さて、今日は生地の話を。
生地は大きく分けて2種類しかありません。
織り物と編み物です。
しかし、実際には様々な生地の種類があります。
デニム、オックスフォード、ブロード、ドビー、ダンガリー、シャンブレー、サテンなどなど。
洋服業界に携わる人なら一度は耳にしたことがあるでしょうし、多くの人が業務上でこれらの名を口にしたことがあるはずです。
先ほど挙げた生地の種類はすべて「織り物」です。
さまざまな呼び名がありますが、「織り物」の織り方にはたった3種類しかないのです。
使っている糸の種類や後加工の仕様によって呼び名が変わるのです。
生地の織り方は「平織り」「綾織り」「繻子織り(しゅすおり、朱子織りとも書きます)」のこの3種類しかありません。
これを生地の三原組織といいます。
セーターやTシャツ、カットソー、ジャージなどで使われる生地は「編み物」で「織り物」とはまったく別の種類の生地になります。
ここまでは理解してもらえたでしょうか?
「平織り」「綾織り」「繻子織り(しゅすおり、朱子織りとも書きます)」
●「平織り」というのは、経糸(たていと)と緯糸(よこいと)が一本ずつ交差して織られる生地のことです。
シャンブレー、オーガンジー、ブロード、ドビーなどはすべて「平織り」です。
●「綾織り」は経糸何本かに対して、緯糸1本の割合で織り進める織り方です。
デニム、ツイード、ダンガリー、フランネル(ネル)などがすべて「綾織り」になります。
デニムを見てわかるように織り目が斜めになっているのが特徴です。
経糸3本に緯糸1本の割合で織られたのがデニムになります。
●「繻子織り」は経糸・緯糸ともに5本ずつで織られている生地。
表面には経糸のみか緯糸のみかのどちらかしか出てきません。サテンが代表的な生地です。
ちなみに生地の用語では経糸と緯糸と書き、縦糸・横糸とは書きません。
売り場でお客様に説明するなら縦横の表記でも構わないと思いますが、もしあなたが将来ブランドプロデューサーやブランドディレクターを目指しているなら経糸と緯糸という表記を覚えてください。
なぜなら生地メーカーや素材メーカーでは必ず経糸・緯糸の表記を使用しているからです。
覚えにくい人は地図や地球儀の経度と緯度を連想してください。
縦が経度、横が緯度です。織り物はこれと同じです。
そしてタテとヨコでの組み立てる過程のことが経緯(イキサツ)という熟語になります。
家電量販店や自動車販売店の優秀な販売員は、家電製品や自動車の形やデザインだけでなく、商品を構成している材質や内部の仕組みのことも非常に詳しく知っています。
そういう説明なくして家電製品や自動車なんてそう簡単にたくさん売れるものではありません。
洋服も同じではないでしょうか。
コーディネイトやトレンド情報ももちろん重要ですが、そういうことに詳しい販売員は業界にはたくさんいます。
おそらくファッションビル内だけでも何人もそういう販売員がいるのではないでしょうか。
そういうことに詳しいだけでは優秀な販売員にはなれません。
あなたの競争相手はみんなコーディネイトやトレンド情報に詳しいのです。
しかし、素材のことまで詳しい販売員はあまりいません。
残念ながら今ではアパレルメーカーの企画担当者ですら素材の知識が欠如している人がたくさんいます。
かつて「ポリエステルって何ですか?」と質問してきた企画マンもいました。
ですから、素材をキチンと覚え、それぞれ、デニムやツイードやブロードやらは「何織り」に属しているかを理解できれば、コーディネイトやトレンド情報以外の販売員の強力な武器になります。
もしかしたら凡百のデザイナーにすら勝てるようになるかもしれません。
そんなわけで今日は織りの三原組織について書いてみました。
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多くの人が誤解して覚えてると思いますが、「ドビー」とは織の名前ではなく開口装置の名前でこの装置を用いて織った布を総称してドビー織と皆さん勘違いしてますね。
それから、朱子織りですが5本とありますが、8本、12本もあります。朱子織りの定義は、本数ではなく組織点の配置です。基本的には、縦糸を長く浮かせることで布の表面に光沢を出すための織り方です。ですので基本、朱子織りの表は光沢がある方が表です。
バックサテンという裏を使う場合もありますが。