先日、ユニクロがジーンズを洗う水を9割カットするというニュースが流れました。
良いニュース、悪いニュースともにユニクロならすぐに報道されます。メディアのユニクロ依存は相当なものです。これは概ね好意的に報道されましたし、ニュースに対する感想も概ね好意的でした。
縫い上がったばかりのジーンズは糊が付いた状態で、濃紺です。ここから洗って糊を落として、さらには色落ちまでさせます。中古加工のジーンズはここから洗いこんで中古風にするのです。
これまでジーンズを洗うには大量の水が必要だとされてきました。ユニクロはどのようにして水を削減するのかというと、水をほとんど必要としないレーザー光線加工やオゾン加工でジーンズを色落ちさせるのです。
これを聞くとすごく近未来的な技術であるように聞こえます。メディアは「さすがはユニクロ」という感じです。しかしながら、レーザー光線加工もオゾン加工も実はもう5年以上前から実用化されています。
別にユニクロよろしくアメリカ工場ならではという技法でもありません。2010年ごろにはとっくに日本でも実用化されていた技術です。
特段なにも珍しい技術でもないのです。
レーザー光線加工は日本では山陰の仁多産業が特許を取得していました。しかし、仁多産業が倒産した際、国内最大の洗い加工場である豊和に売却したのです。そして豊和はそれを使って長年の提携先であるエドウインやドミンゴのジーンズにレーザー光線加工を施してきました。
さらにその豊和の独占権も2~3年前になくなり、今、レーザー光線加工機を使用している国内の洗い加工場は数多くあります。
豊和は今ではビッグジョンのジーンズにもレーザー光線加工を施しています。
同じくオゾン加工機も豊和にあります。こちらはオゾン分子(O3)を発生させます。オゾン分子は結合が弱く、すぐに酸素分子(O2)と酸素原子(O)に分離します。この分離のときに色が剥がれるのだそうです。これがオゾン加工機の原理です。
以前に、NOTEで豊和のレーザー光線加工について有料記事を書きましたので参考にしてみてください。
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/na09a16d24294
で、ユニクロの工場がすごく先進的なことをしているのではなく、事実としてはレーザー光線加工機、オゾン加工機の普及の一環に過ぎないということです。先駆者というならば倒産した仁多産業やその後の権利を一早く買い取った豊和こそ先駆者と呼ばれてしかるべきです。
しかし、マーケティングでは知られていないのは存在しないのも同然ですから、仁多産業も豊和も「知らしめる努力」が足りなかったということになります。
みなさんの勤務する店やブランドはどうですか?すごく良いサービスや商品があっても「知られていない」のではないですか?商品やサービスに自信があるなら、知らしめる努力をしてください。
それではまた来週。