こんにちは、南です。
販売員のみならず、ファッション関係者でも呼び名を間違えて覚えていることがあります。ファッション雑誌編集者・ライターも同じです。
そういうものの一つに「ジャカード」があります。
よく見てくださいよ。「ジャカード」です。決して「ジャガード」ではありません。
ジャカードが正しくて、ジャガードではありません。
ジャガードってなんだよ?ジャガーかよ?
現在、業界でジャカードと呼ばれる生地には織物と編み物があります。
まあ、業界でも織物と編み物の区別すらできない人もいるのですが、それはまた後日に。(笑)
すごく単純にいうと、チェックやストライプといった単純なものではなく、何とも言えない複雑な柄を表現した織物や編み物を「ジャカード織り」「ジャカード編」と呼びます。
どうして「ジャカード」という名前になったのかというと、これは発明した人の名前から採られているのです。ジャカールというフランス人が発明した織機なので「ジャカード織機」と呼ばれるようになり、その織機で織られた柄物生地をジャカード織りというようになりました。
カタカナで書くと区別できにくいですが、アルファベットで書くと違いは一発でわかります。
JACQUARD というつづりになります。
日本人がタイピングするときにめったに使わない「Q」が使われていて、それで発音はジャカードとなります。
さて、このジャカード織機の何が画期的だったかというと、それまで柄物を織るときは、複雑な計算式を駆使したり、織られている状況を見ながら主導で色糸を差し替えたりしていましたが、ジャカード織機は、作りたい柄を想定して、パンチカードを作成し、そのパンチカードを差し込むことによって、複雑な柄を織ることができるようになったことです。
ストライプやチェックなどの単純な柄は目測で織れますが、抽象画のような複雑な柄は目測ではとても織れません。このジャカード織機の発明によって、柄のバリエーションは格段に増えました。
しかしジャカード織機の操作が複雑なため、もっと簡易に扱えるドビー織機が発明されたというその後のいきさつもあります。
現在ではパンチカードではなく、コンピューターのプログラミングによって柄を作り織機を操作する、コンピュータージャカードも使用されており、さらに精密で細かい柄を織ることができるようになりました。兵庫県の西脇産地にもコンピュータージャカードを使って柄物の生地を製造している工場があります。
そんなわけで、ジャカードという名称を間違えないようにしてください。
先日、かっこいいデザインのウェブサイトを構えたモノづくり系ブランドを発見したのですが、残念なことに「ジャガード」と書かれており、ブランド側もウェブ制作側もちょっと知識が足りなかったのかなと思わされました。
プロはプロらしく用語は正しく使うことが望ましいでしょう。