以前から、愚にもつかないことを書いている某コンサルタントがいて、仮にR氏とします。
通常のコンサルタントは合っているか間違っているかは別にして、基本的に何らかの「理論」に沿って現状を解明しようとします。その理論がおかしい場合ももちろんあります。
しかし、このR氏は読む限りにおいては、理論のリの字もありません。それでいて仕事に困っている様子もありません。もしかしたらキラキラ起業女子のように「仕事に困っていない自分」を演じているのかもしれませんが、実際に困っていなさそうです。
正直に言って、その理由がわかりませんでした。
そこで業界を調査してみると、こんなことがわかりました。
その昔大ヒットした某ブランドがありました。
このブランドを「あれは俺が開発した~」と吹聴して回っていたのだそうです。開発者は別にちゃんとおられますし、その後のプロモーションが上手く行ったというのも大きな理由です。
しかし、それをなぜか、大手商社やファンド、大手アパレルの経営者はいとも簡単に信じ込んでしまうのです。まことに不思議な現象と言わねばなりません。
この人に限らず、「あれは俺(わたし)がやった」という人が業界には多数います。それだけで飯を食っている人も珍しくありません。
それらを指して当方は「あれ俺詐欺」と呼んでいます。
「あれ俺詐欺」は業界に本当に数多く徘徊しているのですが、ブランド立ち上げやブランド再生が上手く行った試しはありません。元来、その実績は存在しないから当然です。
毎年、プロ野球ではトレードやフリーエージェントなどで何人かの選手が移籍します。
そして移籍後まったく活躍できない選手も珍しくありません。同じポジションで同じように起用されているにもかかわらず、前チーム時のような活躍ができないのです。
それほどに人間というのは、やっていることは同じでも所属集団が変わるだけで実力が発揮できない脆弱な動物だということがわかります。
「あれ俺」が言うように何ブランドも渡り歩いて、必ず実績を残せることはほとんどありません。稀に本当にそういう人がいますが、それは本物の天才とか仕事師という人です。そしてそういう天才はごく少数しか存在しません。
販売員の皆さんもときどき、「この人大丈夫なの?」と感じるような外部からの指導員やコンサルタントを見たことがあるのではないかと思いますが、一定数量で「あれ俺詐欺」の人が含まれていると考えられます。経営者はとくに「あれ俺詐欺」に引っかからないようにしてもらいたいと心から願わずにはいられません。