「麻」には二種類あることを知っていましたか?

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5月の下旬から急に気温が上がり、すでに夏本番のような気温となっていますが、この気温になると買われることが多いのが、麻素材の商品です。シャツ、パンツ、ジャケットなどなど。

麻の特徴としては、軽い、吸水性がある、涼しい、速乾性が高い、などがあり夏向けの素材として知られています。

 

 

このトプセラは販売員さんのためのサイトなので、ちょっと販売員さん向けに豆知識をを書いてみたいと思います。

今の売り場で麻といえば、ほとんどがリネンを指しています。ユニクロや無印良品で大量に毎年夏にリネンのシャツ、パンツ、ジャケット類が発売されてから、どのブランドでも夏向けにリネンのアイテムが増えたと感じます。

欧米の人は夏の天然素材といえば、麻が挙がりますが、ユニクロや無印良品での大量発売以前は、リネンはあまり売れませんでした。

一つには値段が高かったということがありますが、もう一つには、シワになりやすいという特徴があったからです。戦後の日本人はこれまで「ピシっ」とした服装を好みましたから、着ている間にどうしてもシワになる麻素材は、一部の愛好家を除いてはマスに広がらなかったという歴史がありました。

 

 

当方が業界紙記者になった20年前にもまだそんな風潮は残っており、素材メーカーに取材に行くと「麻がトレンドといわれているが、実際に麻アイテムがマスに売れたためしはない」といつもぼやきを聞かされていました。

これの冬版素材がコーデュロイです。

これも素材メーカーに行くと「コーデュロイがトレンドに上がってもマスに売れたためしがない」と言われ続けてきました。

 

しかし、麻はユニクロや無印良品の大量販売によって、マス層に浸透して今に至りますが、コーデュロイは相変わらずのままです。(笑)

そういう意味では嗜好は変わるものです。

 

ところで、日本語では「麻」と総称していますが、厳密には二つの素材があります。

リネンとラミーです。日本語ではそれぞれ「亜麻」と「苧麻」と書きます。読み方は「あま」と「ちょま」です。

亜麻色の長い髪を~♪ という歌がありますが、この「亜麻色」とは「亜麻(リネン)」色という意味になります。

 

綿の場合だと、スーピマコットンもギザコットンもアスペロ綿もすべて「綿花」で同種になりますが、麻の場合、一口に「麻」と呼んでいても亜麻と苧麻は実は違う種類の植物なのです。

 

本来はリネンは高級品で、ラミーは比較的低価格素材でした。ところが、ユニクロのプレミアムリネンシャツの大量発売以来、低価格のリネン商品が増え、今の若い人にとってはリネン=低価格素材という認識になってしまっています。

そこで、生地メーカーやアパレルは目先を変えるためにときどきラミーやラミー混素材を提案します。

そうするとどういうことになるかというと、これまであまり売られていなかった「ラミー」という目新しい素材を使用しているということで、高い値段をつけることができるのだそうです。

ですから、最近はちょくちょくとラミー混素材の服を売り場で見かけるようになりました。皮肉なもので、本来は高額素材であるリネンよりもラミー混素材の方が高く売られていたりします。

 

このほか、麻の仲間として分類されるのは大麻(ヘンプ)や、貨物袋などに使用されるジュート(黄麻)、サイザル麻などがあります。

 

そして、我が国はもともと綿は存在しておらず、長らく麻の服を年中着ていたのです。

綿が我が国に伝わったのは室町時代後期であり、そこから爆発的に綿が広がり、麻の服を駆逐していったのです。

一昨年の大河ドラマは「おんな城主直虎」でしたが、ちょうど真ん中くらいに「綿毛の案(わたげのあん)」というタイトルの回がありました。

「おんな城主直虎」の毎回のタイトルは過去の名作映画のタイトルのパロディでしたので、これは「赤毛のアン」のもじりだということがわかります。

井伊直虎のもとに綿花が伝わるというストーリーなのですが、綿花が我が国に伝わったのはちょうどこのころなのです。

 

さまざまな種類の原料を総称して呼ばれる「麻」には、綿とは異なる面妖さがあるといえます。

 

 

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南 充浩
About 南 充浩 162 Articles
1970年生まれ。大学卒業後、量販店系衣料品販売チェーン店に入社、97年に繊維業界新聞記者となる。2003年退職後、Tシャツアパレルメーカーの広報、雑誌編集、大型展示会主催会社の営業、ファッション専門学校の広報を経て独立。現在、フリーランスの繊維業界ライター、広報アドバイザーなどを務める。 2010年秋から開始した「繊維業界ブログ」は現在、月間15万PVを集めるまでに読者数が増えた。2010年12月から産地生地販売会「テキスタイル・マルシェ」主催事務局。 日経ビジネスオンライン、東洋経済別冊、週刊エコノミスト、WWD、Senken-h(繊研新聞アッシュ)、モノ批評雑誌月刊monoqlo、などに寄稿 【オフィシヤルブログ( http://minamimitsuhiro.info/ )】

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