給料の差は能力の差!?

皆さんこんにちは。アパレルキャリア論の吉田直哉です。非常勤講師として勤めている文化服装学院も昨日から夏休みが明けて講義が再開しました。自分は約1ヶ月ぶりの講義でしたがようやく全ての仕事が通常運転で再開した感じです。残暑厳しい毎日ですが、アクセル全開で進んでいきたいと思います。

さて、私のこの連載における一番最初の投稿はこちらの記事でした。

意外と知らない!?アパレル販売員の年収アップの方法論

すでにご覧になっていただいた方もいらっしゃるかも知れませんが、年収は相場で決まるよ、というお話とともに希少価値を高めることの重要性についてまとめた内容です。

私のキャリア相談における基本スタンスは「長期的な視点に立った自己実現のサポート」でして、目先の転職だけでお話しすることはありません。毎回のように「将来的に在りたい姿」に対していろんな角度から質問の投げかけをし、一緒にその状態を明確にすることからスタートします。
そうした中で高い割合で出てくる話が「将来はもっと稼げるようになっていたい」という給料に関すること。最近もそうした相談が続いたので前回とは少し違った切り口で「稼げるようになる方法」をお伝えしたいと思います。

給料が高い人は能力が高い…のか?

多くの方とお話をしていると、給料が高い人=すごく高い能力を持った人、というイメージをお持ちの方が多い印象です。
結論、これは間違った認識です。

これまで社長や役員、有名バイヤーや販売スタッフ、学生までトータル10000人以上のご相談に乗ってきましたし、外の業界でも働いてきましたが、基礎能力で言えば今の年収の倍以上も目指せるのにな…という方も一定数いました。一方その大半の方が、もっと能力が高まれば給料が上がっていくはず!と信じて間違った方向に努力をし続けてしまっている。そうした場合には給料アップのルールからお話しするようにしています。

少し自分の経験談を。

皆さんご存知のように私はアパレル販売員としてキャリアをスタートさせています。恐らく当時の年収は300万ぐらいだったと思いますが、お店に立つための服を買って家賃を支払えばもうほとんど手元にはお金が残らないような毎日でした。
そんな私は25歳の時にリクルートに転職をします。販売経験しかなかったので当然未経験での転職です。当時は転職市場が非常にホットで毎月数十名の中途入社者がいるような状況でした。

繰り返しますが、未経験での転職です。即戦力スキルは持ち合わせていません。
それにも関わらず最初に定時された年収はそれまでの年収の倍の金額でした。

これは能力が倍に高まったからでしょうか?
もちろん答えはNOです。

変わったのは働く会社と働く業界。自分が変わったわけではありません。

転職以降、リクルートで仕事をする中で様々な業界の求人と給料相場を見ていく中でようやく気付いたのは、ビジネスモデル(収益モデル)、経営成績(P/L)、その市場の伸び、で給料が決まるということ。つまり、能力による給料差以上にそもそも選ぶ会社やマーケットでの給料差の方が圧倒的に大きいんです。

需給バランスを意識すること

改めてここで断りを入れておくと、今回は給料にフォーカスした話になっているのでその人にとって向き不向きという視点は加えずにまとめています。なので、じゃあそういう会社や仕事を選べばいいんだよね?というシンプルな話ではないですが、知らずにいるのと知っているのとでは大違いです。そこを前提に改めて読み進めてもらえればと思います。

前段では働く業界や仕事においての話でしたが、職種という点についても見ていきましょう。

これまでのアパレルの商慣習として「セール」を前提としている部分は大いにあると思いますが、どう言った商品がセールになってますか?そもそも何でセールにするんでしょうか?

シンプルに、売れない(売れなかった)から価値を下げて販売するわけですよね。言い換えればお客さんの需要量を商品の供給量が超えてしまったから、と言えます。

キャリアと給料の関係も全く同じです。需要に対して供給が多ければ価値が下がってしまう。つまり給料は上がらないんです。逆に需要に対して供給が不足している(追いついていない)場合は価値が高まり値段も高騰します。すなわちそういった職種は給料も高くなっていきます。

この法則を整理すると、
①需要がこれからも伸び続ける
②供給が不足している(追いついていない)
この2つを満たす職種にキャリアを寄せていくことができれば給料を上げていける可能性が大きく高まります。

ファッション業界において最も①②を満たしている職種で言えば、今は間違いなく「EC」の領域です。店頭での販売が以前よりも難しくなりオンラインでの購入ニーズはどんどん増えていることは誰の目に見ても明確。にも関わらずどの会社も経験者が不足している状況で、コロナによる自粛以降もECの募集だけは常に出ている印象です。それだけ供給不足にある職種と言えます。

最後にまとめます。

今回は給与に焦点を当てての内容ですのでシンプルにこれから給料を大きく上げていきたいと考えるのであれば、下記の点を意識して仕事選びをしていきましょう。

・収益性の高いビジネスモデルかどうか

・その会社がどこにお金をかけているか

・今後も需要はあり続けそうか

・供給が追いついていなそうか

それではまた次回!

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吉田直哉
About 吉田直哉 31 Articles
株式会社ALL IS NEW 代表取締役社長 大学卒業後バーニーズジャパンに入社。販売員としてキャリアをスタート。20代でリクルートへ転職しキャリア支援のキャリアをスタート。その後ファッション業界専門のヘッドハンターとして業界におけるキャリアコンサルティングに従事しつつ、Vice President、執行役員としてマネジメントを経験。 。累計転職相談者は1万人を超える。現在は株式会社ALL IS NEWの代表取締役としてファッション業界のキャリア支援、採用支援をしつつ、「人が繋がるを」コンセプトにしたスナック「BANQUET CIRCUS」の経営や、 文化服装学院の非常勤講師としても活動中。 ファッション業界関係者限定の招待制交流イベント「FASHION SNACK」もプロデュース。また出身地である福島県いわき市にて地方創生事業も展開。