ブランドが自社製品をAmazonで販売したいと思っていなくても、その製品がサードパーティセラーによって売られている可能性は非常に高い。このような独立系の小売業者(たいていブランドの正規販売代理店ではない)が現在、多くのブランドにとって頭痛の種になっている。Amazonは2017年6月、自社の「フルフィルメント by Amazon(以下、FBA)」プログラムを通じて、膨大な数のサードパーティセラーと契約を交わしたという。その内容は、サードパーティセラーが抱えているブランド製品の在庫をAmazonが正規の価格で買い取り、自ら販売するというものだ。
ブランドが卸先に販売した商品をAmazonが買い取りweb上で販売する事に対し、ビルケンシュトックが警告したとのニュース。正規ではないルートで仕入れている事もありますし、そのマーケットプレイスで販売する事に対するイメージの低下という理由もあるかとは思います。以前も下記記事にて報じられている通り、コピー商品や値引き価格で取引される事を嫌ってラグジュアリーが出店を躊躇しているという記事もあったくらいです。
ラグジュアリーブランド市場にECサイトはどう切り込めるか?-LVMHがAmazon.comへの出店を躊躇する理由
弊社のクライアントでもこの部分をかなり気にされている方はいらっしゃいます。例えば卸先がweb販売をしていて楽天に出店している場合、そのブランド名で検索をかけると楽天のショップが出てくる…、なんていう事も珍しくありません。楽天に出ているからといって偽物や安売りと決めつける訳ではありませんが、悪いイメージを持たれている方がいらっしゃるのもまた事実。そうなるとブランドイメージが毀損する可能性があります。リアルな話ですが、これが「ZOZOに出店」だったらクライアントも何も言わないのです。
流通をコントロールする事でブランド価値を最大化する
ブランドでも特にラグジュアリーはこの顧客とのタッチポイントである流通の部分をかなり気をつけています。
◯路面店の出店場所
◯販売員の身だしなみ・マナー
◯卸先セレクトショップの規模・外観・横並びのブランド
◯商品の流通量
などなど。これらをコントロールする事によりブランドイメージを高めているのです。ブランドイメージは広告だけで作られるものではなく、その製品、利用者、販路、販売員などが複合的に作用しています。その中でこの流通は非常に重要な部分。見え方だけでなく、量も関わってくるのですからブランド担当者は常に細心の注意が必要なのです。
当たり前の事ではありますが、意外と市場を見ていても疎かになっている事が多いです。これから社会に出て行く学生さんは自分たちが働くであろうブランドの「流通」の部分にも改めてフォーカスしてもらえればと思います。