今まで皮革の種類や特徴などを書いてきて少し革が身近なものになったでしょうか?
靴やカバンなど革製品は誰もが一度は使ったことがあるでしょうし古くから人類は慣れ親しんできた素材であることも知っていてだけたと思います。
皮革は様々な用途に使用されています。
そんな皮革素材ですから性質を評価するための試験方法や規格値というものがあります。
これは皮革に限らずどんな素材であっても安心して使用できる基準がないと困りますよね。
今回はその皮革の規定や試験について・・・の前にまずは制定する組織や規格について書いてみたいと思います。
ISOやIUは国際規格でありJISは国家規格
最初に下記に出てくる用語の中から重要なものを挙げます。
「標準」とは標準化によって決められた取り決めのこと。
ISOやJISは標準化団体が作成した公的な標準。「標準化」は複雑化してしまうようなものやことを秩序化すること。
その役割は品質の確保や生産効率の向上、安心安全の確保や環境保護など。「規格」とは標準化によって決められた取り決めを文書にしたもの。
国際規格(ISOなど世界共通のもの)
国家規格(JISなど一国内で使われるもの)基本規格(用語、記号、単位など)
寸法規格(試験、検査、使用、生産、品質管理方法など)
製品規格(種類、等級、形状、寸法、性質、性能など)
マネジメントシステム規格(組織の目標を達成するためのシステム、組織のマネジメントの継続的な向上など)
これを踏まえて見ていきます。
国際標準化機構(International Organization for Standardization)
通称ISO
世界の工業や科学技術の標準化を推進するために設立された組織。
ここで制定された規格が国際規格です。
世界的な標準化とそれに関連する活動の発展と促進を担うことで製品やサービスの国際交流が容易になります。
安全と信頼にもつながり決められた基準を満たすものが流通することになる。
国際的に設定された基準に適合していることが保証されると購入者も安心ですよね。
ISOの本部はスイスのジュネーブにあり各国から1機関のみが参加を認められており164の機関が加盟しています。
例えば日本は日本産業標準化調査会、アメリカは米国国家標準協会、イギリスは英国規格協会など参加国の機関があります。
そして制定した規格はISOの分類ごとに系統番号をつけて分類され原則として国別標準との間でも整合性があります。
つまり日本で言えば後述のJISがISOに準じた内容であるということです。
ちなみに英語で頭文字だとしたらIOSじゃないの?と思いませんか?
ISOでは英語、フランス語、ロシア語の3つが公用語でそれぞれの名称では頭文字が異なるためどの言語であっても常にISOという略称で定められているそうです。
さすが標準ですね。
日本産業規格(Japanese lndustrial Standard)
通称JIS
先ほどISOの最後に出てきたのがこのJISです。
日本産業標準調査会の審議を踏まえて主務大臣が定める国家規格。
ここにある主務大臣とは経済産業大臣、厚生労働大臣、農林水産大臣などJISの制定範囲に関連する大臣の方々です。
先ほどのISOが国際規格ならJISが国家規格。
(組織であるISOと並列して記載しているのでややこしいかもしれませんね)
これも同様に標準化され統一されると安心ですよね。
主に鉱工業品などの品質の改善、生産能率の向上、生産の合理化、取引の単純公正化、使用や消費の合理化、公共の福祉の増進などの役割を担っているんですね。
JISの制定範囲は19部門あり皮革はこの中の科学に該当し頭文字はKの部門記号が使われます。
例えば「JIS K 6558-7」は革の試験方法の中で「鞣し度の測定」にあたり他にも色々な試験方法があります。
そしてJISマーク表示制度というものがあり商品や加工技術について主務大臣の許可を得ることができれば適合している証しとなるJISマークをつけることができます。
これは皆さんも目にしたことありますよね。
国際皮革科学者技術者連合会(International Union of Leather Technologists and Chemists Societies)
通称IULTCS
(長い・・・これは初耳ですよね)
皮革関連の化学者や技術者及び各国協会間の交流を図るために1987年に設立された組織。
その目的は皮革技術を発展させることです。
2年に1度総会が開催されそこで科学や技術など皮革製造の進歩のために専門的なフォーラムが行われているようです。
そしてこのIULTCSは皮革に関するISO規格の協力機関でIU試験方法を制定しています。
ISOから国際標準化団体として認められておりIU試験方法の中から多くがISOに取り入れられているというのですから確たる信頼があるんですね。
IU試験方法には3種類あります。
科学分析試験であるIUC(IULTCS Chemical Test Methods)
物理試験であるIUP(IULTCS Physical Test Methods)
染色堅牢度試験であるIUF(IULTCS Fastness Test Methods)
この3種類の試験にそれぞれISO、IU試験、JISに該当するものがあるんです。
ここまでが皮革の試験について・・・の前にまずは、の内容です。
最後まで読んでくれた方ありがとうございます(笑)
途中で脱落した方も多いだろうなと思いながら書いていた今回の内容ですが皮革以外にも当てはまることがあります。
どこかで必要になったら思い出してみてください。
次週は試験についてです。