こんにちは、タニグチレイです。
アパレル販売をしていると革製品のアイテム比率はそれほど多くないと思います。しかし靴や鞄、財布などの小物やウェアなど少なからず扱っています。そういった商品にはどんな素材が使用されるのでしょう?
今回は一般的によく使われる革の種類をざっくりと紹介します。
今年最初の記事で革の主成分はタンパク質の一種「コラーゲン」であることは書きましたね。脊椎動物が豊富に持つものでありその皮が原料となる。そのため魚類でも爬虫類でも革に「鞣す」ことは可能です。
ヌタウナギやアカエイ、ヨシキリザメ、イリエワニなどの皮も鞣されて革として流通しています。今回はこういったエキゾチックレザーといわれるものや毛皮は除きます。
皆さんも比較的馴染みのある革や扱ったことがある革を想像してみてください。
牛革は一番代表的な革
革といえばくらい代表的であり世界的に流通量が最も多いです。肢体が大きく丈夫で厚みがあり大きな革が取りやすいので様々な製品に使用されています。
牛の年齢、去勢の有無や性別で呼び名や革の性質が変わりますが種類も多いので別の機会で改めて。幅広い年齢の原料皮が供給できるということですね。
原皮の生産は中国、インド、ブラジル、アメリカなどが多く国内はそれほど多くない。(飼育頭数や革の生産量は上記に同じというわけではありません。輸出入や製革産業の規模によって変わります。)食肉の消費量を想像するとおおよそ想像できますね。ちなみに黒毛和種(和牛の大半)の皮は飼育が良いので傷が少なく良質だそうです。
比較的均質なコラーゲン線維構造を持っていて皮の厚さはネック(首)が一番厚くバット(尻)にかけて薄くなる。頭から尻の方向ですね。
そしてショルダー(肩)は厚みがあるがベリー(腹)は最も薄くなる部位。背から腹の方向ですね。
柔らかいということは伸びやすいということでもあるので例えばベリーは荷重のかかる部位へは使用しないほうがいいということになります。
ショルダーは繊維の絡まりが細かく密度が高い。ベリーは繊維の絡まりが粗く空隙が多い。
肩ロースがきめの細かい肉質でバラはきめの粗い肉質みたいなものですね。
いや、どっちもそれぞれに美味しいですしどっちがいいかは好みで大丈夫なので肉の好みと革の特徴は別にいいですね・・・。
少し脱線しましたが、製品では靴、鞄、財布、手袋、ベルト、ジャケットなどあります。
豚革は国内で自給できる革
言い伝えでは紀元前7千年頃に中国と西南アジアで野生のイノシシを家畜化したと言われています。そのためかアジア中心で飼育されており世界の半数を中国、そのほかはアメリカ、ブラジル、スペイン、ドイツ、ベトナムなど。そして日本国内でも供給しており良質で海外からの評判も良いそうです。
特徴としては軽くて摩擦に強く比較的安価。上質な鞄の裏地に使われることも多いです。
理由としては表面に3つひとかたまりで並んだ毛穴は表皮から皮下組織まで貫いているので通気性が良い。
さらに表皮の下に乳頭層はあるが網状層が無く脂肪などの皮下組織になる。そのため銀面だけの厚みの革しか作れないのです。
しかしコラーゲン繊維が牛皮より細く緻密に絡まっているため摩耗に強く丈夫。そして繊維質が細かいことで床面を起毛させると非常に滑らかな肌さわりのピッグスエードになります。
以上のことから軽くて通気性がよく薄手でも丈夫で上質な裏地として好まれるということですね。
製品では鞄、靴、手袋、鞄の裏地、靴のライニングなど。
馬革は光沢のあるコードバンが有名な革
フランス、アルゼンチン、アメリカなどで飼育されることが多く馬肉文化は国や地域によって差がありそうですね。コラーゲン組織は牛よりもきめが粗いが柔らかな質感であり銀面は平滑で一般的に薄く大判。
牛革に比べて繊維質が荒く厚みはさほど取れないが柔らかくしなやかなのが特徴ですね。ホースフロントと呼ばれバット(尻)の部分を除いた状態で流通します。
なぜ除いた状態かというと大きな馬皮のバット(尻)には非常に密に詰まったシェルと呼ばれる部分があります。この部分から作られる革をコードバンと呼び水や空気を通さず繊維が緻密で美しく稀少であり聞いたことがある方も多いでしょう。
あの独特の美しい光沢が使用するごとに深い光沢に変化していくのは虜になるのも頷けます。
コードバンもまた別の機会にしたいと思いますが高級ですが人気ですね。靴や財布、ベルトなどに使用され長く愛用される方も多いです。
製品としては靴、鞄、ベルト、財布など。
鹿革は柔軟で感触の良い革
南米、ニュージーランド、中国に生息する皮が一般に利用されていおり海外由来のエルクやディアスキンが有名。エルクの皮は厚みがあるのに非常に柔らかく感触がとても良いです。
これはコラーゲン繊維が様々な革の中でも最も細くやや粗めに絡み合っているので軽くて柔らかいんですね。そして油分が豊富なのでしっとりと肌に吸い付き暖かな感触があります。さらに油が抜けにくく長期間の使用にも耐える。
そのため繊維が細かく丈夫でしなやかで柔らかく肌触りも良い革なんです。
実は鹿革は日本人にも古くから馴染みがあり東大寺正倉院の革製の所蔵品の80%が鹿革だそうです。さらには鹿革の表面に漆で柄を付けた印伝革というものもあり江戸時代にまで遡ります。
そう思うと実はどこかで身近に触れている革かもしれませんね。
製品としては鞄、靴、手袋、財布、ジャケットなど。
羊革は抜群の手触りの革
アパレル販売の皆さんは羊の革より毛の方が圧倒的に触れることは多いですよね。ですが革ももちろんありますしもしかしたら衣料品では一番馴染みがあるかもしれません。
仔羊はラム、大人の羊はシープと呼ばれ薄く独特なシボがあるのが特徴。山羊と比較されることもあり繊維の絡みは(山羊より)緩めで引っ張り強度は劣ります。ですから強度が必要な製品に利用されることは少ないですね。
きめが細かく軽くて柔らかいものでラムは高級品に使用されることも少なくありません。
製品としてはジャケット、手袋など。
山羊は表面の細かなシボが特徴の革
羊よりコラーゲン繊維の密度が高く丈夫でしなやかです。銀面はやや厚く牛革より張りがあるため表面はパリッとした感触で独特。
あまり馴染みがないかもしれませんが決して硬くなくむしろソフトな質感です。子山羊はキッドと呼ばれ肌理細やかで透明感があるため上質さもあります。
製品としては靴、手袋、財布など。
以上ざっくりと一般的によく使われる革の種類を書き連ねました。
それぞれの特徴はもっとありますし他の皮革もありますがますはこの辺りを知っていけば大丈夫でしょう。
何か革製品のものを持っていたら当てはまるものがあるか調べてみてください。