前回、糸の話を書きました。
天然繊維の綿・麻・毛はそれぞれ「番手」という単位で太さを表します。
また、綿・麻・毛はそれぞれ繊維の太さが異なり、同じ番手でも実際の太さは異なります。
じゃあ、天然繊維の中でも絹(シルク)、ポリエステルやナイロンなどの合成繊維の太さを表す単位も「番手」でしょうか?
いえ、それは違います。
シルクも合繊の多くも、綿や麻よりもずっと繊維が細いので、「番手」という単位は使いません。
スポーツウェアやパンストなどの業界の人なら馴染みがあると思いますが、通常「デニール」という単位を使います。
展示会の商品説明に「〇〇d」と書かれていることがありますが、この「d」はデニールのことです。
また、商品説明をする際にメーカーの人が「〇〇デニの糸を」ということもありますが、この「デニ」はデニールのことです。
じゃあ、デニールとは実際にはどんな太さなのでしょうか?
ぼくも含めてイメージで何となく理解している人は多いと思いますが、実際にキチンとした定義を把握している人は少ないと思います。
素材の話は、販売員にとってはあまり実感はないかもしれませんが、素材のことを知っているのと知らないのとでは、洋服に関する理解は大きく異なります。きっと日々の接客にも深みが出ると思っています。
さて、デニールについてですが、デニールとは、
9000メートルで、1グラムの重さの糸の太さを「1デニール」としています。
9000メートルで、10グラムあれば10デニールですので、10デニールより1デニールの方が、細くて軽いということになります。
パンストやタイツで20デニール、40デニール、80デニールという言い方で生地の厚さを表しますが、これでだいたいどれくらいの厚さ、重さなのか何となくわかるのではないでしょうか?
このデニールよりもさらに長い糸の重さを表す単位に「デシテックス」があります。
個人的な経験ですが、こちらを使って生地や商品を説明されたことはあまりありません。
ちなみにデシテックスとは、
10000メートルの長さで1グラムの重さがある糸の太さが「1デシテックス」です。
数え方はデニールと同じで、10グラムなら10デシテックスとなり、1デシテックスより太くて重いということになります。
これが合繊、シルクを表す「デニール」という単位です。
実際に繊維業界では、天然繊維と合繊では完全に分かれている部分が多く、両方に詳しい人はあまり多くありません。実際にぼくも天然繊維はある程度わかりますが、合繊はさっぱりわかりません。こんな基本的なことが精いっぱいです。
それだけに学ぶことが多いのが、この業界だといえます。
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