現在、綿100%とかウール100%という生地で作られた商品は数少なくなってきています。
ほとんどが綿45%・ポリエステル50%・ポリウレタン5%のような複合素材となっています。ちなみに、3つの素材が混じっている物を「三者混」、4つの素材を「四者混」と呼んだりしますが、別に三者懇談会の略ではありません。
で、この複合素材ですが「綿麻混」だとか「綿ポリエステル混」「ウール混」などというように表記されることが多くあります。
このため、複合素材のことを「混紡」だと解説してしまうファッション系の人が多くいますが、これは一概に正しいとはいえません。ファッション雑誌やファッションブロガーの解説が「混紡」一辺倒で、疑問を抱かざるを得ません。
「ウール混」の「混」は混じっているという意味であって、「混紡」を必ずしも意味していないのです。
混紡とは?
混紡というと、平たく言うと、綿(わた)の状態で混ぜ合わせて、それを糸にするというやり方です。
糸の成分自体が自体が綿とウール、綿とポリエステルというようになっています。
この糸を使って生地を織ったり編んだりしますから、必然的に出来上がった生地は綿ウール混や綿ポリエステル混ということになります。
しかし、複合素材は「混紡」で作られているものばかりではありません。
交織や交編というやり方もあります。
交織は、経糸と緯糸を別の種類の糸にして生地を織ることです。
経糸が綿だとすると、緯糸には麻を打ち込みます。これで綿・麻混生地が出来上がります。もちろん、経糸と緯糸を入れ替えても原理上は成立します。
交編は編みです。
違う種類の糸を使って編み合わせると交編になります。綿と麻で編み合わせると綿麻混のニットになります。
そして糸の段階からリスクを背負わなくて済むので、混紡よりは交織や交編の方が使い勝手が良いといえます。もし、その生地やその生地を使った製品が売れなくても、糸なら別の生地にすることができます。通常の綿糸や麻糸なら、それを使って別の生地を作ることができます。
しかし、混紡した糸ならその用途は限定されてしまいがちになります。
出来上がった製品を見て、混紡なのか交織なのかはなかなか見分けづらいですが、例えば、ジーンズ類なら特殊な製品を除いてはほとんどが混紡ではないかと考えられます。
ジーンズを構成するデニム生地は、経糸は最低でも5000メートルないとオリジナルを作ってもらえません。作業効率から考えるとインディゴ染めする経糸は綿で統一した方が望ましいでしょう。
綿麻混とか綿ポリエステル混デニム生地がありますが、これは麻やポリエステルを緯糸に打ち込んでいる場合がほとんどです。
ですので、売り場でも複合素材をなんでもかんでも「混紡で~」と説明するのは、正しくない情報を伝えていることになりますのでご注意ください。
南さま
いつも拝見させていただいております。
混紡、交織、交編の記事を読ませていただいて、
上記三種の見分け方はあるのでしょうか?
お客さまに間違えた情報を伝えないため参考にしたいと考えております。
よろしくお願いいたします。
向田