商品の”物”と”価値”の関係

各所春めいたディスプレイも目立ってきて、気分は一気に暖かいモード!

ですが風はまだまだ冬っすね・・・北海道出身といえども寒さが身にしみます・・・。

あ、熱燗かな・・・・ぬる燗くらいが好みです・・・・

さて、ものづくり商品・サービス作りについての話か美味しいご飯の話しかできない今日この頃。

最近は「体験を売る」なんて文言も普通になってきましたが。笑

小売りを名乗るからにはわたしたちはやっぱり”物を売って初めて利益が発生する”のだと思います。

ただ、商品を作るときに

「あそこがやってるからうちもやろう」

「これを着ている人をよく見る気がするからこれ作ろう」

だと物が先行しているケースが多いように思います。

 

会社もしくはブランドごと商品だと思うべし

たとえば「これが流行っているようだし、うちのお客さんのスタイルにも合う。取り入れてみよう」

ならまだしも、まったくカラーに合わない物までやり始めるのはどういうこった〜という話です。

売っているのは”物1点1点”ですけど、お客さんに”それだけ”売ってるならブランドビジネスである必要はないので、量販のような方向になってしまうように思います。

ユーザーにとってその企業・ブランドから買う意義がそこには発生していないからです。

同じ売り上げでも、これはビジネスの路線としてもえらい違いです。

商品作って売れてるからってブランド作りがうまくいってるってことじゃないことも大いにありうる。

会社・ブランドがどんなバリューを提供しているのか。

使いやすさや機能性を超えて、むしろ「ここは我慢しなきゃだけどそれでも欲しい」と思わせるのがお得意なのが欧州のブランドたちですよね。

これはデザインや値段など、ものづくりの段階だけでどうにかできる問題じゃないのではないかと考えます。

 

機能性・使いやすさをブランドにするにしたって

form follows function.

という言葉があります。

形式は機能に従う。ですが、機能性や使いやすさを売りにするにしたって、企画段階から熟考が必要です。

ユニクロの”ライフウェア”は商品・広告・デザイン・ものづくりの体制に及ぶまでその軸をブラしていません。

機能に従うデザイン、その本質の本質まで研ぎ澄ますからこそのデザインだと謳い

その一方で”ライフウェア”らしい日常の値段でなくてはならないと考え、

そのためにはどんどんディティールを削いでデザインしていくという(1億の服のデザイン/著 滝沢直己)

デザインも価格もコンセプトを体現しています。

これこそが売っている価値であって、それをユーザーに刷り込むことに成功しているし、

「これでいいか」「ユニクロでいいか」を常に底上げしてきて

「ユニクロが自分のライフスタイルに合っているんだ」とまで言わせる信頼感を獲得しました。

恐ろしいですね。

 

何かを我慢してでも選ばせるブランド

デザインを整えてそれなりの価格で出す、というのは人の心を動かしませんし、共感を呼ぶポイントは少ない。

USBコネクタがなかったとしてもMacを選ばせ、

新作が出るたびにくわられるアップデートは古いデバイスに負荷をかけているとしか思えないのに高額なiPhoneもそれでも離れられない不思議な吸引力があります。

合理的な判断とは言い難いこの判断をファンは行っています。

それを「ユーザーをだましている」と言いがちなのがうーん難しい。

なんどもなんどもリデザイン・修正をするそのコストや背景の人々への評価にも直結する部分です。

いいものを作るその向上させてゆく技術力をブランド化して、その分の上代をつけることは

その技術の価値を高めることにもつながるのではないでしょうか。

 

 

 

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中溝 雪未
About 中溝 雪未 69 Articles
1990年生まれ。コレクションブランドの企画室でインターンからデザイナーアシスタントとして勤務。その後アパレルブランドで布帛・ニットをはじめとするデザイナーの経験を積み独立。現在フリーランスとして企画・デザイン・パターンを担当。 プロダクトアウトなものづくりからマーケットインまで、偏らないバランス感覚を武器に、コンセプトメイクからお客様に届くまでをディレクションするプランナーとして業界を問わず活動中。