対する1つの側面から見た答えなのですが、(驚いたことにあのくまもんを作った水野さんも同じようなことをおっしゃっていると教えて頂いて驚きました。)それは最適化。
やはりコツは多くのインプットから。
あらゆる方法、あらゆる意見を聞いた後で、自分の中で昇華して新しくアウトプットする。
引き出しの多さが重要になってきます。
デザイナーになった当時、何かをデザインしたり作ったりするには、たくさんの情報が必要でリサーチをしまくる必要がある。というのはなんとなくわかってきました。
そうやって引き出しをたくさんたくさん増やしていく努力を片方でしなくてはならなかったわけですが、これがまた楽しい。
知らない古着屋さん、ブランド、インテリアから食べ物まで。流行りのものから王道までを知っていく作業はとても楽しいものでした。
そうして増えていった知識の引き出しがどどん!!!とたくさんあるわけです。その引き出しの中から、各案件に対して最適と思われるものを選び、時に掛け合わせたり、割ったり、上澄みだけすくい上げたりしてどんどんオリジナルにしていく。
これをわたしは最適化と呼んでいます。
リサーチした資料はデータ、紙など場合によって違いますが、極力保管しています。
その資料は自分の思考回路を説明するため、またはあとから見返して確認するために必要だと思っているからです。
同時に、説明のできないデザインはデザインしていないも同然。ということも言えます。
個人的にはこの表現はやや乱暴な気もしていますが、やはりある種真理であるとも思います。
ニュアンスというとものも同じくらい大切にしていきたいのですが、佇まいで伝えられないニュアンスなら、ない方がいいとも悩むことも多いです。
このあたりの考え方が、最適化する際にも影響して、よりオリジナリティあるものになるのかな、とも、考えます。
インプットするならどうしたらいい?
これは本当によく聞かれることが増えました。
どうやってインプットしてるのか。という質問ですが、これはもうわたしに関しては職業病で「常に」という答えになってしまいます。
なにか自分の嗜好や琴線に触れたものを見たら、すぐに写真を撮ったり、買ってみたりするようにしています。
そしてそれがなぜ、自分の琴線に触れたのかをできるだけシンプルに説明できるように分析します。気持ち悪いですね。
それは家にいても電車の中でも旅行中でもです。なのでオンとオフの切れ目がなく、たまに心を無にして何もない場所に旅に出てしまう習性があります。
そしてインプットしたものに関してはデータ化するなり紙だしするなりして極力保管しています。あとで思考回路を整理するのにとても有効だからです。
そうやって蓄積された情報を、どのように使うのかを考えてケースに応じたアウトプットをできるようになりたいなとおもいます。
センスは磨ける。
わたし自身、北海道の片田舎から出てきた人間だったので先天的なセンスなどあるはずもなく、その部分に関しては相当悩みました。
それはセンスを先天的な特別な何かだと思っていたことにも原因がありました。
センスというのはまず第一に特別な力ではなく、多くのインプットから生まれるアウトプットの「切り口」であるという考え方になってからは、それを磨くことがどんどん楽しくなりました。
意識してインプットし、また意識的にアウトプットすればインプットとアウトプットのいい循環ができます。
また、ネットの情報はアクセスしやすいぶん、インプットとしてはやや希少性も低いです。なのであらゆる場所に赴いて出掛けて、あらゆる王道やアウトサイダーに出会うのは、そのあたりとも差がつくので(個人的に自分で見て触らないと納得しないだけともいう)気をつけてやっています。
出掛けないと出会わない。
見つけようとしないと見つからない。
そういうものをどんどん吸収して自分らしくアウトプットすることで、センスはさらに磨かれ、さらに唯一の個性になると考えています。
センスは難しくない。でもたぶんここが難しい。という禅問答のようなことを思った、アントワープ滞在中の中溝がお送りしました。
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