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地方百貨店の閉店が続々と発表されています。
現在、日本には大きく分けて5つの百貨店グループが存在します。①高島屋②三越伊勢丹③阪急阪神④大丸松坂屋⑤そごう西武、です。
これらは都心に大型旗艦店を持ちながら地方都市に中小型店を展開することでチェーン店化してきました。しかし、ついに地方都市の中小型店を支えきれなくなり閉店ラッシュが始まりました。また、そごう西武は関西の3店舗を阪急阪神に譲渡しました。
ではなぜ、地方都市の中小型店が厳しくなってきたのかというと、①売り場面積が大きくない②売り場面積が大きくないから品ぞろえも豊富ではない、ということが原因に挙げられます。そのため、都心旗艦店が電車で1時間以内の立地であれば、都心旗艦店に客を奪われます。また、都心旗艦店が遠い場合でも近隣に大型ショッピングセンターができればそちらに客を奪われます。どちらも中小型百貨店に比べて売り場面積が大きくて品ぞろえが豊富だからです。
しかし、その都心旗艦店も苦戦し始めています。その理由は、ネット通販には品ぞろえの豊富さで勝てないからです。また価格競争でもネット通販に勝てないし、大型ショッピングセンターにも勝てないからです。
例えば、Amazonの倉庫の広さは東京都中野区と同じくらいの広さがあると言われています。ネットという空間は無限の広さがありますから、消費者の不便ささえ我慢させれば、永遠にページを連ねることができ、無限に商品を陳列できます。このため、巨大な都心旗艦店といえども「品ぞろえの豊富さ」ではネット通販に勝てないのです。
そうなるとますます地方都市の中小型店は勝ち目がありません。品ぞろえの豊富さでは都心旗艦店どころかネット通販にも勝てないのです。そんな中途半端な店が消費者に支持されるはずもありません。
だからと言って地方都市の中小型店を全店閉鎖にするわけにはいきません。
その場合、どのような対策がとれるのでしょうか?
その答えの一つが、大阪府枚方市に今年5月にオープンした「枚方Tサイト」です。
蔦屋書店などを運営するカルチュアコンビニエンスクラブ(CCC)がオープンした新型商業施設です。CCCの増田宗昭社長は「Tサイト」を「未来型百貨店だ」と説明しています。
増田社長は「どんなに品ぞろえを豊富にしてもネット通販には勝てない。中野区と同じ広さの倉庫を用意できますか?」と指摘しています。「どんなにがんばっても品ぞろえでネットに勝てないなら、品ぞろえの豊富さで勝負することをやめて、『編集力』で勝負すべきだ」と説かれています。「特定の企業や個人が編集した『お薦め品』を並べたお店へと転換すべきだ」というのがその意図です。
Tサイトの場合は、CCCあるいは増田社長が提案する「お薦め品」を集めています。
実際に現地で見てもらえればお判りになりますが、Tサイトのファッション関連商品はかなり数少ないです。地下に食料品、1階がカフェ、2階がレンタルDVD、3階が書店、4階がレディース、5階が子供関連、6階と7階が銀行で、8階がレストラン、というフロア構成になっています。
8階のレストランは4店舗ほどしかありませんし、4階のレディースも数ブランドが並べられているだけです。
しかし、特定の企業や個人がしっかりとファンをつかんでいるなら、その数少ない「お薦め品」を買い求めてくれるようになります。
平日の昼間に訪れても割合に多くの人がいます。閑散としている百貨店とは大きく違います。
オープンしてから半年が経過していますが、ここまでは順調な推移といえるでしょう。まだオープン景気の域は脱していませんが、この集客力が中長期的に続くのであれば、数を絞った「お薦め品」というやり方が有効だと言えるのではないでしょうか。
増田社長は今後、百貨店に対してTサイト方式の売り場作りを提案したいという考えを表明しておられますが、続々と閉店する地方百貨店を存続させるには、従来の品ぞろえ型の売り場作りに代わる「何か」が必要になります。その「何か」の一つが「Tサイト」形式の「お薦め品」店だといえます。
この考え方は、各社の店舗でも生かせるのではないですか?品ぞろえの豊富さでは大型店にもネット通販にも負けてしまいます。じゃあどうするのか。販売員の奮起だけでは難しいと思います。CCCのような論理的な組み立てがないと店舗づくりはできません。
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