皮と革の違いは何か?

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こんにちは、タニグチレイです。

この数年アパレル業界では毛皮が話題に上ることも多く、目にしたり意識した方も多いでしょう。

「生態系を守る野生生物の個体数管理は必要なことであり土に還ると考えると毛皮が良いのではないか」

「ただ一部の不明瞭さがあったため、今後徹底したトレーサビリティが必要不可欠なのでは」

「数々の国や企業が毛皮を生産しない販売しない方針を打ち出し、さらにはエリザベス英女王も毛皮は今後着ないと発表。人工ファーの方が主流になるのか」

「化学繊維から作られることが多く環境に悪いとされてきた人工ファーも再生ポリエステルで作ることができるようになったことで問題は解決できたか」

 

など簡単には結論を出せない事柄。個人的にはエコファーというネーミングには違和感を感じています。

 

本来動物の肉は畜産業者へ渡り、骨は有機肥料となり皮は製革業者へと渡ります。では食肉の副産物である革とはどんなものなのか?まずは「皮」と「革」の違いから少しずつ知っていきましょう。

 

「皮」とは動物の皮

人間の皮膚と同様一番外側の膜であり外部から体を守るためにあり、断面で見ると表皮、真皮、皮下組織の三層から成っています。

 

表皮はケラチンから成り水の浸透や異物の侵入を阻止する構造を持っていています。
ケラチンは硬タンパク質の1つで皮膚の角層や毛の主成分。
硬タンパク質は皮膚の新陳代謝の活性化や保湿力の維持など大切な生理機能があります。

そして毛皮を除き革にする準備工程で毛などと共に表皮は除去されるんですね。
詳しい工程や内容などは今回は省きます。

 

真皮は革の主要部分でコラーゲンが主成分です。
コラーゲンはタンパク質の一種であり生体内で最も多い。
さらに真皮は乳頭層(銀面)と網状層(床面)に別れます。

革は銀面+床面が基本(例外はあり)。
表面に近い方は銀面と呼ばれ動物の種類による特徴を示し、銀面の模様は革の商品価値に影響します。
何の革が使われているかによって見た目の表情が違ったり同じ革でも表情が違うのはここの部分ですね。

 

皮下組織は血管、脂肪、筋肉などが該当し裏打ち(フレッシング)で取り除かれます。
さらに石灰漬けと脱毛で強アルカリ酸の液に浸けてコラーゲン繊維をほぐし不要な毛、表皮、脂肪を分解除去するんです。

 

簡単に言えば主要部分の真皮をなんやかんやして「革」にするけど生きていた時は表皮や毛が身体を守っていたんだよってことですね。

 

じゃ表皮の話いらなくない?と思うかもしれませんが後から出てきます。

 

「革」とは動物の皮を使用可能な素材へと加工したもの

ではなんやかんやしたら「革」になるのはわかったけど実際「革」にしたらどうなのというのを見ていきましょう。

 

メリット

1高級感と感触
銀面の美しさや身につける製品としての上質さ、肌になじむ触り心地

2吸湿性と放湿性
幾層もの繊維に微細な隙間があるため適度に湿気を吸収して放出

3弾力性、伸縮性、可塑性
動物の動きに対応するように適度な弾力性と伸縮性がある
(可塑性とは外的な力により変形記憶するため使っているうちに身体に沿うように変形することでレザージャケットなどを想像してもらうといいですね)

4難燃性と耐熱性
高温による融解がないため燃えにくく防炎性がある

 

デメリット

1水に弱い
色合いや風合いの変化があり濡れると耐熱性が低下する
(水や刺激から体を守る毛や表皮を取り除いているからでありそれをしていない毛皮は水や汚れに強いんです)

2色の変化や色落ち
染色堅牢性が低いため起こりやすい
(さらには摩擦、汗、水、熱など様々な複合作用に影響を受けます)

3カビが発生することがある
繊維質の隙間に湿気がこもりやすくカビ菌が繁殖しやすく一度繁殖すると取り除くことは困難

 

まずはざっくりとメリットとデメリットをあげましたが天然素材であるが故の外的要因による性質の変化ですね。

 

ただこれは生きた素材の証であり使い込んだ時の魅力。時々お客様から「経年劣化も味ですよね」と言われますが、個人的には「経年変化」という言葉がいいなと心の中でだけ常々思っています。

 

革は動物のコラーゲン繊維が複雑に絡まった素材。どの部位も均一ではなく緻密なところもあれば緩やかなところもあります。
体の守るべきところは丈夫にできていて動くところは柔軟性がある。外側である背中は引き締まって丈夫だが内側であるお腹は緩く背中の中心になる程緻密です。(革となる動物の多くは四足歩行の動物が多いため外敵にさらされているのが背中側だからですね)

その繊維の流れと同じ方向には引っ張りに強く(伸びにくい)直角方向には弱い。

だから例えば伸びたら困るベルトやバッグのハンドルは背中の中心付近の革を繊維方向に取るのが良いわけです。

 

このように製品化するパーツによってどの部位をどの方向で使用するかが重要。強度と美しさを確保しながら品質に極端な差がないようにすることが要求される難しさがあるんですね。

 

本日はここまで。

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谷口玲
About 谷口玲 192 Articles
1976年3月生まれ。 販売員歴17年。 ヨーロッパ系デザイナーズセレクトショップで販売スタート。 Paul Smithでは関西4大丸勤務。 ミセスセレクトショップは立ち上げから関わる。 レザーグッズブランドでは全国初のオンリーショップ展開に貢献。 現在、フリーランスの販売員 個人ブログ:http://taniguchi-connector.net

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