プロパー期間中なのに行われるセールの不思議

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ファッション業界でよく使われる言葉の一つに「プロパー」という言葉があります。以前も説明しましたが「定価販売」の商品に使われる言葉です。

全ての問題を解決したければ「プロパー消化率」を上げなさい

昨今、プロパーで販売できる割合が過去と比較して下がってきているという事は業界でも周知の事実ですが、、、

ではこの理由について本日は考えていきたいと思います。

 

何故プロパー期間中にセールが行われるのか?

価格崩壊と業界崩壊

前者やECモールが冷え込みに乗じて20~30%のキックオフやクーポンを仕掛けたのに対し、百貨店側はプロパーのまま顧客が買ってくれるのをただ待っているだけという’大差’が浮かび上がった。似たようなアイテムの売価もカジュアルチェーンは百貨店NBのほぼ3~4分の一で、セレクトSPAのオリジナルもカジュアルチェーンに近づいて百貨店NBの半額程度になっている。

上記はプロフェッサーの記事から抜粋しています。

過去、一般的にファッション業界では春夏シーズンを2月〜7月、秋冬シーズンを8月〜1月に位置付けていました。そしてシーズンが終了する7月と1月にクリアランスセールで一括で値引きするという手法。それ以外の2月〜6月(春夏)、8月〜12月(秋冬)がプロパー時期という事なんですが、、

現在ファストファッションやSCに出店しているブランドではこれが完全に崩れています。ファストファッションではセール専用ラックが用意されており、一定期間売れ残った商品はそこに出品されるようになっています。

SCでよく見られるのは、プロパー期間だろうが連休に入ると10〜20%OFFは当たり前。そして館の集客が増えたところでタイムセールの連発。このような光景も多くの方にとっては見慣れたものになっている事でしょう。

マーケットがこんな状況ですから、プロパー期間なんてあってないようなものです。

なぜこのような事が起こるのか?

それは、まだ期中で着れる商品をタイムリーにセールする方がお客の購買動機も上がり在庫が減る、オフ率もそこまで下げなくても売り切る事ができるからです。期末に一括でセールしてしまうと、その時期には着れないようなアイテムが多く残ってしまい、それを売り切ろうと更に再値下げをしてしまいます。消化率が上がらないうえに利益まで圧迫。それなら期中にちょこちょこ売り減らす方が得策という事です。上記の記事にもその旨の記載がありますね。

このようなプロパー期間中のタイムセールやセールラックを常備設置している件については業界内でも批判があります。ここまできたらもう何が適正価格なのかわかったものではありません。セール価格が適正価格で、プロパーが売れればラッキーくらいにしか見えませんね。

何が言いたいかといいますと、SCのブランド側もわかってやってるのではという事です。原価率20%そこそこの商品をセールを適正価格としておいて、普段しれっと上乗せした価格で販売しておき集客が増えればタイムセール。一方では、原価率40%以上でコスパ高く、最初から適正価格で勝負しプロパー消化率を高める、なんていうブランドもあったり。

前者はやり方としてはブランドビジネスとしてどうなの?と思ってしまいますが、今のSCの状況を見ていますとそれも致し方ないかと。。ユニクロでも毎週チラシ撒いてセールしている訳ですから。

 

セール以外に消化率を上げる方法はないのか?

百貨店が辛いのはイメージ的にセールを常にやってしまっていいのかという事。それは既存顧客の離反を招きかねないと思うのです。ですから今百貨店が取る手段は後者。コスパ高い商品を選りすぐりキュレーション的役割を果たし、また自らそういった商品を開発していく事です。

市場にはこれだけ商品が溢れているんですからデベロッパーの役割はそれを「選ぶ」事。しかし選ぶだけでは真の差別化にはなりませんからそこに独自の優れたブランドも必要なのです。

まあ一言で言うなら「コンテンツしっかりしろ!」って事です(笑)

しかし、ここ最近も百貨店から流れてくるニュースと言えば、

J・フロント子会社に勧告 衣類3億円分、不当返品

「ギンザシックス」にみる、百貨店の未来のかたちとは?
こんな感じです。百貨店からの脱却と言えば聞こえはいいですが、結局は歩率ですからブランドから家賃を取るテナント屋さんに変わりはありません。

百貨店の未来は当分暗いままでしょうね。

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深地雅也
About 深地雅也 155 Articles
株式会社StylePicks CEO。コンテンツマーケティングをメインに、ECサイト構築・運用・コンサルティング、ブランディング戦略立案、オウンドメディア構築、販促企画などをやってます。最近はODM・OEMメーカーのブランド設立支援、IT企業のアドバイザー、服飾専門学校講師、ライター業なども手がけてます。