販売員の個人的力量に頼らないブランド運営を目指せ

販売員のためのサイトであるこのトップセラーですが、ちょっと今回は反対のことを書いてみようと思っています。

たしかに世の中にはめちゃくちゃ販売するスーパー販売員がいます。そしてどんな商品でもある程度売ってしまうスーパー販売員もいます。

このトップセラーはそういう販売員を目指す人たちのためのサイトですが、しかし、本社サイドはそんな販売員ありきのブランド設計をしてはならないのです。

本社サイドは「どんな人でもある程度売れるブランド作り」を目指さなくてはなりません。

どうしてそういうスーパー販売員ありきの組み立てではダメなのかというと、

販売員は人間である以上、絶対に死にますし、病気にもなります。また退職して転職する可能性もあります。そうなったときに、その販売員の個人的なパワーに頼っているブランドやショップはたちどころに潰れてしまうでしょう。

また大きな組織だと異動もあります。

〇〇店店長が××店店長に異動するなんてことは日常茶飯事です。

もしこの店長が超人的販売力の持ち主なら、抜けた店舗は大打撃を受けてしまい、場合によっては閉店せざるを得なくなります。

そうなれば、その店舗の販売員やアルバイトさんも迷惑を被ることになります。

そうならないようにするためには誰が店頭に立っても必要最小限の売上高は作れるようなブランド政策が必要になります。

当方は販売員経験がありますが、販売員の個人的力量りに頼り切った大手ブランドや大手ショップはまったく共感しません。それどころか本部・本社は仕事をサボっているのではないかと思います。

落ち目の大手ショップや百貨店が

「スーパー販売員の育成」

なんてスローガンを掲げていますが、本末転倒もよいところです。

本社や本部が「誰でもそこそこに売れるやり方」を全店舗に徹底させるべきなのです。スーパー販売員による稼ぎはボーナス程度に考えるべきなのです。

こういう言い方をすると語弊がありますが、スーパー販売員の力量に過剰に頼るブランドやショップは、経営層や本部が無能なのではないかと見ています。自らの無能を販売員に穴埋めさせていると感じます。

 

かつて80年代にはハウスマヌカン、90年代にはカリスマ販売員がいましたが、そういう個人的力量に頼ったブランドで2019年まで勢いが保てているブランドや大手ショップがあるでしょうか。

企業は永続させることが目的の一つでもありますから、永続させられない個人的力量に頼るようなブランド運営は根本の思想から間違っていると言わねばなりません。

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南 充浩
About 南 充浩 163 Articles
1970年生まれ。大学卒業後、量販店系衣料品販売チェーン店に入社、97年に繊維業界新聞記者となる。2003年退職後、Tシャツアパレルメーカーの広報、雑誌編集、大型展示会主催会社の営業、ファッション専門学校の広報を経て独立。現在、フリーランスの繊維業界ライター、広報アドバイザーなどを務める。 2010年秋から開始した「繊維業界ブログ」は現在、月間15万PVを集めるまでに読者数が増えた。2010年12月から産地生地販売会「テキスタイル・マルシェ」主催事務局。 日経ビジネスオンライン、東洋経済別冊、週刊エコノミスト、WWD、Senken-h(繊研新聞アッシュ)、モノ批評雑誌月刊monoqlo、などに寄稿 【オフィシヤルブログ( http://minamimitsuhiro.info/ )】