経験価値マーケティングは、ブランドやプロダクトのコンセプトが凝縮されたオフラインの場において、消費者の思い出に残るパーソナルな体験を提供することに尽きる。見て、聴いて、嗅いで、触って、感じて、体を動かして、時には頭を使わせる….オフライン環境だからこそ実現可能な五感を活かした体験を提供し、ブランドの世界観を表現することが重要である。
昨今のブランド運営において、ブランドが提供する「体験価値」が重要である事は以前にも記載してきましたが、
どういった手段でその体験を提供するのか?についてわかりやすい記事があったので抜粋。以前に僕が書いた記事ではヴィジュアルで直感的に伝える事が重要だとお伝えしましたが、これは五感でいうところの「視覚」にあたります。上記記事はコスメブランドのGlossierの事例ですが、こちらでとっても気になったのが匂い。つまり「嗅覚」にあたります。
○香水の香りが記憶に残る?
コスメと飲食という意外なコラボレーションを賞賛する声もある一方で、店内に漂うチキンの匂いがGlossierのガーリーな世界観と合っていないように思えた。チキンの匂いではなく、新発売の香水の香りが店内に漂うことを期待していた。
上記抜粋部分からも「嗅覚」を刺激する事のメリットとデメリットがわかります。体験の場で提供する「匂い」がブランドイメージを決定づける要因の1つになっているからです。匂いに関連する製品で真っ先にあがってくるのは「香水」ですが、ブランドビジネスを継続していくうちにブランド拡張の一つとして香水の展開はよくある事です。そして当たり前ですが、その香りが及ぼす影響って結構ある訳で。
例えばアズールバイマウジー。SCブランドでは珍しく香水を展開していますが、僕が教えている若い子たちでも大体これを認知しています。その話をすると人によって賛否両論で、個人的な体感では2/3くらいは不快感を感じているようです。良いか悪いかは置いておいて、これも五感を刺激する事でブランドを記憶に刻んでいる事例です。つまりこれを上手く活用すれば、逆の効果が得られるという事です。
○香水はエントリーしやすい
香りとは関係ありませんが、香水ってハイブランドでもエントリーしやすい価格です。既にブランド力があるなら、その認知度を利用して香水を販売する事でブランドにエントリーさせる事が容易になります。そのブランドを普段から購入できなくても、若い世代がハイブランドに憧れさせる事が可能なのは、こういった香水やコスメの影響があるからです。そしてそこに「香り」というものでブランドを記憶に刻む事ができるなら、それは将来的に顧客化する為の前段階だと言えるでしょう。
ブランドの成長段階も大いに考慮する必要はありますが、リアルな場において人間の五感のどの部分を刺激してブランド認知を広げるかはあらかじめ考えなければなりません。匂いって意外と記憶に残りやすいので、ブランド担当者の方々はせめて悪い印象にならないよう設計しておいた方が良いかもしれませんね。