こんにちは
化粧品販売員をしていますひなです。
カンカン照りの暑さから一転、梅雨のじめじめとした空気にうなだれるようになりましたね。
店頭では、ひんやりとした冷感効果のある商品や柑橘系の爽やかなシリーズが人気になってきています。
超乾燥肌のお客様から後肌はすっきりさっぱりが良いとリクエストされ頭をフル回転させるのも美容部員にはあるあるの季節ではないでしょうか。
今回は「お客様を想ってのアドバイスが届かない」という、私も新人時代嫌というほどぶち当たってきた悩みに対しての記事になっています。
本当の接客力とは何なのでしょうか?
さて、表題についてあなたはどう思いましたか?
このような接客事例があったとします。
乾燥とシミでお悩みのお客様。
お話を伺うと
・化粧水は他社メーカーの固めのコットンか手で強くパッティング
・スキンケアには時間を掛けたくない
とのこと
化粧水をつけられる際の摩擦や刺激が気になりますね。
そこで「スキンケアの仕方が肌の負担になっている可能性があります」と伝え、自社の「柔らかいコットン」で優しく押さえるような付け方をご提案するとします。
では買っていただけるでしょうか?
…これが実はなかなか売れません。
対して上記のお悩みを受け、「潤いも叶えながら美白効果も高い美容液」をご提案した場合はどうでしょう?
「こちらの美容液なら化粧水の後に手で伸ばしていただくだけで簡単ですよ」
といった言葉を添えて成分内容をお話しする。
すると半数以上の割合でご購入に至ります。
なぜ美容液の方が売れるのか
値段は400円コットンの方が明らかに安価で買いやすく、お悩みの根本解決にも繋がります。
それでも1万円の美容液の方が遥かにご購入いただきやすい。
これはなぜでしょうか?
答えは、美容液なら使っている自分と続けた効果が想像しやすいからです。
コットンをご購入いただくということは、お客様の美容習慣を変えていただくということになります。
柔らかいコットンは少しでもこすると毛羽立ちやすくなってしまうので、持ち方を変えて
シミや乾燥のトラブルがあるところには負担を与えない軽い力で、押さえ方を変えて
手でお使いだと化粧水がなじむまで何度も肌を触ってしまうので、必ずコットンを使うようにして
もうお分かりだと思いますが、これめんどくさいんですよね。
そして「乾燥とシミに良いもの何か無いかな?」とお考えのお客様に
いきなり「摩擦が刺激になり肌のバリア機能が壊れます それによって肌トラブルが起こるんです」とお伝えしてもピンときません。
それにひきかえ美容液は
・手で伸ばすだけ←簡単
・美白と保湿ができる成分が入っている←分かりやすい
ということです。
もちろんお客様によりますが
多くの場合、金額の壁よりも習慣を変えていただく壁の方がずっと高いのです。
結果として
お店としては10000円の売り上げ
お客様も欲しいものが買えて満足
これでいいじゃん …と思いますか?
めんどくさい・地味の壁
それでは先ほどのお客様の2か月後お悩みは解決したのでしょうか?
もちろん美容液には保湿と美白の効果がありましたから
・つけている間はしっとりする
・シミが薄くなってきた
といった効果は感じていただけると思います。
しかし最初にあった「肌への摩擦が強いスキンケア」が続く限り
自ら乾かない肌は作られませんし、新しいシミも出てきます。
これは美容では特に強く言えることですが
肌は自分の体でつくるものです。
化粧品はサポートはできますが、人体の「肌を作り続けよう」という力が無くては何にもなりません。
肌は化粧品できれいにするという意識から、肌を育てるために化粧品の力も利用するといった意識に変えることが必要なのです。
物はたいてい取り換えが効きます。
時間がなく管理する余裕がないのなら新しく買えばいいだけです。
でも体は違います。肌は一生ものです。
いかにダメージを溜めさせないか、肌の再生力をどう守るかが大切です。
ですから、肌にとっての刺激が強い摩擦は「癖だから」で見逃せるものではありません。
このままでは「せっかく高価な美容液を買ったのに、肌悩みはずっとなくならないな」といった印象になるのでリピートしてはいただけません。
結果として
お客様は肌悩みが解決しない
お店はリピートしていただけない
最悪の状態です。
どれだけトークが上手でも、
どれだけその場では買っていただけても、
使って満足いただかなければ信頼は築けません。
1万円の美容液の価値を存分に発揮させるためには
400円のコットンでスキンケアの習慣を変えていただく必要がありました。
お客様に想いの届く接客力
ここで接客力が問われます。
ここでやっとです。
順番とバランスを間違えてしまいがちなのですが、接客力とは売り上げを上げるための力ではありません。
本当は必要のないものを必要なように見せて売りつける力でもありません。
(だからお客様のパーソナル性を無視した推奨品コンクールに私は反対です)
接客力とはお客様にご満足いただける商品・ご使用方法を、してみたくなるようお話する力なのです。
まずはお客様のお悩みを解消するために、正しい知識に基づいた対処法を見つける。
そしてそれを「このアドバイスは聞く価値があるな」「やってみたいな」とお客様に思っていただく必要があるのです。
この「お客様のために」が抜けているのに、売り上げを上げることだけを目標にしていては
お客様からの信頼をいただけませんし、販売員としての喜びは感じられません。
食いつきも良く単価も上がる美容液だけを売り続けていれば、必ず虚しさがやってきます。
正しいアドバイスができるだけでは良い販売員とは言えません。
お客様はお説教を聞きに来たのはありませんし、気の向いた事だけを選ぶ権利があります。
お客様にとって必要な手段を、お客様ご自身に納得してやる気になっていただくことができて初めて販売員がいる意味があるのではないでしょうか。
またこの記事を読んでくださったお客様には「お客様にきれいになっていただきたい、満足してまた買いに来ていただきたい」と考え必死に試行錯誤している販売員もいるんですよということを知っていただければ幸いです。
接客力については色々書いていますので、ぜひ私ひなの過去記事をご覧ください!
最後に
私は今でこそこちらで場所をお借りして散々接客について書かせていただいていますが、
新人の頃は「商品知識・肌知識を身に着けることこそ正義だ」と思っていました。
「私のアドバイスを聞いてくれれば絶対にきれいになるのになんで分かってもらえないんだ~~~」と悩んだりもしていました。
反対に、売る力だけを身に着けて「良い商品は使ってもらえれば必ずきれいになれる」と勘違いし使っていただいたはずなのにお悩みが解決しないお客様を見て愕然としたこともありました。
肌をつくるのは身体、習慣を変えていただくには相当の楽しみが必要
ということが分かってきてからは信頼もいただけるようになったと思います。