視点を意識したマネジメントとマーケを考えてみた。

意識の高さと意識の低さ、その幅を広げることこそが人間としてのキャパシティを広げることに繋がる。という話を年上のプログラマ氏としたことがあります。私自身は、その彼とは違って意識低いの化身みたいなところがあるので一概にそうは言えませんが確かにこれは一理あるなと思ったりしながら聞いていました。

ところで突然全く関係のなさそうな話ですが、

井の中の蛙、大海を知らず。されど空の青さを知る。

このことわざご存知ですか?わたしとても好きなんです。

多くの場合使用されるのは、「井の中の蛙、大海を知らず」ですがその続き「されど空の青さを知る」まで入ってまるっと好きなんです。まさに前半の部分は、井の外にいる人間がその蛙の視野の狭さを論難しているかのように見えますが、でも井の中の蛙には「空の青さ(深さ)」は見えてるよ。という意味になります。

実際のところ中国の故事からきている正式なことわざは前半部分だけで、後半は日本で後づけされたと言われていて、まあ確かにこの前後を「されど」で繋げて文として成立するのかはさておき、井の中の蛙だろうが、外にいる人間だろうがそれは完全に紙一重でどちらの立場でも世の中を見ることができた方がずっと有利だなあと感じるのです。

わたしは基本的にいつまでも井の中の蛙なので、常に「うおおおおちょっと出てみたい!でもちょっとでいい!!!」とその中でなんとか出れないかぴょんぴょんしてる虫けらみたいな人間なのですが(くまでしょ?って聞こえる。)、人間誰しも「自分」というフィルターを通して物事を見ているということを忘れないようにしたいものです。

マーケティングも、マネジメントも、組織作りもここをどれだけ掘り下げられるかが大切かもしれないと感じています。

 

マネジメントは上下でし合うもの。立場によって視点は違うことを考える。

 

組織においてよーく見かけるこの構図。

経営部門はわかってくれない。

現場のことをわかってくれない。

というこの壁。

そうなんですよね。規模が大きくなればなるほど、絶対にこの問題は出てくるんだろうと身を以て感じます。営業なんかでもアナログな業界だとこの通信手段が整った2017年に「心の距離は場所の距離」なんて言いますから。

もちろん経営や管理職も現場を知るための手を打つのは当然必要ですし、原則現場の意見を取り入れて物事を決めていくのが会社というものだろうと思っているのでそうなっていきましょうと思うのですが、下っ端日本代表代表として思うのは現場も経営陣の首根っこ掴んで主張していきたいですね。ということ。

まずなぜそこに齟齬が生じるのかを考えると「距離的な問題」や「組織図的な問題」というものが見えてくるだろうと思います。それを管理職側が整えてくれるのを待っていると大きな会社ほどなかなか難しい。人間関係の問題も大きく影響しますね。なので現場はなんとかしてそれを変えようとしている人も多くいるのだと思いますしそれを見てきています。

よく「わたしはこんなに頑張っているのに評価されない」という話を聞いたりします。彼女は彼女なりに知識をつけ、勉強をして会社のために自分のために努力してきた自負があったわけです。私からすると「えらいなあ・・・」と自分のダメさ加減を痛感するわけですが、よくよく話を聞くと「それは経営者から見たらまだ評価に反映しないかもしれない」なんていう内容だったりします。アピールが足りなかったり、経営陣が重視するポイントからずれていたりとさまざまです。

そういうとき経営部門、企画部門、販売部門では確実に「視点」が違うということを忘れてはならないなあということをこういうポジションになって初めて考えたのですが、追いかけてるものが違う人同士が、その齟齬を分かり合わないまま批判し合っているという構図を見かけます。

主張することが苦手な日本人。そうして現場は批判ばかりになることも多々ありますが、だいたい話を聞くと足りないのは「対話」だということが多いなあと感じます。そもそもこのSNSが発達した時代で「批判する」ことのハードルはぐっと下がりました。

「対話」が大切というのはまったく綺麗事でもなんでもなく、自分たちがそれを望むなら、とりあえずそれが社長との血みどろの殴り合いに発展したとしても意見交換の場を設けた方がいい。

社長というのはだいたいフルボッコにされなれてるか相当図太いかだと思うので多分大丈夫です。多分ですけど。

しかし組織図を越えて交流を持つことで、現場には経営陣の視点、経営陣には現場の視点が入り、人間関係や環境がスムーズになったり、現場のモチベーションアップには繋がるかと思います。経営陣にとって現場というのは一番見えにくい部分なのでそういう意見は反映されるかどうかは別として貴重なものになることは言わずもがなと思います。

 

 

マーケティングも出口から見た消費者視点を持つ。

これはマーケティングの話になりますが、特に販路についてはこの視点が非常に大切なのでは・・・と最近感じています。

そこにくる客層によって、企画内容・パッケージ・広報など、様々変わってくると思います。

接客によってそれをクリアすることもできるかと思いますが企画段階である程度練っておくことで、販路開拓や商品開発後のPRで二の足を踏まずにすんだり、ほぼ同時進行で営業や広告を打ったりできる初速の利点にも繋がります。

昨今は「暮らし」や「ライフスタイル」が消費者の視点の中に常にあり、これを買ったらどんなシーンで使うのか。を考えて企画を組む必要が出てきました。ファッションも従来の流行だけではなく、ライフスタイル提案型というのが定着しています。

商品開発の流れは「とりあえず作る→売り先を考える」から「売り先を考える→作る」に完全に変わっています。

商品を受け取る出口に立つ消費者の立場に立って、開発と企画広報までを一括して行い、それを各現場に指示を出す本来のディレクション的要素が非常に重要となってきています。そういう視点を持つには消費者の動向をあらゆる手を使ってリサーチし、感じ、自分の中でリライトするということが非常に大切になってきていると思います。

ここの部分には各部門と円滑にコミュニケーションを取るコミュニケーション能力、そして各部門から出る意見をまとめるヒアリング能力など人間的ハブのような存在感も必要になってくるので、相当なキャパシティを要しますがこういった人が一人入り、様々な視点から物事を判断するだけで商品の見せ方や売れ方がまた変わってくるかもしれません。

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中溝 雪未
About 中溝 雪未 69 Articles
1990年生まれ。コレクションブランドの企画室でインターンからデザイナーアシスタントとして勤務。その後アパレルブランドで布帛・ニットをはじめとするデザイナーの経験を積み独立。現在フリーランスとして企画・デザイン・パターンを担当。 プロダクトアウトなものづくりからマーケットインまで、偏らないバランス感覚を武器に、コンセプトメイクからお客様に届くまでをディレクションするプランナーとして業界を問わず活動中。