何のためにアパレルやってるんだっけ?アパレル縫製大国バングラディッシュの現状とは。

আস্সালামু আলাইকুম! (アッサラーム・アライクム!)

みなさんこんにちは!バングラデシュよりハルカがお届けします!

皆さま、いかがお過ごしでしょうか。

ピークを越えたとはいえ、まだ見ぬ第2波への恐怖や、ニュースSNSに流れる情報などによって、ストレスを溜め混んでしまっている方がほとんどだと思います。

一方で、自粛期間のあいだ、時間を有効活用して、普段できないような丁寧な暮らしを実現できた方もいらっしゃるはず。
能動的に情報収拾して、その成果を仕事に活かしている方も多いでしょう。
同調圧力の強い日本社会ではありますが笑、これを機に自分の努力の結果を存分に発揮していきましょう!!

バングラデシュの現在

アパレルの話からは少し逸れてしまうかも知れませんが、バングラデシュの現在の状況を知って頂く良い機会だと思うので、少しお話しさせて頂きます。

アジアの片隅にある小さな小さな国ではありますが、日本で流通している多くの洋服の生産国であるこの国の現状を、ぜひ皆さんに知って頂きたいです。

*コロナ初期の様子は、こちらからお読み頂けます。

コロナウイルスが中国だけでなくアジアアパレル製造現場に影響を及ぼす理由。

バングラデシュの様子はと言いますと、5/30をもって一旦ロックダウンが解除されました。
しかし、感染状況は、まさにピーク真っ只中。感染者”爆増中”のなか、ロックダウンが解除されたのです。

具体的には、現在の国内総感染者数は6万9千人。
1日、2~3千人レベルで増えています(6/9現在)。

なぜ、感染者数が爆増するなかロックダウンをしてしまったのか、普通に考えたら疑問でしかないですよね。
もう少し感染のピークが収まるまで待つことも出来るのではないか、そう考えられて然るべきです。

ただ、ここはバングラデシュ。言葉を選ばずに言うとしたら、”感染拡大防止”より、”国の経済を回す”ことが優先なのです。

バングラデシュ国民のオモイとは

ある日のこと、バングラ人と一緒に車で移動中。ロックダウン直後であったにも関わらず、街中は通常のように人で溢れていました。その様子をみて、皆んな少しは自粛すれば良いのにな…と呟きました。

すると、温厚なイスラム教徒の友人は、少し声を荒げてこう言ったのです。

「僕たちはバングラで生まれ育ったんだよ。今までだって、色んな危険な目に遭ってきた経験があるから、大抵のことは怖くない。けど、本当のことを言うと、ウイルス(=virus)で死ぬより、飢餓(=hunger)で死ぬほうが怖い。だから、もう待てないんだ。」

彼の言葉を受けて、私は何も言い返すことが出来ませんでした。

今後のバングラデシュはどうなる…?

もし、”感染拡大防止”が国の政策となったら、友人の言う通り、多くの人は路頭に迷い飢餓で死んでいくでしょう。

手を洗う水より、飲む水が欲しいという彼ら。

マスクを買うお金なんてない、それよりもう1着でも良いから洋服が欲しいという彼ら。

そんな様子を見ていると、やはり”感染拡大防止”ではなく”国の経済を回す”ためのロックダウン解除は、正しい判断だったのではないかと思えてきます。

現在(6月頭)は、試験的ロックダウン解除となっています。しかし今後は、感染者数の状況や専門家の意見を元に、地域ごとのロックダウンを行うこととなりそうです。

地域ごとのロックダウンというのも、また、この国にとっては大変なことです。日本の様に、国民の大半が情報にリーチすることができ、秩序をもった行動を保てる場合であれば、都道府県ごとに区切る等々の手段が有効かも知れません。

しかし、情報にリーチ出来ない中、その日の生活もままならない中、地域ごとのロックダウンが敢行可能とは思い難いです。果たして、本当にどうなっていくのか…答えは風の中です。

国民の大半が貧困層、その日暮らしの人が大半、そんなバングラでこれ以上の経済活動を停止してしまったら、文字通り、国が終わります。
それだけは、国が終わることだけは、何としてでも止めたい。

現地に住んでいるとはいえ、所詮は外国人の私。彼らに比べれば断然裕福な生活を送りながら、街中に明らかに増えている物乞いたちを横目に見ながら、自分には何が出来るのかを模索する日々です。

到底分かり得ない彼らのオモイではありますが、現状だけでも知って頂けたら嬉しいです。

少し暗い話になってしまいましたが、ここまで読んで下さった方、心から感謝申し上げます。

普段からのお客様との関係性

ロックダウン期間中、私の場合は本当にロックダウンしており、家の中に引き籠もっていました。それゆえ、多くの皆さんと同じ様に、今までの自分の人生を振り返ったりもしました。

何のためにアパレルをやっていたんだっけ?

幸いなことに選択肢が沢山ある中、多くの業界や職種がある中、何のためにアパレルを選んだんだっけ?

自分の中では説明できたとしても、それを体現出来ているかどうかは、実はお客様が知っているのではないかと思うのです。
そして、普段からお客様との関係性が上手くいっている人は、コロナ後も間違いなくお客様が戻って来て下さる。

自分の中の信念と行動の答え合わせ、そのためにコロナがあったのではないかと思う、今日この頃です。

この禍がいつ終息するか、今後どの様になっていくかなんて、誰にも分かりません。ただ、自分の置かれた環境や生きていることに感謝し、1日1日を大切に過ごして行きましょう。

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飯塚はる香
About 飯塚はる香 29 Articles
“ファッションを通して世界をよりステキに”が、モットー。2013年〜日本で就職。某アパレルブランドのマネージャーとして神戸や吉祥寺などで勤務。2016年〜カンボジアへ移住。アパレル大量消費国の店頭から大量生産国の工場へと拠点を移す。2019年〜バングラデシュ在住。アパレル生産国で品質管理の仕事をしている。「国際協力×アパレル」の道で、生きていく。