時折夏日を超える日が出てきて、梅雨、そして初夏を感じずにはいられないです。
さて、暑いのに雨で外干しできず、洗濯物が乾きにくいと評判の時期ですが、そんな時乾きやすいといえばポリエステルなので今回はポリエステルのお話をしようなんて安直ですか、そうですか。
一般認知では速乾機能性繊維の代表格と言っても過言ではないポリエステルなのですが、そもそもなんで速乾機能性があるのでしょうか?考えたことありますか?
よく言われる『吸水速乾』とは、水を素早く吸収して、早く乾くという意味合いです。この、吸水が結構誤解をうみやすい。
こんな経験ないですか、真夏の部活動、炎天下、39度のとろけそうな日、着用するゲームシャツ、その繊維、ポリエステルにつき。
抜群のタフさを備え、奴らのタックルやひっぱりにも裂けることが少なく、ガシガシ洗濯できるから翌日のゲームどころか、同日ダブルヘッダーでも下手したら洗濯して再度着用できる可能性さえある吸水速乾のそのユニフォーム。
なのに試合中の汗が、ベタベタとまとわりついて気持ち悪い!なんてこと、ないですか?そうですか。
またはこんな経験ないですか、吸水速乾を訴求したポリエステル100%のタオル、吸水と書いてあるのに風呂上がりの体の水滴を拭き取ってもあまりさらっと拭き取れずに、水滴が細かくなって体中に引き伸ばされただけの感覚、ないですか?そうですか、全部僕はあります。
吸水って書いてあるのに、全然水すわねーじゃん(´・_・`)
そういう不思議、むしろ柔らかさの枯れた使い古しの綿のタオルの水を吸うこと吸うこと。なぜだ。
水を吸うとはいったいどういう状態なのか、考えてみたいと思いました。
まず最初に、ポリエステルの原料ってプラスチックなんですよね。意外に知られてないケースがあるんd{@:^*:___[~
プラスチックということは、原料そのものに水を吸う機能はないということがわかると思います。
では、ポリエステル繊維製品の言う『吸水』とはどういう状態なのか?
簡単に言うと、「水を生地全体に素早く拡げることができる」です。それはしたがって対象物から水分をとりあげることができるということなので『吸水』です。繊維自体が水を吸うというよりは、繊維の隙間に水分を走らせて生地全体に水分を素早く取り込む機能があります、これは毛細管現象といって、水の表面張力的なソレの性質を利用した原理です。毛細管現象を引き起こし易くするために、ポリエステル繊維というのはプラスチックを溶かして金型から押し出す時に様々な『異型断面』にして作られます。星形など、溝を多く作った繊維形状は毛細管現象を高めやすいからです。
そして、原料がプラスチックで原料そのものが水を吸わないということから、水分は強く振れば飛ばすことができるというイメージもつきやすいかと思います。
先の毛細管現象から、生地全体に水分を拡散させた後、空気との接地面積の広さと遠心脱水のしやすから、水分を蓄えて停滞しやすい天然繊維に比べると乾きやすいという性質が併せてうまれます。これが簡単にいうとポリエステルの吸水速乾性です。
原料の性質がわかると、言葉上の性能と体感の差に納得感が出てきてご提案の際に何かの助けになるのではないかと思いますので、お時間ある時にでもぜひ原料のお勉強をお勧めします。