給料に能力差はほとんど関係ない

3月。

社会人としては1年間の締めであり、新しいスタートに向けての準備の時期でもあり。新たな旅立ちの裏側にはこれまでとのお別れも存在する。皆さんはどんな3月を過ごされていますか?
皆さんこんにちは。アパレルキャリア論の吉田です。

自分はこの季節になると実家を出て東京に向かった「あの日」の思い出が蘇り、故郷や家族を想います。

地元を離れ、気づけばもう20年以上の時が流れました。

この「時」というものは非常に複雑で、平等に与えられているにも関わらず人によってその使い方は大きく異なります。時間は取り戻すことができないものだからこそ大切に向き合う必要がある。今日はその時間とキャリアの関係についてお話したいと思います。

VUCA時代のキャリア

先日Clubhouseで5名のゲストをお呼びして、ゲストのキャリアを深掘るというトークルームを開催しました。お呼びしたゲストは全員が販売員としてキャリアをスタートさせ現在は独立して全く違った仕事をしている方々。吉田的に「いまの時代らしいキャリアの築き方」だなと感じた5名です。

少し話が逸れますが私は主にキャリア支援に関する仕事に従事しており、この仕事も14年になります。この仕事を通じて、年々キャリアを取り巻く環境は変わってきていることを感じますし、特にこのコロナ禍においてはその変化のスピードは一気に加速したなと感じています。

なぜこんなに変化しているのかと言えば、 VUCAの時代とも言われるように周辺環境の変化によってそれに呼応するかのようにキャリアのあり方も変化してきているからです。

VUCAとはVolatility(変動性)Uncertainly(不確実性)Complexity(複雑性)Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取った造語ですが、まさに今の時代を象徴していますよね。

簡単に言うと、

コロナによって急激なスピードで全く違った生活様式に変化したり

ずっと存在すると思っていた会社が経営破たんしてしまったり

趣味嗜好が多種多様化したり

情報過多により明確に絞ることが難しくなったり

我々はいつの間にかそんな時代を生きているんです。

逆に言うと昔は急速な生活様式の変化はほとんどなく、選択肢も限られていた分、世代を超えて同じような道を歩むことが多かった。キャリアで言うと終身雇用がまさにその象徴。

「あと5年ぐらい経験を積めば〇〇先輩のような仕事に就いて、40歳ぐらいには〇〇課長のようなポジションと給料を手にする」

キャリアの設計も非常にわかりやすかったとも言えます。そのため理想とするロールモデルを見つけ、そこに必要な経験を積み上げていくというのがセオリーでした。

ところがVUCAの時代においてそのセオリーは全く通じなくなってきたわけです。5年もあればその職種自体が存在しなくなっているかもしれないですし、40歳になる頃にはそもそもその会社が残っていないかもしれない。ある意味計画的なキャリアの積み上げ方は意味をなさなくなってしまう。

つまり、誰かのキャリアを真似るのではなく、誰かのキャリアを参考にしながらも独自でキャリアデザインをしていかなければいけないのがこれからの時代なんです。

時間(資産)を運用するという考え方

じゃあどうすれば良いのか。

答えは今回のテーマである「時間」との向き合い方にヒントがあります。

前述の通り時間は平等に与えられていますがClubhouseにご参加いただいた5名のゲストは共通して、この時間を使って徹底的に強みを磨いていました。

さらに具体的にお伝えすると、まず初期段階では「従事している仕事で結果を出すことにこだわってやり抜く」「スキルを習得、向上のために学びに投資」シンプルにこの2つに時間を割くことによって「自分は〇〇ができます」という強みを明確にできるようにしています。

そして強みを確立された後に「コネクション」「ポジション獲得」「認知を広げる」といったことに時間を使っていくことで、他者が真似できない独自の強みを築き上げているんです。

これが実現できるようになると、今度は時間を得ることができるようになります。例えば1時間で3着の洋服を売れるスキルがあったとします。しかしながらそこにコネクションが加わると知り合いが洋服を買いに来てくれるようになり10分であっさりと3着売れてしまうようになったりする。つまり50分の時間を得ることができるようになります。そうなるとこの50分を更に強みを磨く時間に使うことができるようになり、できることやチャンスが格段に広がっていくという図式です。

キャリア相談に乗っていると多くの方は時間をお金(給料)と交換することだけに集中してしまいます。時間を強みを磨く時間に投資するという発想が欠けてしまっているんです。そうなると他者との差別化もつきずらくなり、新たなチャンスを得る確率も下がってしまう。結果として給料もなかなか上がっていかない…というループにはまってしまいます。

繰り返しますが、VUCAの時代です。

この変化が激しい時代において自分らしいキャリアを築いていくためには、平等に与えられた時間を「何に投資するか」で人生が大きく変わります。

まずは強みを磨くこと。そしてその強みを原資にコネクションや認知を広げること。そうして手にした独自の強みで時間やお金を手に入れ、更に知見を広げる時間へと投資していくこと。ぜひこんな意識で明日から時間と向き合ってみてはいかがでしょうか?

時は金なり。

いや、むしろ「時>金」です。

給料もキャリアもそのほとんどは能力の差は関係なく、時間の運用方法の差。

これまでの思考としっかりとお別れをし、新しい自分で4月を迎えてもらえたら嬉しいです。

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吉田直哉
About 吉田直哉 31 Articles
株式会社ALL IS NEW 代表取締役社長 大学卒業後バーニーズジャパンに入社。販売員としてキャリアをスタート。20代でリクルートへ転職しキャリア支援のキャリアをスタート。その後ファッション業界専門のヘッドハンターとして業界におけるキャリアコンサルティングに従事しつつ、Vice President、執行役員としてマネジメントを経験。 。累計転職相談者は1万人を超える。現在は株式会社ALL IS NEWの代表取締役としてファッション業界のキャリア支援、採用支援をしつつ、「人が繋がるを」コンセプトにしたスナック「BANQUET CIRCUS」の経営や、 文化服装学院の非常勤講師としても活動中。 ファッション業界関係者限定の招待制交流イベント「FASHION SNACK」もプロデュース。また出身地である福島県いわき市にて地方創生事業も展開。