商品を最後に送り出すのは誰? 答えは品質管理(=Quality Control=QC)

আস্সালামু আলাইকুম! (アッサラーム・アライクム!)

みなさんこんにちは!バングラデシュよりハルカがお届けします!

日本の夏にあたるこの時期。
実は、バングラデシュより日本の方が暑いんです。毎日、猛暑日が続いていて大変そうだな…と、日本のニュースを横目に、こちらではちょっとだけ涼しい期間を謳歌しています。

さて。街の様子も段々と元の姿に戻って来て、お店へご来店くださるお客様の数も、増えて来たのではないでしょうか。

こちとら生産国でも、状況が少しずつ良い方向に変わって来ています。
パンデミック前と同量とまでは行かないものの、オーダー枚数や受注頻度が少しずつ増えて来ました。
全てのブランドとは言えませんが、沢山のファンに愛されるブランドさんは特に、その傾向は顕著です。そして、売上結果にも如実に反映されているようです。

この流れが続けば良いなと、切に願っております。

今回は、生産過程において、商品を最後に送り出すのは誰か?というお話をさせて頂きます。

答えは、品質管理(=Quality Control=QC)

答えから先に申し上げますと、生産過程において商品を最後に送り出すのは、品質管理(=QC)の人です。俗に言う、「検品員」です。どういうことか。生産過程をざっくりと追いながら、ご説明します。

ベーシックTシャツを生産するには

たとえとして、ベーシックTシャツを例に挙げます。

まず最初は、生地の状態で縫製工場に運ばれてきます。
そこから、パターンに沿って裁断。前身頃と後ろ身頃、そで部分、えり部分。
そして、別々に裁断されたパーツが、最終形を目指して縫い合わせられます。

縫い合わせられる段階で、ブランドネームや洗濯ネームも縫い付けられていきます。
プリントや刺繍がある場合は、パーツの段階で付けられることが多いです。

1枚のTシャツは、1人が最初から最後まで縫い続ける訳でありません。
基本的に分業です。

前身頃と後ろ身頃を合わせて重ねるだけの人、そで部分を縫い続けるだけの人、縫い終わったTシャツをオモテ面に返すだけの人、などなど。数十人の工員さんの分業によって、1枚のTシャツは最終形に成っていきます。

工員さんがずらっと縦1列に並んで作業を行うわけですが、それを「ライン」と呼びます。1ラインは、大体10~20台のミシンが並んでいます。

1ラインのメンバーがチームとなって、1型の商品を生産していくのです。

検品員の仕事とは

縫い合わせられたTシャツは、ラインの最終段階として、検品員の手に渡ります。検品員とは、最終形に成った商品の品質に問題がないかを、検品する人です。検品員は、検品の作業だけに集中します。

検品作業では「良品」と「不良品」に分けます。不良項目は大体30項目ほどです。
ミシンの縫い方に不良がある場合は「縫製不良」、Tシャツに付けたブランドネームや洗濯ネームが間違っている場合は「付属不良」。
このように、不良品をはじく作業を、1枚ずつ行っていきます。

前回の記事で詳しく書かせて頂いています。もし宜しければご参照ください。

アパレル商品、品質の基準について

最後の作業

検品員によって「良品」とされた商品。そのまま出荷される訳ではありません。
日本や欧米に向けて出荷されていく訳ですが、その際は1枚ずつ紙のタグが付けられ、袋に入れられ、ダンボールにまとめて梱包されます。

販売員の方はご存知かと思いますが、お店に入荷される時は1枚ずつ袋に入っています。
その状態にする作業を行うのも、全て検品員です。

商品によって異なる作業内容

商品によって付けられる紙のタグや、梱包のされ方は様々です。

1枚ずつ指示された通りに紙のタグが付けられ、そして、指示された大きさの通りに1枚ずつ畳みます。
畳まれたTシャツは、1枚ずつビニールに入れられ、テープで留める。ここで始めて、1枚の商品として認識されます。

1枚の商品になったとしても、ここで完了ではありません。

出荷される先によって、オーダー数量は異なります。

例えば。段ボールAには、Sサイズを30枚。段ボールBには、Mサイズを10枚と、Lサイズを20枚。段ボールCには…。
このように、段ボールの出荷先によって作業する枚数が異なるため、これも検品員の手によって、1枚ずつ仕分け作業が行われていくのです。

大量生産の現場では、何万枚という単位でオーダーが入ります。
そのため、仕分け作業も相当な労力が必要となります。

仕分け作業を進めていく中で、出荷先別にあらかじめ分けておいたりもします。
また、船で輸出する際は「港」のやり方、エアーで輸出する際は「空港」のやり方、など。
これらも全て、事細かにルールが決まっているのです。

*今回は、検針作業の説明は省きました。また別の機会に、詳しくお話させて頂きたいと思います。

生産者側として、最後に送り出すまで。このように、沢山の人の手によって、1枚ずつ大切に仕上げられていき、最終的には検品員の手によって梱包されるのです。

なかなか現場を直接見る機会はないと思うので、今後もこのように少しずつお伝えしていければと思います。

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飯塚はる香
About 飯塚はる香 29 Articles
“ファッションを通して世界をよりステキに”が、モットー。2013年〜日本で就職。某アパレルブランドのマネージャーとして神戸や吉祥寺などで勤務。2016年〜カンボジアへ移住。アパレル大量消費国の店頭から大量生産国の工場へと拠点を移す。2019年〜バングラデシュ在住。アパレル生産国で品質管理の仕事をしている。「国際協力×アパレル」の道で、生きていく。