ラグジュアリーブランド市場にECサイトはどう切り込めるか?-LVMHがAmazon.comへの出店を躊躇する理由
仏LVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(以下、LVMH)は、米Amazon.comが自社のブランドイメージを維持するのにふさわしくないプラットフォームだと判断したようです。このことは、EC化が急速に進む現在にあってもなお、高級品を取り扱うためのチャンネルがEC上で十分に整備されていないことを示しています。
という事で、ラグジュアリーブランドからすると、
「amazonなんかに出店するとうちのブランドの格が落ちるから出店はしません!」
という事なんでしょう。これは確かにその通りかもしれません。いくらアメリカ市場でamazonが無類の強さを誇っているからといってもそれは安い商品ばかり。中にはそこそこお高いものもありますが、ラグジュアリーという程ではありません。
成功事例が少ないラグジュアリーEC
そもそもECは高額品を売るのに向いてません。高級ブランドは店舗を起点に世界観を演出し、店内のゆったりした空間でおもてなしをする「体験」もセットです。webサイトでそれを実現する事は非常に難しく、世界でも成功事例はわずかでしょう。日本の百貨店のwebサイトなんて惨憺たる結果です。
数少ない成功事例でもやはり注目すべきはネッタポルテでしょう。
以前にもこちらのブログで触れていますが、とにかく圧倒的な情報量。高級ブランドを売るにはここまでしないといけないのかと思い知らされます。
わかりやすい例を挙げると。。。
イメージの話でわかりやすい例があります。僕の先輩が勤務するとあるブランドでは、楽天からの出店依頼がよくあるそうです。しかし絶対に出店しません。理由は簡単で「ダサい」からです。これは大真面目な話ですが、イメージを大切にするブランドが楽天に出店する事はブランドネームを毀損する恐れがあります。(というか毀損します。。)
amazonが楽天ほどダサいとはいいませんが、ラグジュアリーからすれば大差ないでしょう。世界観やアイコン、イメージで付加価値をつけて利益をとっているブランドからすれば、わざわざ付加価値を下げるような事はしない訳です。
勘違いしてはいけないのは、「amazonに出店しても売れない」という訳ではありません。amazonファッションは日本でも結構な売上をあげているようですし、売れる可能性は大いにあります。しかしブランドを育てるという事は非常に時間がかかる事です。そしてこの育てた「ブランドネーム」こそが他ブランドと識別する手段であり、ユーザーに選択してもらえる理由なのです。長期的に利益を生むブランド力を、イメージを悪くして削ってしまうのは一番やってはいけない戦略です。
これからファッション業界に進もうという若い人たちは、この「ブランドをいかに育てていくか」を考え、その一手段としての「イメージ」にも目を向けてもらえたらと思います。