カットソー生地の柔らかさにある落とし穴。

色々と大変なことになってしまいましたが、粛々とやってまいります。

外に出られないから買い物はECになりがちです。服もしかり。
しかし写真ではめっちゃ雰囲気良かったのに、届いてみて触ったら「何これガサガサ・・・」とか、逆に「いや見た目以上に触り心地良いな!」とか、画面を通してしか決断できないから、生地の風合いまで確かめられずに良くも悪くも期待を裏切られたりしたこと、あると思います!(天津木村風)

まぁ生地の風合いの好き嫌いは人それぞれなので、何が良いとか悪いとかって言う線は引けないんですけれども、柔らかいと硬いくらいは、ほとんど誰でもわかると思いますが、服を手にとって「うわぁこの生地めっちゃ柔らかくて気持ちいい!」なんて感動して、買って着てみたものの、ほんの数回の着用で、裾や襟がデロンデロンになってだらしなくて着たくなくなったこと、あると思いmゲフンゲフン!

残念ですよね、せっかく気に入って買った服が、だらしなくて着たくなくなんるなんて。でも着てみなければそうなるなんてことさえもわからないワケで。と言うことで、僕はカットソー屋なので、カットソーで柔らかくて気持ちいい生地が、着用後に起こりうる落とし穴のいくつかを今回は紹介したいと思います。

1、伸びて戻らない。
 これはもう先述の通りですが、柔らかさを表現するために、度目(カットソーの生地密度)を甘くしてある場合があります。度目が甘すぎると、横方向も縦方向も戻る力が弱いので、引っ張ったら引っ張られたままの跡がついて戻らない現象が起こります。着用で何が起こるかというと、裾がデロンデロンになる、襟がデロンデロンになる、肘のところがポコンと膨らむ、膝のところがポコンと膨らむなどです。
『カットソーにおけるキックバックの重要性。』

2、毛玉だらけになる。
 そのまんまですが、柔らかいと毛玉はほぼ表裏一体です。
 カットソー用の糸は布帛(織物)に比べて柔らかく(撚りが甘く)してあります。撚りが甘いと、生地の表面に繊維の毛羽が多く出て、毛玉になりやすいのです。
『編み物は毛玉になりやすい。』

『実際に着用してみたことはあるか。』

これは以前自身のブログで書いたことですが、生地を作ってる人たちは、実はあんまり着用試験しません。
なぜかと問われても、そういう習慣がないとしか、経験上言えないんですが、とりあえず生地売ってる人たちの多くは、生地が完成品なので、生地が売れたらそれで良かったりします。
その後、服になって何かが起っても、「それを選んだアパレルメーカーの責任だ」のなんだのといいがちで、クレームの多くは縫製工場が受けていることもしばしば見受けられます。

購入者がこれらの落とし穴を回避するには、経験して体で覚えるしかないというのが残念な現実ではありますが、ご自身のクローゼットから生地感と着用後の姿を見比べて生地の特性を覚えていくというのも、家の中で出来る勉強の一つかもしれませんね。

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

山本晴邦
About 山本晴邦 18 Articles
新潟県、佐渡市の達者という小さな集落にて生まれ育つ。 縫製業を営む母に影響を受け、高校卒業後に洋裁専門学校へ進学。 専門学校在学中に和歌山の丸編み生地工場の東京営業所でアルバイトに付きそのまま就職。 工場作業から営業まで経験し13年間同社にお世話になり独立。ulcloworksを立ち上げる。 原料から糸の作り方、生地の編み方や染め方を常に探求して日々研究に勤めている。 業界の将来に繁栄をもたらすにはどうしたら良いのかを常に考えている。