お久しぶりです。書き手がたくさん増えたので、もう書かなくていいんじゃないかと思っている南です。この原稿要る?
いろんなジャンルの新メンバーが加入して、製造系のことも触れる人が出てきたので、正直何を書いていいのかわからないところです。(笑)
先日、ジーンズ系ブランドのサイトを見ていたところ「超長繊維が云々」という文言を見つけました。知る範囲でいうと、超長繊維という言い回しは業界にはありません。
あるとするなら、超長綿か長繊維のどちらかです。合体させてしまっては全くの意味不明です。
素材に詳しい人なら、二つとも何を指しているのかはよくお分かりだと思いますが、このトップセラーは販売員を読者ターゲットとしていますので、販売員の皆様はこの二つの言葉がどんな意味なのかご存知でしょうか?
まず、超長綿ですが、これは読んで字のごとく、超長い綿です。
綿花の繊維を糸にして綿糸にして、その綿糸を使って生地を織ったり編んだりするわけですが、綿花は植物なので繊維の長さがそれぞれ少しずつ違います。繊維の長さのことを「繊維長(せんいちょう)」と言います。
この繊維の長さが長いものを長綿と呼びます。
綿花の場合、繊維長が長ければ長いほど、高級綿になります。
この長綿よりさらに繊維長が長い綿花を超長綿と呼びます。
超長綿=高級綿です。
一方、長繊維ですが、これは綿花とはまったく関係ありません。
繊維長が長いことは言うまでもありませんが、これは主に合成繊維、シルクを指します。綿花の繊維長と言った場合は何センチレベルの話ですが、長繊維ということになると何メートルという単位になり、桁がまるで違います。
綿花、ウール、麻などの繊維はいくら繊維長が長くても何メートルにもなりません。何センチという長さの繊維を合わせて糸にします。
一方、ポリエステルやナイロンなどの合成繊維、それからシルクは、1本の繊維の長さが何メートルもあります。そして、綿花やウールよりも格段に糸の太さが細いことも大きな特徴といえます。
長繊維のことを業界ではフィラメントとも呼びます。
27歳の時に繊維業界新聞の記者になりましたが、研修では教科書というものがありませんでしたから、先輩記者からのレクチャーを聞いてメモをするのみでした。
しかし、最初に「ちょうちょうめん」と聞いたときは「蝶々」という漢字が頭に浮かびました。または「ミヤコ蝶々」でした。
そういえば、ミヤコ蝶々という人は、物心ついてすぐに見たときはすでにお婆さんでした。恐らく本当は若かったんだと思いますが、ずっとお婆さんだったイメージしかありません。
そして「ちょうめん」と聞いたときには「帳面」という漢字が思い浮かびました。
素材関係の用語は耳慣れないものが多いですが、覚えておいた方が良いと思います。
それにしても「繊維長」と「長繊維」は漢字だけ見ればほとんど同じ意味に見えてしまいますが、実は全然違うというところが面白くもあり、慣れない人からするとややこしいところでもあります。
長繊維という言葉があるということは、短繊維という言葉もあるということです。では次回は「短繊維」についてです。次回があればですが。(笑)