ファッションブランドと異業種分野のコラボが昨今、珍しくなくなってきています。自動車とのコラボもあれば、家具とのコラボ、アニメ・漫画などのキャラクターコラボと、その組み合わせは多種多様です。こういった現象が起こってくるのは何故なのでしょうか。この件に関して、自分なりの見解を記しておきます。
○他業種のユーザーへリーチが可能
これはどのコラボでも言える事ですが、メリットとしてはコラボ先の影響力を活用できたり、今までリーチできていなかった顧客へ情報を届ける事ができたりという恩恵があります。ファッション業界でわかりやすい事例だと、H&Mやユニクロがコレクションブランドとコラボしている件でしょうか。ファストファッションとラグジュアリーという対局に位置するブランドがコラボする事で、今までリーチできていなかった層へリーチする事が双方可能になります。即効性はありますが、双方にメリットが無いと実現しないので力の無いブランドではまずやりたくても出来ない施策にはなるでしょう。
○ファッションはそれ単体だと体験価値が弱い
もう一つ、こちらは持論になりますが、ファッションはそれ単体だと体験価値が弱いと考えております。機能性商材や体型カバー的な商材はそれ単体で体験価値がまだ強いですが、服は基本的には「来ていく場所」に体験価値があります。袖を通した段階で、という話もあるかとは思いますが、それだけ価値が高いならわざわざ「リゾート」とか「スポーツ」とか「アウトドア」とか付加価値をプラスする必要は無いはずです。
異業種コラボで言いますと、音楽や漫画、スポーツカーなどはそれ単体で体験価値が高いです。音楽は聞いた瞬間、漫画は読んだ瞬間、スポーツカーは乗った瞬間にわかりやすい体験価値があります。異業種コラボはその体験価値を利用して服を販売するといったところでしょうか。音楽フェスに行きますと、グッズ販売に長蛇の列が出来ていますが、音楽での体験価値が大幅に服の価値を上げているからこそバカ売れしているんではないかと。それぞれのヒットコンテンツがコミュニティを形成し、そこから生み出される製品の付加価値を押し上げるのです。
ファッションの体験価値が弱いという面だけを見ればネガティブな印象にもなるのですが、逆に言うと様々な体験価値に紐付ける事ができるのもファッション特有の価値だと言えます。今後も異業種がどんどんファッションに参入してくるかと思われますが、どこがユーザーにとって体験価値が高いのか?は意識して見ておく必要はあるでしょう。