AよりもQに価値がある?

今週も日曜日がやってまいりました。

春夏というのは関わっている業界のトップシーズンだったり、関わっているプロダクトの最終アップが重なったりとここ数ヶ月、プロダクトの作り込みの面について向き合う日々が続いておりました。つまりうにロスです。完全にうにロスです。

しかし今回に限らず、企画の仕事の面白い所は、何より「問い続けること」だなあと毎度思います。

というのも、仕事が「企画」である以上、世の中の隙間にある「なんで?」を問い、調べ、新たな形でアウトプットすることが求められるということなので、グーグル先生が答えてくれるような「答え」をそのままアウトプットすることはほとんどないのです。

日々、クリエイティブな方々のそばでお仕事をさせていただくにあたって感じるのは「知識」を持つことと同じくらい、いやそれ以上に「問う能力」が大切になってくると感じます。

 

AよりQが大切な時代

誰でも情報にアクセスできる現代。私が小さい頃はまだカメラは写ルンですだったし、カセットテープだったし、ビデオデッキだったんですが、いまやデジタル一眼で、ストリーミングで、録画は3番組くらい同時に録画できます。

ちなみに先日従兄弟に尋ねられて生まれ年を答えると「え?1000年代?織田信長と一緒じゃん。」と言われました・・・。10年で区切って「90年代」なんてスケールが小さすぎるのか・・・源頼朝とかもかぶってますやん。

そんな現代っ子も手放せない、検索ツール。

グーグル先生にお尋ねすれば「答え」が出る。という感覚はIT発達後ならではの感覚です。誰もがある一定の知識にアクセスできるこの時代。でもその一定の知識はもう、誰もがアクセスできるものになってしまいました。

昔はクローズドで経験を伴わなくては知ることができなかった多くの情報が、あらゆる人が書き手になり情報発信を行うことでオープンにされ、「こ!こんなことまで!!!」という内容を大盤振る舞いしてくれています。

そうなると、これはあくまで相対的にですが、知識の資産価値・希少価値というのは低下してきているという考え方ができます。

その分圧倒的に「問う力」重要になっていると感じています。AよりもQを生み出す力。

「そもそもなんで〜なのか?」という質問をすることでその既存の知識を考え直すというめちゃくちゃめんどくさい作業を行うかどうかでオリジナリティを出すことができ、そのオリジナリティをバリューに変えることができると感じています。

これは実は、先日の森野さんの記事を読んでぴかーん!と気づいたことでもありました。

「ベージュのトレンチコートを持っていないから欲しい」が『とりあえず春物の羽織がなくて、なんかみんな着てるから』だと感じ取るかどうか、その思考の裏には企画だったら「なんで春はベージュのトレンチが欲しくなるんだろう」だったりその場で接客していたら「なぜベージュのトレンチなんだろう」をまず考える。

そうやってニーズの始点に立ち返ると、お客様自身も気がつかないウォンツを見つけることができるのかなあと思いました。私自身、企画の準備で一番はじめに行うのもその作業なのでそう感じるのかもしれません。

そして、わたしが最近ときめく買い物ができていなかったのは、自分で自分のウォンツを可視化できてなかったからかもしれません。

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めんどくさい。ことが世の中を面白くする

かもしれない。(キリッ

宮崎駿さんが言ってたのですが、「世の中の大事なことはたいていめんどくさい」と。

「めんどくさい」かどうかは置いておいて、この感覚は作り手・企画側だとよくわかると思うんですけど販売員のみなさんはどう感じられるんでしょうか。

例えば「服をつくろう」となった時に「なんで服を作るのか」から入らないと、その商品の存在意義ってぶれていってしまいます。どんな理由であれそこに明確な理由はあったほうがいい。そして何より面倒なのが、会議も進んで試作も進行してというタイミングでもまた「なんでこれを作っているのか」に立ち返る必要があります。

この思考の行ったり来たり、これがめんどくさい事の一つなのだろうと感じています。

営業サイドや経営サイドと話す時にたまにストップをかけるのはそういう点で、もう目の前の数字を追うだけなら走り続けたいという人もいるんです。でもそこで一回立ち止まってくださいと言うこんな人間がいるとなんとなく進行が遅れる気がする。でもその遅れる気がする、がめんどくさい、という感情からきている事も多い。

疑う・問う・思考するという作業はとてつもなくめんどくさい。

とくにこれだけ簡単に「答え」にアクセスできる世の中だからこそ。

でも人が(今までの自分が)やらないことをやる。ことこそが私たちの「個人力」を高めてくれる、強いてはサービスや商品の差別化に繋がっていくのならこの思考の仕方はなかなか意味があるんじゃないかなあと感じています。

最後に自戒として偉人からもう一発。

多分言ってないと思います。

しかしお客さんにはそれ以上のバリューを提供したいところです。

ではそれがしはこれにて失礼いたします。

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中溝 雪未
About 中溝 雪未 69 Articles
1990年生まれ。コレクションブランドの企画室でインターンからデザイナーアシスタントとして勤務。その後アパレルブランドで布帛・ニットをはじめとするデザイナーの経験を積み独立。現在フリーランスとして企画・デザイン・パターンを担当。 プロダクトアウトなものづくりからマーケットインまで、偏らないバランス感覚を武器に、コンセプトメイクからお客様に届くまでをディレクションするプランナーとして業界を問わず活動中。