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失速・三越伊勢丹…老舗百貨店が陥ったワナ
このTopsellerのメンバーでもある南充浩氏の記事。百貨店の衰退の原因が、「企業文化の違い」「インバウンドの失速」「ブランド側の意識の変化」と仰られています。
確かにその通りだと思うのですが、これらが原因でなくとも百貨店は衰退の一途をたどっていました。数年前から百貨店が淘汰されていく事は関係者始めわかっていたのでは?と思っています。特に一番理解していたのが他ならぬ伊勢丹の社長である大西洋氏ではないかと。
大西氏は様々な記事で、「百貨店の変革」について語られています。
【トップに聞く】三越伊勢丹ホールディングス 大西洋「百貨店の改革とこれから」
ですから、一番の原因は「変革できなかった事」なのではないかと。そこで僕が考える
・伊勢丹の強み
とそれに対して、
・実現できなかった事
について持論を語らせて頂きます。
強み①:編集力
伊勢丹の強みと言えば他の百貨店に無い「編集力」…、のはず(笑)
ブランド間の壁を無くすのも、統一什器を使うのもこの「編集力」に自信があるからこそでしょう。感度の高いバイヤーのセレクトとリスタイルなどの自主編集売り場での展開。この強みを活かして進めなければならなかったのが中小型店の開発でしょう。
それに当たるのがイセタンサローネやイセタンハウス。しかしこれらが拡大できていません。店舗も見に行きましたがファッションミュージアムを名乗る伊勢丹とは思えないほど面白くない売り場でした。(個人的な見解です)編集力が新宿伊勢丹だけのものであるかもしれませんが、これでは自社の強みが活かしきれず新しい市場を取る事は不可能でしょう。
強み②:買取りの比率向上
日本の百貨店と言えば消化仕入れ。そこから脱却すべく伊勢丹では買取りの比率を上げようとしています。その方が利益率も向上します。それと同様にメリットが出てくるのはECでしょう。もし仮に消化仕入れのまま自社ECを進めれば、取引先ブランドはECの分の在庫もリスクを負わないといけず消極的な協力体制になるでしょう。となるとコンテンツが充実しない。更にEC上で様々な集客施策を組むにも、消化仕入れでは在庫はブランド側の物なのでいちいち許可を取る必要があるでしょう。フレキシブルな対応ができなければ現場をいたずらに疲弊させます。
そもそもラグジュアリーECって成功事例が世界でもほとんどありません。高級ブランドは館で世界観を演出しゆったりとした空間で販売員がおもてなしをするという、店頭でなければ受けられないサービスがあります。さすがにオムニチャネルだなんだと言えどこれをweb上で実現させる技術はまだ無いでしょう。世界で一番売れているラグジュアリーECは恐らく「ネッタポルテ」でしょうけど、ここは圧倒的な情報量、商品を動画で紹介、自前のwebマガジン、自前のソーシャルメディアetcなんていうサービスが付いています。
少し話が逸れましたが、せっかく買取り増やす方向性なら中途半端にしない。でないと店頭での利益率だけでなくECのサービスレベルの向上も見えてきません。
他にもたくさん問題はあるかとは思いますが、上記二点が僕の考える、
「本来、強みになり新しい販路を創出するはずが出来ていない。」
代表例です。
古い組織を変革させる事は並大抵の事では無いと理解はしていますが、百貨店のリーダー企業であり、販売員の働く環境改善を実現しようとしている伊勢丹がこけてしまうのは非常に不本意です。
是非来季はV字回復してほしいと切に願うばかりです。
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