以前、堀江さんに「メチャカリ」について相談したことがあります。「どうしたらもっと服のレンタルが世の中に浸透するでしょうか?」と。それに対して堀江さんは、「石川さん、服が好きでしょう? だからダメなんですよ」と答えたんです。衝撃でした。
ストライプインターナショナル社長の石川康晴氏の記事。これ、本題とは全然違いますが僕も衝撃でした。それは、
「服が好きでしょう?だからダメなんですよ」
という一文。服が好きな人の一番ダメな部分。。個人的にそれは「価格」に対する感覚だと思っています。
業界内にいるとカスタマーバリューがわからない?
僕が教えている学生さんに聞いた事があるんですが、
「Tシャツ1万円は高いか?」
という質問をぶつけた際、多くの回答は、「普通です。」でした。
これって実は一般的には相当なずれがあります。SCブランドやファストファッションではTシャツは1000~2000円程度で買えます。僕の友人(30代、会社でもそれなりのポジションで年収もミドルクラスの人間)でもTシャツは「高くて5000円」という感覚。それが二十歳くらいで、しかも学生で1万円を平気で出すのですから相当なズレがあると見ていいでしょう。
これは何も学生さんだけではありません。以前僕が勤務していた会社で、とある有名ブランドの上代設定をしていた時ですが、上司たちの感覚で上代が設定されているケースもありました。「これは~だから大体~円くらいだな。」なんて会話が飛び交う状況。そこには競合ブランドとの比較や顧客分析といったものは皆無。
これらの事例から、服好きな人やファッション業界人(特に高い商材を取り扱っている人)ほど価格に対するズレが大きいと推測できます。
適正価格を見極められない弊害
そこで大事になってくるのが「カスタマーバリュー」という考え方。とりあえずググってみて一番上に出てきたものから抜粋しますと、
ある製品に対して顧客が適正と認める価値のこと。 価格設定に置ける上限値となる。
顧客が適正と認める価格を服好きな人ほど理解していない。これの弊害が一番大きいのが百貨店ではないでしょうか。低価格でクオリティの高い商品が市場に出回り、相対的に中価格ブランドのコストパフォーマンスが低下している中で、多くの人が低価格志向になるのは当たり前の話。そこで適正価格を見極めなければ顧客を逃してしまう。特にミドル~ミドルアッパークラスの掘り起こしを狙うのであれば、まずはそのセグメントでの物に対する適正価格を見極める事。
まあこの「物」はブランド価値なども入ってくるから相当ややこしい事は確かですが。。Topsellerのメンバーである南充浩氏も毎度おっしゃられてますが、「高い服を一番買うのは業界人」。あとは、モテたい金持ちのおじさんと思ってます(小声)。今一度、ファッション業界人は自分たちの「価格」に対する感覚を見直す必要があるのではないでしょうか。