同じファッション業界でも「売る」側の世界にいると「作る」側のデザイナーやパタンナーの方々と知り合う機会がめっちゃ少ない。情報もリーチしづらいのでお互いのお仕事の内容もあまり知らなかったり…。いや本当素人レベルで知らないんですよ。
— 深地雅也 (@fukaji38) August 30, 2018
先日、こんなツイートをしてみたんですが、実は皆さん普段は無自覚なんではないでしょうか。僕は新卒の時は営業職として就職しましたが、業務として関わるのは「小売」「卸」の領域で、稼働する範囲は主に「百貨店」のみ。こうなってくると「製造」や「SC」については全くの無知になります。同じ小売なのに「イーハイフン」(ストライプインターナショナルのブランドです。)とか言われても「???」となるんです。業界外の人からしたら同じファッションなのに不思議に思うかもしれませんが事実なんです。現に僕の先輩で超有名ブランドで有名セレクトショップのバイヤーにセールスしてきた人ですら「ホールガーメントって何?」と言ってたりするんです。こういった事例は枚挙に暇がありません。
○キャズムがあるとどうなる?
こういったキャズムを乗り越え、違った領域に攻め込んでくる事業者ももちろん散見されます。スタートトゥデイがPBを生産するというのもそれに当たりますね。そのせいか「パターンオーダー」の事を「フルオーダー」と繰り返し言ってたり。web系の会社がインフルエンサーを起用して新しくブランドを立ち上げようとして生産で行き詰まり、ブランド継続が難しくなったり…。
逆もまた然りで、OEMやODMをやっていた企業さんがブランドを立ち上げようとすると行き詰まるのが「企画」「ブランディング」になります。そういった企業さんとお仕事をしたこともありますが、そもそも「MD」という言葉が社内にありませんので、ただただ生産した商品を店頭につっこみ、ルックも組まれていないから付け焼き刃で店頭販売員がマネキンにコーディネートする。強化品番も販促企画もありませんので、売上の山を作れることも無く、またCRMという言葉もありませんのでカスタマーカードすら無いショップもあったりします。
キャズムがあると情報がリーチしないせいか、事前準備もせずにこういった弊害が日々起こってしまうばかりか、そこに長期間気づかず進めてしまう場合もあります。
○違った領域にこそチャンスがある
こういった弊害がありながら何故キャズムを越えようとするのかと言いますと、そこにチャンスがあるからです。ECモールで集客できているなら、そこで販売する為の商品が欲しいというのは自然な流れですし、OEMが下請けから脱却する為に自社ブランドを作るというのも自然な流れです。現時点で今の事業を進めるには新しい領域の情報はいりませんが、新しい事を始めるには常にキャズムを超える必要があります。しかし自分たちが普段から意識的にインプットしていなければこういった情報をキャッチすることは不可能です。
職業柄、よく若い方々からお仕事の相談を受けます。皆さん興味があるのは非常に良いことなんですが、自分の領域でない事の情報が圧倒的に不足しています。もし新しい事にトライしてみたい!という方がいらっしゃるなら、まずは違う領域のインプットを始めてみてはいかがでしょうか。隣の芝は青いと思っているかもしれませんが、来てみると「思ってたのと違った!」なんて事になりかねませんよ。