素材(ここでは生地のことを言います)の名前というのは、必ずしもその生地の組成を証明しているわけではありません。
代表的なものだと『サーマル』と銘打った生地があると思われますが、実際に『サーマル』というものを限定定義する編み組織は存在しません。
一般的にTシャツに使用されている天竺という生地組織のことを『Tシャツ』という生地名で呼ぶことはありません。サーマルに関してはこういうことが起こっていると理解していただけるとわかりやすいかと思います。
このように生地の名前というのは難解なものほど曖昧に流通してしまっている現状です。さらに言うと、昨今の生地屋さんでさえ、正しく理解できていないケースも散見されます。
下記は、某大手生地問屋さんが展開されている生地の名称です。
これ、はっきりとミラノリブと書いてありますが、この両方とも、組織的にはミラノリブではありません。
どちらかと言うと畦の仲間で、見た目的に似ている感じがするところからミラノリブとしているのでしょうが、ミラノリブに見た目が似たようなものではあるけれどもミラノリブではないです。
ミラノリブには編み組織として立派な定義がありますが、今回の内容とはずれてしまうので、後日改めて紹介したいと思います。
見た目が似ていることや、アイテムによる使用頻度の高さから、その生地名が実際の組織組成と異なる名称で呼ばれている生地はたくさんあります。
super100’sとかの繊維繊度を意味する言葉を糸番手の細さだと誤用するのに近い感覚です。
これらの例のように、もはやどこから間違っているか追いきれない知識のズレは最近店頭を見いていても本当に多くなったと感じます。
それがどういう悪影響があるか、正直、ただ服として向かい合って買う場合に於いてはそれほど問題ではないかと思います。
ただ、もし仮に「これ間違ってますよ」と言ってくる人がいたとして、その人はものすごく勇気を振り絞って教えてくれている可能性もありますから、正しい知識を元にその一言から会話がはずんだらきっとその人は信頼を寄せてくれるでしょう。僕なら、信頼して洋服を買うときはそういう人から買うようになると思います。
なのでこのトプセラで書いている僕の記事が、狭い分野ではありますが、少しでもそういう素敵な出会いのチカラになれば幸いです。