こんにちは、タニグチレイです。
カバンなどの製品で凸凹した表情の革をよく目にすることはありませんか?
ふっくらして不均等な凸凹もあれば細かくて均等で凸凹の溝が深くないものなど似てるようで似ていない表情。
今回はいわゆる革の表面がツルッとして平滑ではない仕上がりの加工についてです。
シュリンク革はしぼが強めの表情になりキズやシワが目立ちにくくなる
まずは「しぼ」ですがこれは革の銀面を内側に折り曲げた時にできるしわの状態をいいます。
人の皮膚を想像してもらうといいかと思いますが動物にも必ずしわはあります。
以下のものはどれも天然のしわのままではなく加工によって強めのしぼや模様をつけた革です。
まずシュリンク革は銀面を収縮させることで独特の銀面模様になります。
これには収縮性の強い合成タンニン又は植物タンニンが用いられます。
後で出てくる揉み革よりもシボが強く刻まれるのが特徴。
革の種類や厚み、各部位の線維の密度や方向によってしぼの出方が異なるためその革特有の模様になります。
ちなみに同じ革でもシュリンクさせたほうが柔らかくなりキズやシワが目立ちにくくなるので製品化されたものを扱いやすいと感じる方は多いように感じます。
特にキズなどは気にされる方が多いですからね。
他にも塩縮といい塩化カルシウムなどの溶液で部分的に収縮させる加工もあります。
一部分にできるので柄に合わせて縮めることで立体感が出てこれもまた独特の模様になります。
塩縮は絹織物に施される加工技術で縮れた縞模様などができるので今までどこかで目にしてきているかもしれませんね。
シュリンクしたカーフの中には弾力感もあって手触りも非常に良く仕上がるものがあり手にするとうっとりしてしまいます。
揉み革は控えめながら美しい
先ほども少し出てきた揉み革ですがこれはシュリンクのような凹凸の強いものではありません。
揉みはしぼ付けとも言われ革を揉むことによって銀面にしわ模様を付ける工程のことで革特有のシボの美しさを強調するために行われます。
イメージとしては元々のしわを革全体に際立たせたようなもの。
手作業の場合は銀面を内側にして折り曲げ内面側からハンドボードという板をまず押し当てます。
そのボードを移動させて折り曲げ位置をずらしながら銀面の軽いシワを全面に広げるということをしますが今は機械化されています。
この加工は揉む方向によって種類があり一方向のものを水もみ、直行しているものを角もみ、あらゆる方向のものを八方もみという。
シュリンクほど主張しない表情が自然で上質に感じられることもありそれぞれに良さはありますね。
型押し革は様々な模様にすることが可能で自由度が高い
型押しは革の表面に凹凸を刻印した金属面を押し当て熱と圧力によって凹凸模様を形成する加工でプレスアイロン又はロールアイロンなどを使用します。
様々な動物種の銀面模様やデザイン模様を付けることができるのでイメージによってオリジナリティを出したりブランド特有のイメージを作ることもできる。
例えばキップ(牛)にクロコダイルの型押しを施せば種の違う銀面模様にできます。
こういった製品革は見たこともあるのではないでしょうか?
ちなみにクロコダイルと型押しの違いの見分け方のひとつは穿孔(せんこう)の有無と言われています。
穿孔とはワニの感覚器官のひとつでウロコの縁付近にある小さな点に見えるもの。
ただアリゲーターにはなかったり染色によっては隠れてしまう場合があるので無いからといって本物ではないというわけではありません。
あとウロコの溝深さが均一ではなくそれぞれ異なるかどうか触ってみるのも良いと言われています。
これはどんなものでもそうですが実際にたくさん触れたり見たり使ってみるのが一番ですね。
情報だけで判別するのはおすすめしません。
戻りまして、植物タンニン革はもちろんクロム革でも植物タンニンで再鞣した革は可塑性があるため型が付きやすいです。
文字や幾何学模様なども可能で自由度が高くイメージした模様にすることができる。
また床革に銀面の模様を型押しすることも可能なので一見あまり差がないようにすることもできます。
どうしても製品上代を抑えたいけど見た目にもこだわりたいなんて場合にはもしかしたらいいかもしれませんよね。
今回は加工の中でも凹凸の表情や模様に関することでした。
カバンや財布、ベルト、靴など今までも目にしてきているはずです。
ぜひこれからも色々見たり触れたり使ったりしてそれぞれ楽しんでみてください。