みなさんこんにちは。キャリア論&転職担当の吉田です。コロナウィルの影響もあり先行きの不透明さが増していますね。前回の転職タイミングの見極め方でもお伝えした通り、ここからしばらくは転職市場も大きく冷え込んでいきそうです。実際に募集がストップしたブランドも出てきています。こんな状況だからこそ、今回は自身のキャリアとの向き合い方についてまとめてみたいと思います。
会社に言いたいこと、言えてますか?
皆さんは今の会社で上層部に対してしっかりと「意見」を主張できていますか?
キャリア相談に乗っていると現職への不満や改善点を感じているものの、しっかりとそれを主張でき真っ当な議論ができている(会社側に取り合ってもらえている)人は非常に少ないです。
「言っても聞いてもらえない」
「トップダウンが強すぎて主張しずらい」
などなど、相手にしてもらえなかったり自分の評価を下げられるのが怖かったりで、我慢を強いられている方がとても多い。そうなってくると言いたいことも言えずに会社にしがみつくしかなくなってしまう。この構図はファッション業界に限らず多くみられる現象です。結果として会社への依存度も高まり、自身のキャリアも置き去りにされてしまいます。
では、仮に「もし会社にいられなくなったとしても他に行くあてがある」という状態だとしたらどうでしょう?言いたいことも言えずに我慢し続けて会社に残る選択肢をとりますか?きっと評価を恐れずに主張すべきことを主張できる人は増えてくるはずです。そしてこれを実現するには「会社での評価」ではなく「世の中的な自分自身の市場価値」を知る必要があります。
対処療法的な転職相談ではなく、予防療法的なキャリア相談を
ここで実際に過去に相談を受けたとあるエピソードをお話をしましょう。
某ブランドにて販売員として勤務されていたAさん。同じブランドで働いていた同僚(Bさん)が他のブランドに年収アップで転職をし、転職後も早々に昇格したという話を聞きつけ「それなら私も!」と転職相談にお越しいただきました。Aさん曰く、同じブランドで働いていた時にはBさんよりもAさんの方が売上もとっていて、会社からも評価されていたと。そうした経緯から、AさんもBさんと同じブランドに転職をして年収をあげたいとのご希望でした。
結果はどうだったか。
なんと書類選考すら通ることができませんでした。
一体なぜでしょうか?
それはそのブランドにおける評価ポイントがAさんが所属している会社とは違い、販売力以上に商品知識を重視する会社であった(厳密にはこの会社で即戦力として活躍するにはレザーグッズに関する知識が最低限必要だった)というのが大きかったのです。AさんとBさんは同じブランドで働いていたものの、Bさんはレザーグッズの担当を任されていたために深い知識を身につけていました。そして売上こそAさんの方が上でしたが、Bさんもレザーグッズの顧客もしっかりと作れていました。
そしてもう一つは応募したタイミングです。Bさんが転職したタイミングは景気も上向きで転職先のブランドでも「積極的に採用していきたい」という状況でしたが、Aさんが活動したタイミングはすでに採用も落ち着いてしまっていて「良い方がいれば採用も考えなくもない」という状況になってしまっていたという点も大きかったです。これはまさに「これまでの会社の中の評価」と「会社の外における現時点での評価」のギャップが産んだストーリーでした。
このように、キャリアを考える上では会社の外、つまり世の中的な市場価値を把握することが重要です。
一般的には転職を考えるようになって初めて相談にお越しになる方がほとんどですが、声を大にしてオススメしたいのは定期的なキャリア相談。
歯医者にしても、病院にしても、悪くなってから初めて診察を受けるというこれまでの一般的な認識から日本でも予防歯科、予防医療という考え方が進んできていますよね。悪くなってしまってからでは手遅れに…ということも起こりえます。キャリアに関しても同じです。いざ転職したいという時に初めて相談をしたりキャリアについて考え出すのではすでに手遅れで選択肢が限られてしまう可能性があります。また、「辞めたい」という気持ちが先行してしまって冷静な判断ができないまま転職を決めてしまうケースも本当にたくさん見てきました。
会社とフェアな立場で自分らしくいられるためにも、長期的に自分にとって最適なキャリアを選択し続けるためにも、対処療法的な転職相談ではなく定期的なキャリア相談によって市場価値にアンテナを張ることをぜひ心がけてください。
自分のキャリアは自分で創る。これからの時代を生き抜く上で絶対的に必要な能力となることでしょう。
それではまた次回!