キャリアのルールとその戦術

こんにちは。アパレルキャリア論の吉田です。今週から、少しずつ会食も復活させていて、某ECモールの責任者や某セレクトのエグゼクティブなど、経営層との会食が続いた今週。ずばりファッション業界の現状に関してリアルな話を聞いてきました。両者とも、良くも悪くも変化に伴う対応に追われて大変そうでしたが、役職者としての目線はやはり高い視点からお話しされているな…と強く感じました。そして共通して感じ取れたのは自身のキャリアに関するスタンスの違い。今日はその辺りについてお話ししていきたいと思います。

自分が参加しているゲームのルールを理解していますか?

ゲームというとちょっと軽い表現に感じるかもしれませんが、例えば野球であれば9回、サッカーであれば90分、など、それぞれ自分が参加しているゲームの最低限のルールは把握する必要がありますよね?じゃないとそのゲームにおいての勝率は圧倒的に下がる。3回までの野球であれば、30分のサッカーであれば、選手起用も変わるし戦術も変わる。これは当然ですよね?もっとわかりやすく表現すると、100m走と42.195kmとでは同じ走るでもペース配分も異なれば戦いどころも異なる。これは皆さん理解しやすいと思います。

では、生涯のキャリアを一つのゲームとして捉えた時に、自分が参加しているそのゲームはどういった種類のもので、どういう戦略が適切なのか、考えたことありますか?

誰もが参加しているこのゲームにも関わらず、そもそもこのルールを理解していない人が非常に多い印象です。ましてやその攻略法を考えている人はさらに少ない。これじゃあ勝てるわけがありません。

でも、このルールを客観的に捉え、その中でしっかりと戦略立てて進めている人がいるとしたらどう思いますか?前述の経営層の方はこのルールをしっかりと把握した上で適した戦略を考えていると感じました。逆に言うと、それはずば抜けた能力での差ではなく、思考量の差。ちゃんと理解して、適した戦略を立てられれば誰にでもそうなれるチャンスはあると言うことです。

まず、現時点で20代〜30代の方は、自分の定年退職って何歳ぐらいだと思って動いていますか?

世の中的には65歳まで引き上がっていますが、これが80歳まで伸びるであろうと言われています。80歳です。30歳の方であればあと50年。今まで生きてきた以上に、或いは倍近くの年数がこれから働いていく時間として残っています。

誤解を恐れずに言うなれば、これまで大事に伝えられてきた働き方の正解は「60歳」を期限とした働き方のロールモデルであることがほとんど。そもそものルールが変わっていることを認識した上でアドバイスを受けないと、とてつもなく前時代的なキャリアの築き方になってしまう可能性があるということを頭の片隅に置いておいてください。

いつ、どこで汗をかくか

では、80歳まで働くと仮定したときに(80歳までは働かなければいけないとしたときに)、大事なのはその時(80歳)になっても仕事を得られるだけの強みを持っているか、ということです。これは何か一つの知識やスキルだけで生きていくことは難しく、どこかのタイミングで新たな学び直しが必要になってくるということを意味しています。

そうなってくると、今まではそんなに意識する必要がなかった、学びの組み立て方が重要になってくるんです。
なぜなら、今までは一つの領域を極めて追求していれば、その世界においてある程度の権威を示せてご飯を食べていくことができたからです。しかし、さらにロスタイムが20年延長されるとなれば話は別です。今まで以上に価値を発揮しつづけていなければ、どんどん若い世代にとって変わられてしまう可能性が高まるのです。

とは言え、60代以降に今まで以上に汗をかいてハードワークをして20代と競えるかと言えば、一般的な考えとしては難しいでしょう。だとするならば、若いうちにどれだけベースとなるスキルを磨いて武器を持つか、そしてそれ以降はその武器をベースにどう磨いて行くか、で勝負が決まってきます。

しかしながらキャリアの相談に乗っていてここ数年の傾向として、早い段階からテクニックに走りたがる人が多く、汗をかくよりも技を磨くことにだけ集中したいという人が増えてきている印象を受けます。

こんな時代において、精神論を謳うつもりはもちろんありません。前述の通り、ルールを認識した上でのあえてのチャレンンジであればどんどん攻めるべきだとも思います。ですが、ルールを把握せずに行き当たりばったりな意思決定でその道を選択したことによって、リカバリーが難しくなってしまっているキャリアの方に遭遇することも年々増えているんです。

大切なのは、ルールを踏まえた上でどのタイミングで頑張って汗をかくか。この順番を間違えずに、計画的にキャリアを歩んでいる人はほんの一部。逆い言うとこのルールをしっかりと把握していれば、理想的なキャリアデザインに近づくと言えます。

一概には言えませんが、例えばの例を出すと、大手企業に転職できるチャンスは若手(20代〜30代前半)までであることが多いですが、企業やベンチャー(もちろん業種等による)に関しては実力があればもっと後になってからでもチャンスはあります。

これらの状況を踏まえ、数ある選択肢の中から「今しか経験できないことは何なのか」「今のうちに経験しておいた方が良いことは何なのか」を意識するとキャリアの充実度は一気に変わってきます。裏を返せば「今じゃなくて良いこと」に必要以上に固執しないこと、が大事だとも言えます。

皆さんは今までのキャリアを振り返っていかがでしょうか?
充実したキャリアを築くためにも、理想とする未来を手にするためにも、まずはルールを把握すること。そしてそのルールを前提にそれぞれの戦略を立てること。是非これをいますぐ実践してみてください!

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吉田直哉
About 吉田直哉 31 Articles
株式会社ALL IS NEW 代表取締役社長 大学卒業後バーニーズジャパンに入社。販売員としてキャリアをスタート。20代でリクルートへ転職しキャリア支援のキャリアをスタート。その後ファッション業界専門のヘッドハンターとして業界におけるキャリアコンサルティングに従事しつつ、Vice President、執行役員としてマネジメントを経験。 。累計転職相談者は1万人を超える。現在は株式会社ALL IS NEWの代表取締役としてファッション業界のキャリア支援、採用支援をしつつ、「人が繋がるを」コンセプトにしたスナック「BANQUET CIRCUS」の経営や、 文化服装学院の非常勤講師としても活動中。 ファッション業界関係者限定の招待制交流イベント「FASHION SNACK」もプロデュース。また出身地である福島県いわき市にて地方創生事業も展開。