こんにちは、タニグチレイです。
先週はラグジュアリーブランドのレザーの使用について取り上げました。
ここ数年話題になっていることであり果たして関心はどこまであるのか?
特にエキゾチックレザーや毛皮に対してはデリケートになっている空気もあります。
それを受けてこれから先エキゾチックレザーは完全に抑制される素材となっていくのでしょうか?
そもそも苦手な方もおられるでしょうが一度手にしてみると比類のない魅力を感じる素材。
今回はそんなエキゾチックレザーについて書いてみたいと思います。
エキゾチックレザーとは家畜以外の動物の革でありその中でも代表的なものはワニ革
エキゾチックレザーとは家畜以外の動物全般の革が当てはまります。
こういった動物類がエキゾチックアニマルと呼ばれていたことから使われるようになりました。
代表的なものは
爬虫類(ワニ、トカゲ、ヘビなど)
鳥類(オーストリッチ、レアーなど)
魚類(サメ、エイなど)
この辺りは耳にしたこともあるかと思います。
他にもゾウ、カバ、アザラシ 、アシカ、オットセイ、ペッカリー、カンガルーなど少し特殊な動物もいます。
こういったエキゾチックレザーの中には流通量がかなり少ないものもあるので製品として目にすることはなかなかないかもしれませんね。
種類は結構あるので代表的なものに絞っていきます。
爬虫類の中のワニ。
おそらく誰もが一番に想像するものがこのワニ革でしょう。
ワニ革はクロコダイル、アリゲーター、カイマンの3種類に分かれます。
その中でもクロコダイルはより特別感がありますね。
まずこの3種類は生物の分類上違いがあります。
クロコダイル:ワニ目クロコダイル科クロコダイル属
アリゲーター:ワニ目アリゲーター科アリゲーター属
カイマン:ワニ目アリゲーター科カイマン属
なんかクロコダイルがちょっと特別な感じしますね。
ではクロコダイルとアリゲーターの違いは何か?
クロコダイルの腹部の鱗(腹鱗板)にはプツプツと針の穴のようなものがあります。
これは感熱器官である濾胞(ろほう)というくぼみでアリゲーターにはこれがありません。
肚ワニ(後述します)を使用したワニ革製品をよく見るとプツプツがあるのはこの器官の部分です。
そして高級種のクロコダイル革として流通しているのがイリエワニ、ニューギニアワニ、ナイルワニ、シャムワニの4種類です。
それぞれ順にスモールクロコダイル、ラージクロコダイル、ナイルクロコダイル、シャムクロコダイルと呼ばれています。
スモールとラージの呼び名はスモール(スケール)クロコダイルとラージ(スケール)クロコダイルでこのスケールは鱗のことを言います。
つまり小さい鱗のクロコダイルと大きい鱗のクロコダイルであり整った美しさからスモールクロコダイルは他種よりも高級で人気があります。
この鱗は腹部の中心が四角い形をしており側面に行くほど丸く小さい形になっていきます。
この四角い鱗を竹斑(たけふ)丸い鱗を丸斑(まるふ)と呼び分けています。
鱗の形にまでそれぞれ呼び名があるのはさすが特別な高級素材ですね。
竹斑のバランスには結構こだわりのある方もおられるので天然素材であるだけに気に入った模様を求めて探されている方もいましたね。
製品として財布や鞄が思い浮かぶでしょうがいわゆるこの竹斑が整然と並んでいるものは腹部を使用しているものです。
先に書いた肚ワニとは背中の中心から割いて腹部の腹鱗板を使用している革のことです。
その逆で腹の中心から割いて背中の背鱗板を使用したものを背ワニと言います。
実際のワニを想像してもらうと良いのですが背中は結構大きな突起があるので背ワニはかなりワイルドな印象です。
肚ワニのエレガントさとはまた違った無骨さが好きな方にはたまらないのでしょうね。
クロコダイルの最大の特徴はこの斑の模様です。
きれいに仕上げるまでに表面に凹凸があり厚みも不均一なため剥きや裁断を機械で一気にすることができず職人が調整しながら作業をしないといけない。
他にも革の表面を谷折りにしてしまうとシワになりやすいため例えばバッグの製作で裏表にした袋縫いもできない。
斑の合わせのパーツ取りも非常に難しく加工から製造までかなりの手間がかかる素材。
高額であっても魅了されるのはこの全ての積み重ねなんですね。
続いてアリゲーターですがこれはミシシッピーワニのアメリカアリゲーターで濾胞はありません。
上記のクロコダイルの種より胴が長いので腹部の鱗の形が少し長めの長方形になっているのが特徴です。
この辺りはそれこそ種にこだわらなければ斑のバランスが気にいるかどうかでしょう。
関係ない話ですが用水路に捨てられた子ワニがその後成長して人間以上の大きさになり街中で人に襲いかかるという映画を小さい頃に見た記憶がありワニは人を食べると思い込んでいたことがあります。
(たしかそんな内容だったような…タイトルはアリゲーター?)
めちゃくちゃドキドキした夜でした。
脱線してすいません。
最後にカイマンですがこちらはメガネカイマン、パナマメガネカイマン、パラグアイカイマンがあります。
この種は腹の部分にカルシウムが溜まり硬くなる骨質という部分が多くあります。
そのため以前は革に鞣されることなく骨質のない顎や脇腹の部分が使用されていました。
その後鞣し技術の向上からクロコダイルやアリゲーターのように一枚の革として鞣すことができるようになっていますが品質の違いからか見た目も少し違いますね。
爬虫類の中でもワニだけで盛りだくさんになってしまいました。
(他の動物も書こうと思いましたがまた機会がある時に・・・)
ワニ革は皮革の中でも素材の特殊性があるだけにこだわりのある方も多いです。
(最近は減ったかな?)
今後のエキゾチックレザーの風当たりは分かりませんがこの辺りは知っておくとこだわりを持って探しておられる方とも会話はできます。
でもそういう方は大概かなり詳しいので聞き役の方がいいかもしれませんね(笑)