2017年は労働環境が改善される年になる?

ルミネ、セール開始時期のさらなる見直し・営業時間短縮に取り組む

ルミネの新井良亮社長は13日、都内で開かれた同社の賀詞交歓会で、全館セールの開始時期のさらなる見直しと営業時間短縮に取り組む方針を明らかにした。

ルミネが正月の営業日と日々の営業時間の見直しをするといったニュース。

という事でセール時期に関しては↓

「冬については今年と同様、できるだけ早い時期にスタートし、夏はもっと遅らせる。8月スタートも視野に入れており、皆さんの意見を聞きながら、調整したい」と語った。

営業時間に関しては↓

営業時間短縮については「今年4月以降、本格的に取り組みたい」とした。販売スタッフの人員不足が深刻化する中で、この間取り組んできたES(従業員満足)向上施策の一環。既に、毎年2月と8月に休館日を導入している。

といった具合です。

伊勢丹が同様の指針を既に発表しているのは有名ですが、デベロッパーにも徐々に地殻変動が起きている模様。この動き、アパレル業界にとって非常に歓迎すべきだと考えています。なぜなら販売員の労働環境の鍵を握っているのはアパレル企業ではなくデベロッパーだからです。

 

労働環境の悪化はモチベーション低下の原因

僕が学生時代に就活をしたいた際、販売員の新卒初任給は専門卒で額面17万円前後。それが10年経った今では軒並み19万円以上になっています。TOKYO BASEやストライプインターナショナルが代表的ですが、販売員の給与水準を上げてアパレルの地位向上を唱えています。

しかしこのような取り組みがあったとしても、労働環境が改善されなければ従業員のモチベーションを高める事は難しい。SCに代表されるような年中無休、正月は元旦から営業、閉店時間は22時までetc。売上が上がらないからといって短絡的に営業時間を延ばしたツケが、販売員の離職率を高め、モチベーションを下げる結果となっています。

つまりアパレル企業がいくら待遇を良くしようとも、出店場所の多くが商業施設である以上、デベロッパーの協力が必要不可欠。昨年、販売員協会なるものも発足しており、こちらも販売員の地位向上を唱えてはいますがデベロッパーが環境改善しなければ絵に描いた餅です。協会には百貨店も数社参加していますが、その中で明確な姿勢を見せているのは伊勢丹のみ。参加するだけで満足せずに早急に労働環境の見直しを進めてもらいたいものです。

 

アパレル業界の労働環境に自浄作用を

まだまだこの動きは始まったばかりではありますが、働く側も場所によって条件が違ってくるなら希望(やあるいは不満)が出てくる事でしょう。そういった自浄作用のような動きが大きくなり、働く環境が改善される事を願ってやみません。

この業界を支えているのは紛れもなく販売員です。従事者の数だけでそれは火を見るより明らかです。そこを軽視するという事は将来的に業界を破滅に追いやるという事。それはこの10数年で関係企業は痛いほどよくわかったでしょう。アパレル企業、デベロッパーと徐々にですがこのような動きを見せ始め、2017年は更に加速される事を願います。そして、まだ販売を軽視するファッション教育機関がさっさと販売員教育に力を入れてくれるよう、微力ながら貢献していければと思っております。

本年も引き続きよろしくお願いいたします。

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深地雅也
About 深地雅也 155 Articles
株式会社StylePicks CEO。コンテンツマーケティングをメインに、ECサイト構築・運用・コンサルティング、ブランディング戦略立案、オウンドメディア構築、販促企画などをやってます。最近はODM・OEMメーカーのブランド設立支援、IT企業のアドバイザー、服飾専門学校講師、ライター業なども手がけてます。