キャリアの正解、不正解

皆さんこんにちは。アパレルキャリア論の吉田です。東京でもそろそろ梅雨入りしそうですね。もう2021年も半分。前半戦の締めくくりです。

緊急事態宣言も延長され、東京では引き続き外食機会が大きく減ったまま。会食が多い私もさすがにその数は激減してます。こうして長いこと外食が制限されると飲食店が純粋に「食事」の場として機能していただけではないことに気付きますよね。雰囲気、会話、そしてそれらを共有する体験。時代の変化と共に「飲みニケーション」がオワコンとされる空気感がありましたが、私にとってはやはり重要で、実際にそこから仕事につながったケースも非常に多い。これは外食に限らず体験の共有が肝なのかもしれせんね。これはやはりオンラインだと体感しづらいことだと思っています。

さて、少し話は戻りますがとにかく私は年間通じて会食が多いです。プライベートなものも含めるとコロナ前は年間で350〜360日は外食してました。外食自体がある意味一つの営業ツールだったりもするわけです。そうした中でグルメなメシ友もできました。グルメな友人が紹介してくれるお店は高確率で満足度が高く、リピートしているお店も多いです。

グルメな人、食通な人。

皆さんは周りではどんな人を思い浮かべますか?

今日はそんなことをヒントにキャリアを考えていきたいと思います。

正しいかどうか、ではなく、好きかどうか

さて、皆さんに質問です。

フレンチ、イタリアン、中華、和食の中でどれが最も優れていると思いますか?
迷った時に選ぶべきジャンルはどれを選択するのが正解でしょうか?

そうですよね。別にこれって答えはないというか、そういう観点で答えられるものではないですよね。

では、先程のジャンルでどれが最も好きですか?

この質問だとどうでしょう。どっちも好きだから迷い過ぎて選べない、というのは一旦おいておいてこれは答えられますよね。

どういうことかというと、正しい・正しくないの判断軸で語られるものではなく好き・好みじゃないの世界で判断されるものなんです。つまり正解がない。逆に言うと正解がないものに正解を求めて議論することほどナンセンスなことはありません。この事例に限らず皆さんの日常や仕事上においても実は結構こういうことって多いんじゃないかなと思います。

ファッションも同じ。カジュアルとドレスどっちが正しいかなんてシチュエーションによるし、黄色か青色どちらが良いかなんて好みや全体のバランスによる。コーディネートの基礎的な考え方や理解は必要だとしても、正解なんてないわけです。

そしてこれはキャリアについても全く同じことが言えます。正解なんて、ない。

私が転職相談に乗る上で大事にしている基本スタンスはまさにここにあります。

「おすすめの会社あれば教えて下さい」

「どっちの会社が良いですか?」

「いまの会社よりも良いところに転職したいです」

言ってしまえばこれらの相談に対する答えは 人による です。

これらの相談に例えば下記のような個人事情が入ってくればそこで初めてアドバイス、提案ができます。

「年齢に関係なく活躍できる会社で力を試したい」

「将来的に給与アップを目指せる会社で働きたい」

「自分のキャラクターを良しとする風土の会社で自分らしく働きたい」

これらはあくまでも一つの例に過ぎませんが、人それぞれ目指したいものや大事にしたいものは異なる。それこそ先程のグルメの話と同じですよね。何を大事にしたいかどうかに正解なんてないわけですから。

キャリアというのはその人自身が持つ考え方や持ち味の上に成り立つものであり、いわば個性のようなものなんです。そこに優劣はありません。他者と比較して考えるのではなく、あくまでも自分が納得する自分らしいキャリアの実現を追求すべきです。

選択肢の豊かさが、個性につながる

ただ、自分らしいキャリアの実現は簡単なものではありません。思考と選択の積み重ねが必要となります。何も考えないいわば思考停止状態の先には個性も生まれませんし、自己実現も手にできない。ファッションも同様に、その人らしいスタイリングやテイストは、選択の積み重ねの先に個性として現れていくものですよね。キャリアも同じものであると認識してください。

さて、ここで冒頭でお話した「グルメな人、食通な人」をもう一度イメージしてください。

その人たちはきっと美味しいお店を知っていたり、美味しい食べ方を知っていたりしますよね?では逆にその人たちは美味しいお店「だけ」をたまたま知っているのでしょうか?美味しい食べ方「だけ」を偶然知り得た人なのでしょうか?

答えは NOです。

いろんなお店に足を運んで、時にはハズレも引きながら数多くのお店を知るなかで美味しいお店をチョイスできているんですよね。そうした多くの選択肢の中からその日の気分や体調、一緒に食べに行く相手に合わせてお店を選ぶ。その結果自分の満足度を高めることができる。

キャリアにおける自分らしらの実現も全く同じ。自分にとってより良いキャリアを選択するためには、個性を磨くためには、相応の選択肢が必要です。数ある選択肢の中から選べたほうが当然自分へのフィット感が高い選択に繋げられる可能性が高い。

私が数多くの転職相談で一番感じるのはこの選択肢があまりにも少ない方が多いということです。

例えば販売員という仕事一つとっても

・給与水準の高い会社は?

・若手の役職者が多い会社は?

・副業が認められている会社は?

・ノルマは全くなくサービスの追求できる会社は?

これらの問いにどれだけ選択肢を持てているでしょうか。そしてそれらを知った上でそこにたどり着くために必要なスキルや経験を理解できているでしょうか。

もし上記の問いに対して明確な答えを持てていないとしたら、まずは選択肢を増やすことに力を入れてみると良いでしょう。社内にのみロールモデルを求めるのではなく、これからは社外にも目を向けて選択肢をもっておく必要がある時代です。そしてそうした外の情報に誰でも容易に触れやすい時代でもあります。 SNSを通じて情報収集することや直接コンタクトして話を聞くことだってできてしまいますし、いままさにこのコラムを読んでいることも外の情報に触れていると言えます。

キャリアに正解なんて存在しません。自分が好きなキャリアと言えるかどうかだけです。

この文章を読んでくれた皆さんが、個性豊かなキャリアを築いていけることを心から祈っています。

それではまた次回!

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吉田直哉
About 吉田直哉 31 Articles
株式会社ALL IS NEW 代表取締役社長 大学卒業後バーニーズジャパンに入社。販売員としてキャリアをスタート。20代でリクルートへ転職しキャリア支援のキャリアをスタート。その後ファッション業界専門のヘッドハンターとして業界におけるキャリアコンサルティングに従事しつつ、Vice President、執行役員としてマネジメントを経験。 。累計転職相談者は1万人を超える。現在は株式会社ALL IS NEWの代表取締役としてファッション業界のキャリア支援、採用支援をしつつ、「人が繋がるを」コンセプトにしたスナック「BANQUET CIRCUS」の経営や、 文化服装学院の非常勤講師としても活動中。 ファッション業界関係者限定の招待制交流イベント「FASHION SNACK」もプロデュース。また出身地である福島県いわき市にて地方創生事業も展開。