ファストファッションはオワコンか?

আস্সালামু আলাইকুম! (アッサラーム・アライクム!)

みなさんこんにちは!バングラデシュよりHARUKAがお届けします!

本日(5/12)、ロックダウン48日目を迎えています。

アパレル生産大国、バングラデシュ。ロックダウン4月末頃までは全ての工場が稼働を停止していましたが、いまは段階的に稼働開始しています。また、多くの縫製工員や工場スタッフは、実家のある田舎から工場のある首都ダッカに戻って来ています。

外国在住者の私も、1ヶ月半以上の籠城生活を続けていると、さすがにこの特殊な毎日に慣れてくるものです。普段より停電も多く、食料調達もいつも通りとはいきませんが、周りにいる残り少ない在住仲間と手を取り合いながら、粛々と日々を過ごしています。

”見る専”から、”発信者”へ

自分のための時間が増え、読書をしたり映画を観たり。そして、いつも以上にSNSに触れてみたり。
今までは”見る専”だった方も、発信を始めてみたという方が多いかもしれません。国民総発信時代がやってきた、という感じです。

私個人も、ツイッターなどのSNSを使い、生産国の現状などをお伝えしています。

https://twitter.com/haruka_bangla/status/1256792809371250689

そして、主にアパレル関連の方をフォローさせて頂いているのですが、最近はファストファッション(=以下、FF) に関する言及を見る機会が多いです。

安価で買い安く、シーズン毎にトレンドを追えるFF。いまや、誰にとっても身近で、殆どの人が商品を購入したことがあるのではないでしょうか。

FFの好きなブランドをフォローしたり、SNSを通して買い物を楽しんだり。SNSを通したFFとの関わり方はたくさんあります。

一方で、昨今の禍の影響により表面化した問題などから、SN上ではFFの今後のあり方に関しての意見が散見されます。

日本、ファストファッションの歴史

改めて、日本国内のFFの歴史をザッと辿ってみたいと思います(FFブランドの定義や、どのブランドがFFかという議論は、また別の機会で言及しようと思います)。

日本国内では、1990年代後半から、GapやZARA、UNIQLOとったFFブランドが徐々に認知され始めました。2000年代になると、H&MやForever21などの欧米系FFブランドの日本上陸が相次ぎ、ファッション業界関係者だけでなく一般的に受け入れられていったようです。

2010年代の躍進は記憶に新しく、大都市だけに限らず地方都市のモールにも出店するなど、飛ぶ鳥を落とす勢いであっという間に認知されていきました。

日本のファッション流通は欧米の10年遅れとも言われる中で、欧米発のブランドがここまで一気に広まったのは、利用しやすい価格帯と分かりやすい宣伝が多くの方々の心に響いたからでしょう。

しかし、いつまでもその勢いが続くことはないようです。

昨年、Forever21が日本撤退したニュースはあまりにも衝撃的でしたが、多くのFFブランドが絶頂期ピークを過ぎてしまったと言われています。

ファストファッション、負の側面

価格の安いFF。安いのには、理由がある。賢い消費者は気付きます。

そしてその事実は、
バングラデシュで起きたある事件
を皮切りに、明るみに出ることとなりました。

グローバル展開している欧米や日本のブランドが、劣悪な労働環境や安価な労働力に依存して、世界中で大きな利益を上げている状況が、明らかになったのです。

この事件をきっかけに、多くのFFブランドファンが離れていきました。また、FFの負の側面が明るみ出たことで、消費者側からFFのあり方や企業努力を試す様になっていったのです。

そして今回の禍においても、多くのFFブランドが生産国へのオーダーをキャンセルしています。

https://twitter.com/haruka_bangla/status/1250987491529601024

FFブランドは悪。環境や人権の犠牲の上に成り立つ産業。そんなイメージを持つ方も、きっと多いのではないでしょうか。

ファストファッションはオワコンか?

“とはいえ”、というお話しをさせてください。

結論から述べると、FFはオワコンではない、と思っています。

この状況下において議論がなされる理由としては、主に2つ。ひとつは、環境団体や人権関連NGOが現状を世に広めて、その実情を知った人達がアンチFFになっている。
また、今回の禍において、FFブランド側が生産工場側などに対して一方的にオーダーをキャンセルもしくは値引き要請をする、という現状が散見されることからきています。

それはどちらも事実です。FFブランドの生産国は往々にして後進国と言われる国が多く、ブランド側の欧米日本企業に比べれば、立場は劣勢です。
環境や人権的な観点からみたら摘発されて然るべき現状があるのも、一方的にオーダーをキャンセルされたことで生産工場側が困窮しているという現状があるのも、本当です。

ただ、ここでFFをオワコンにされてしまっては、困ります。

オワコンにされて困る人は誰か?

大きく分けて、2種類の人がいるかと思っています。

まずは、FFブランド生産者です。後進国と言われるアジアや東欧の国々がFFブランドの生産に携わっていますが、FFがオワコンになることで、多くの人が職を失い路頭に迷います。
彼らは、FFで食べており、また国内の巨大産業としても位置付けられているのです。

そして、FFブランド消費者。洋服にあまりお金をかけられない人って、結構多いと思います。
私自身の話で恐縮ですが、数年前貧乏学生だった頃はFFブランドに相当助けられました。
それに、社会人になってからも一時帰国の際にいつもお世話になるのは、迷いなくFFブランドです。ファンは、います。

それぞれFFブランドのコンセプトを

現実問題を突きつけられると立場が弱くなってしまうのは目を背けてはいけないFFブランドのもつ事実です。
ただ、FFブランドそれぞれが最大限の企業努力をすることで、一度離れていってしまったファンを呼び戻すことは可能だと思います。

表面化せずとも結果的に誰かを落としめる状況は、絶対にあっては駄目です。
オワコンと揶揄されることのない、関わる全ての人が幸せになるような世界観を目指して、これからもファンを増やしていって欲しいと思います。

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飯塚はる香
About 飯塚はる香 29 Articles
“ファッションを通して世界をよりステキに”が、モットー。2013年〜日本で就職。某アパレルブランドのマネージャーとして神戸や吉祥寺などで勤務。2016年〜カンボジアへ移住。アパレル大量消費国の店頭から大量生産国の工場へと拠点を移す。2019年〜バングラデシュ在住。アパレル生産国で品質管理の仕事をしている。「国際協力×アパレル」の道で、生きていく。