「幅広い客層をつかむ」ってよく聞きませんか?
計画書や、報告書に出てきますよね。
でもこれ、だいたい商品やレイアウト、販促についての話のときに出てきます。
「シンプルでカラー展開が多く、素材感のわりに手頃なプライスのため、幅広い客層をキャッチした」という具合です。簡単に言うと、フツーでコスパがいいから、万人受けして売れました、ということです。販売員要らないパターンです。
では、販売員として接客で「幅広い客層をつかむ」にはどうしたらよいでしょうか。
商品やVMDのそれとは、全く別の次元です。
幅広い客層の「困った」「探してる」「気分よく買いたい」に対応できる力が必要になってきます。
この問題の答えは千差万別ですから、一定の万人受けする態度をとっていればよいのではなく、万人に受けるためには万のパターンの対応ができる必要があるのです。
そのためにはトークの工夫や雰囲気づくりなども大切ですが、今回は情報収集についてフォーカスします。
例えば
「何を着ていったらいいかわからない」というお客様に対して
結婚式に呼ばれたことがないと、会場がどんな感じかわからないし、
ちょっとしたパーティーに行ったことがないと、ちょっとした加減がわからないし、
ドレスコードがジャケット着用のフレンチレストランも、行ったことがないとスタイルがわからないし、
子どもの受験の面接、卒園式、入学式、謝恩会、両家の顔合わせ等々、経験してないと提案どころじゃないですよね。
経験したことの無い場所へのお出かけに、着ていくものを悩むお客様。
安心できる提案をしたいけど、自分も経験が無い…。
なんとなくで提案してしまって、お客様が恥ずかしい思いをしたり、その場で浮いてしまったり、その場を十分楽しめなかったりしたら、大変です。
さて、どうしましょう。
解決方法のひとつとして、日頃から情報収集をしておくのはどうでしょうか。
「先週、妹の結婚式で」なんて話があれば、ゲストがどんな服装だったか、それを見てどう思ったかまで聞き出してもいいでしょう。
他にも「知り合いがお店を始めて、この前レセプションパーティーがあってね」とか
「ちょっと高いレストランでバイト始めたんだよね」と聞けば、どんな格好でお客さんが来るのか聞いてみましょう。
このように、未経験のことを垣間見ることができるチャンスはやヒントは、日常のなかにたくさん転がっています。
TPOはそれぞれなので、聞いたとおりに提案すれば間違いないかと言うとそうではありませんが、
聞いておくことで、未経験でも「こういう場所だと、こうらしい」の蓄積ができます。
もし、そんなに話す友達がいませんという方は
Instagramやtwitterで適当にハッシュタグを検索してみましょう。
結婚式、レセプションパーティー、食事会、入学式…めちゃくちゃ出てくるし、ハッシュタグは複数ついてる場合が多いので関連事項までわかります。いい時代ですね…。
友達いないし、Instagramなんてキラキラ過ぎて見たくないという方は、雑誌を見てください。
「着まわしコーデ術」のような特集がぴったりです。OLやビジネスマン、主婦の設定のモデルさんが、レセプションパーティーや女子会、ご両親への挨拶、先輩の新築披露パーティー、授業参観に行っています。多少無理のある設定に苦笑しながら、情報のひとつとして蓄えておきましょう。
こうして、自分の知らない世界、知らない世代の常識や今を知ることで、お客様に安心材料をたくさん出してあげることができます。
ここまで読んで、なんだか即効性がなさそうで刺さらないな、と思ったあなた。
誰でも明日からできるハウツーは、それはそれです。
しかしこういう
「重要だけど緊急でない」
ことの積み重ねって、とても大切なんです。
販売員で一番残念なのは、自分の生きてきた中での常識や経験でしかものが見れないタイプ。
属さないコミュニティのことも積極的に知っておけると、強いです。
コーディネートばかりでなく、考え方も。