「コンセプト・ストーリーが氾濫しすぎて疲れた。」
先日、そんな言葉を目にしました。Web全盛の時代、ファッションブランドも差別化の為に「コンセプト・ストーリー」をプッシュする傾向が強くなってきたように思います。過去とは違い、ユーザーの「検索」という行動も考慮すると、Web上での見え方にも配慮するのは当然の流れですが、中にはコンセプトが尖っているからこそ、ユーザーに刺さりやすく、そして拡散されやすい特性のものもあります。そして、それに倣うかのように、新規ブランドがコンセプト・ストーリーを氾濫させ、それがWebによって可視化されている。そんな印象を受けています。
今だに「大人の女性」「上質な」「こだわりの」などなど、頻出ワードを出してくるSPAのブランドはさておき、ここまで氾濫してしまったコンセプトを誰が読むのか?そんな議論も一部では見られます。では、ブランドにおいてコンセプト・ストーリーは重視しなくてもいいのでしょうか?
コンセプトはブランド戦略の基準
個人的な見解を述べると、ブランドコンセプトは必要不可欠です。ただ、ライトユーザーに対してコンセプト文を読ませる努力は必要無いでしょう。最も重要なのは、コンセプトはブランドが実施する施策の基準になるという事です。コンセプトで世界観を言語化しておき、それに沿ってヴィジュアルや記事コンテンツを制作していく。そうする事で、直感的にユーザーにブランドの世界観を伝えていく。というイメージですね。
KPIとしても活用可能?
コンセプト文なんか誰が読むの?とお思いの方もいらっしゃるかとは思いますが、ある特定のケースにおいて読まれる事があります。弊社では新規ブランドを取り扱うケースが多いのですが、ブランド認知が高まってくるとコンセプトページ(ABOUTと表記されている事が多いですね。)への流入数が増加する傾向にあるのです。よく、「ブランドは指名検索が重要」とWeb系の記事でも散見されますが、それと同時にコンセプトページへの流入数は、ブランド認知・ロイヤリティが高まってきた一つの指標として使えるものだと認識しています。
・ブランドコンセプトは運営側の施策の基準
・ブランドロイヤリティが高くなるにつれコンセプトは読まれる
この2点が重要かと。「氾濫して疲れた」と感じる人は、恐らく普段からインプットが習慣化された人の意見なのかと思います。ライトユーザーからしたら、よくわかりもしないブランドのコンセプトなどまず読む気にもなっていません。そもそもコンセプト文は読ませるのではなく、ユーザーに製品自体を好きになってもらったり、ヴィジュアルを含めたコンテンツに触れてもらい、ブランド認知・ロイヤリティが高まった後、勝手に読んでもらうもの。という認識の方が正しいと考えております。
確率の低い「バズ」を狙いにいくのではなく、自ブランドのユーザーに寄り添ったコンセプトメイクと、各タッチポイントで地道なコミュニケーションを取っていく事が、いつの時代でもブランドに求められている事ではないでしょうか。