染まりがちな業界でゲームチェンジャーはどこにいる?

はるばるやってきました北海道!

いま22℃です。風があって半袖では寒い。

SC〜ファッションビルまでチェックしても、ノースリーブに手を伸ばす人はほとんどいません。

むしろ立ち上がりの秋物がでていたらそっちが欲しくなるほどですね。

さて、最近は他業界からの参入も多いアパレル業界。

現実的に見ると、業界全体でゲームチェンジャーとなるような企業の参入が求められているように思います。

こうカタカナを使うと、カタカナばっかり使うんじゃねえと全然違う切り口から突っ込まれそうですが。

一時代の歴史を築いてきてくれた大手企業が、いますぐに業界を変える手を打てるかというとちょっと難しそう。百貨店は内部構造・体質故にビジネスモデルの崩壊が近づいています。

黄金期を築けたことと、フレキシブルに時代に対応できることは全く別のスキルであるように感じます。

『衰退』していると表現されるファッションアパレル産業。

そこに対して情緒的になってしまうのは致し方ないことかな、と思いつつ、変わらなくてはならない部分はたくさんありますが、個人的にはいまだに悲観していません。(過去記事:私はファッションを悲観しない

 

旧来のビジネスモデルをなぞってはならない

 

「ギャルソンやヨウジヤマモトのような・・・」

という言葉をデザイナーからよく聞きます。

あのビジネスモデルの成功をなぞっていることはなくとも漠然と意識しているような話をよく聞くんですね。

でも「個性的」と評されるあのテイストを多くの人が着ていたわけで、それは転じて多様性がなかったが故の同質化とも受け取れます。

バブル景気と重なっていたことも踏まえると、まるで今ブランドを始める状況とその時とでは状況が違いすぎるようにも思います。そして、当時のスタープレイヤーたちの今のフェーズと、これからブランドを始める段階のフェーズではまったく違います。

ということは従来のやり方をなぞっていればいいということではない。

同時に全員がゲームチェンジャーになるチャンスがあると言えます。

 

従来の販路で考えると百貨店がありますが、

そもそも百貨店と取り交わすことが多い消化仕入れはブランドにとって売れても売れなくても負担が大きい

返品の可能性があるのに30〜40%を百貨店に持って行かれると前提して上代を設定しなくてはならない。

以前催事で参加するブランドを手伝ったことがありますが、40%を百貨店に、間に入った取次にマージンを20%持って行かれることがありました。

「無理ゲーですね・・・」という感想でした。

こことがっつり手を組めるかというと組めないんです、資金調達していたとしてもベタベタになるメリットはない。

つまり、今の状況を変えようとしている企業や個人と手を組むのか、それとも実績がある場所だけと手を組むのかは一度見直す必要があるように感じています。

現状のセレクトショップ・百貨店からは「今回何売れてる?」「どこがつけたの?」と実績で見られるブランド側。

自分たちも周りを実績で見たくなるのもわかりますが、そのサイクルから抜け出すにはいろいろな手段が残されていますよね。

 

デザイナーの意思は服に対してのその先へ

 

これは服やクリエーションをおろそかにしていいという話ではなく、服作り・仕様・クリエーションが追いついているデザイナーさんは、さらにその先を見ていくステップアップが必要だと思う。ということです。

つまり、「ブランド作り=服作り」からさらにワンステップアップするタイミングがあるのでは?ということを思うのです。

服が作れればブランドを立ち上げることはできますが、ユーザーとの接点を増やす、販路を選定する、強いては売り上げをあげるということを「服作りを極める」の一点で突破するのは相当難易度が高いといえます。

ファッションの文脈を知り、己の解釈があるデザイナーのクリエーションはとても魅力的で目を見張るものも多いです。デザインに対するレベルが一定まで保てるのであれば、その次です。

服作りとは全く別のスキル。

ブランド運営のスキルを得て、視点を服からユーザーに切り替えられること、幅広い切り口を持つこと。

そのためには業界人が嫌う、ファッションの文脈を知らずしてブランディングをする人たち

従来のビジネスにとらわれない人たちに自ら積極的に接していく必要があるのではと感じています。

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中溝 雪未
About 中溝 雪未 69 Articles
1990年生まれ。コレクションブランドの企画室でインターンからデザイナーアシスタントとして勤務。その後アパレルブランドで布帛・ニットをはじめとするデザイナーの経験を積み独立。現在フリーランスとして企画・デザイン・パターンを担当。 プロダクトアウトなものづくりからマーケットインまで、偏らないバランス感覚を武器に、コンセプトメイクからお客様に届くまでをディレクションするプランナーとして業界を問わず活動中。