「消費者はものなんて買わない」
いまをときめく家電ベンチャーバルミューダ代表の記事ですが
ストーリーを売る、体験を売るという言葉は本当によく耳にします。
本当によく耳にするんですけど、
でも”小売”である以上、売ってる物は”もの”です.
そこを置き去りにしてはいけないなあとつくづく思うのです。
”ストーリー”は”商品づくり”段階から練るもの
ストーリーを売る。体験を売る。しいてはイメージを売る。ということをないがしろにしていいという話ではないですが、同時にものを売ることをないがしろにしていいということでもない。
なぜなら、ストーリーはその商品に依存します。
いわゆる商品開発時の
どんな人にどんなシーンで使ってもらうのか
この商品を手に入れることでどんな風に生活は変わるのか
どんな人のどんな悩みが解決されるのか
という5W1Hやペルソナの部分が重要になります。
それを持ってして作られた商品には表裏一体でストーリーや体験に説得力が増します。
写真だけ体裁的に整えて発信してみたり、コンセプトだけでどうにかしようとするということではないんですよね。
ストーリーの一人歩きには気をつけたいところです。
誰に語ってもらうのか、も重要
ストーリーを売る。体験を売る。
OK。だれに?どんな形で?どんな風に?
世の中の”広告嫌い”は言わずもがな。
ステマも驚くほど簡単にばれてしまう。
個人的にはストーリーを売る、ということをあまり優先的に考えません。
なぜなら、それはいまの時代の新しい価値観。ではないと思っていて、
明確に言語化されただけ。だと思っています。(それも大切は大切なんですが。
家電にいろいろな機能を足したのも、専業主婦が多かったあの時代に「プロの料理がこれ一台で!」とか「家でもクリーニングいらず!」みたいなことを打ち出したかったわけだ。
あれはあれで、ストーリーがあったはずなんですよ。
ただユーザーの心理変化を汲み取れず、時代に合っていないストーリーをいつまでもやってしまった。
(感性ではない機能や性能の部分に偏ると、客観的意見も集めやすく、意思決定は容易になります。が、それは、データに基づく安易な商品開発が蔓延する一つの原因にもなるといえます)
とはいえ、変わったと思っていることも確かにあって、誰がストーリーを語ってくれるのかがより大切になったと思っています。
総メディア時代と言われる昨今。
インフルエンサーマーケティングしかり、芸能人のテレビ発信しかり。ですが
商品のターゲットにとってより信頼度の高いコミュニティまたは個人からの発信。
が重要ではないかと考えます。
そして強いてはその人たちに本当にいいと思ってもらう”商品”をつくること。
やっぱり、物からは切り離せない。
すべては”もの”をどう売るか
デザインがいいから。
パンがおいしく焼けるから。
その機能が新しいから。
買う理由は様々。
でもやっぱりバルミューダで秀逸だと思ったのは打ち出し方とターゲット層。
あのトレンドをいち早くキャッチしたのは、SNS を駆使するインフルエンサーやIT業界の人々で、抜群の発信力だった。
わたしがバルミューダの社長に聞きたいのは、ストーリーを売るという話よりも、そのストーリーをいかにして伝播させたかの広報手法。商品ってただ出すだけじゃ売れない。
Twitterやインスタから爆発的ヒットを出したBAKEとのコラボや、接点を作るためのリアルの試食会などを行ってきた。
ストーリーという漠然としたものだからこそ、自分からユーザーへの接点を作り伝えることと、それをさらに口コミで伝えてもらう努力を欠かさない。
顧客はいい”体験”ができるいい”もの”を買う。
ものと体験、ストーリーは切り離せない。
それは、ものとマーケティングや販路決定が切り離せないのと同義かなと思います。
しいては”商品”を介していままでにない”驚き”や”面白さ”を世の中にどう示すのか。
”ストーリーを売る””体験を売る”という言葉が末端まで知れ渡り、伝言ゲームのように伝わることで本来の意味が薄れ、一人歩きしている印象があったりなかったり。
雰囲気や写真も大切だけれど、”製品”を置き去りにしないで欲しいと自戒を込めて思うのでした。
【TopSellerの執筆者が書く「表では話せない話」はこちら→トプセラ×note】
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